今日も暑いですね!
涼しくなる、おばけ話をご紹介。
母親に、たきぎを取ってきておくれ、と頼まれて、意気揚々と出かけていく男の子。
眉毛のきゅっとつりあがった、賢く元気そうな男の子です。
「でもそれがすんだら、すぐに かえってくるんだよ。山は暗くなると、こわいものがでるからね」
「わかってるって」
途中、通りかかった、お寺の和尚さんも、
「うちの手伝いとは感心じゃ。だが、それがすんだら、すぐ帰ってくるんじゃぞ、山は暗くなると、こわいものが出るでな」
わかってるってば。
が、男の子は、たきぎを拾ったあと、うさぎを追いかけるのに夢中になり、道に迷ってしまいます。
茅葺屋根の家から、ごはんを炊く香りがし、赤ん坊の泣き声も聞こえます。
ここで道を尋ねようと、中へ入ってみると…。
赤ん坊は、目も鼻もない、のっぺらぼう。
母親も、目も鼻もない、のっぺらぼう。
びっくりした男の子は、必死で逃げますが、
「見られたからには、仕方ない。のっぺらぼうの仲間にお入り」
と、のっぺらぼうの母親が追いかけてきます。
走っている途中で侍に会い、助けを求めると、なんとその侍ものっぺらぼう。
「のっぺらぼうの仲間に入れ」と、刀を振り回して追いかける侍から、必死に逃げ、やっとのことでお寺まで戻ってきて、和尚さんに助けを求めると、なんと和尚さんものっぺらぼう。
走って走って、ようやく家に着き、行灯のそばで着物を塗っている母親が振り返ると…。
目も鼻もある、おかあさんです。
ああ、よかった。
ところでのっぺらぼうって、口はあるんですね。知らなかった。