朝ねぼうしたゆうこは、お母さんに、「ひとりで上手に食べるのですよ」と言われ、席につきます。
お母さんは、これから洗濯物を干さなくてはならないので、忙しいんです。
朝ごはんは、バターのついたパン、牛乳、チーズ、それからゆで卵。
ゆで卵には顔が描いてあります。
そのせいでしょうか、ゆで卵が人間の言葉を話すんです。
ゆで卵の魔法で、ゆうこは小さくなり、ゆで卵と同じ大きさになりました。
さあ、冒険の始まりです。
窓から外へ抜けだして。
サルビアの茎を杖代わりに、木登り。
すずめのように空を飛び。
ぐんぐんお家が遠ざかります。
やがて。
飛び続けていたので、疲れてしまいました。
そろそろ帰ろうか。
窓から入り、テーブルの上に降りると、ゆで卵の魔法で、元の大きさに戻りました。
ちょうど、洗濯物を干し終わったおかあさんが、帰ってくるところ。
ナイスタイミング。
ということは、15分足らずの冒険だったんですね。
ひとりで朝ごはんを食べるさびしさを紛らわせるための、幻想だったのでしょうか。