言わずと知れた、音楽家エリック・サティさんの伝記絵本。
音楽好きの方には必見ですが、絵本としての完成度もかなり高いです。
まるで音楽が、人の話し声が、聞こえてくるよう。
文字のレイアウトもおしゃれです。
画期的な曲を次々に作り、異端児と言われながらも、人気を博し華やかな生涯を送った人だと思っていたら、実は苦労人だったんですね。
そっくり同じ灰色の背広を7着誂え、着るものと言えばそれきり。
お風呂には入らず、石で身体をこする。
友だちができても、すぐカッとなり、気がつけばひとりぼっち。
当然、奥さんとも離婚。
そんな頑固なサティさんが、音楽家として新たに出発するため、大学に入り直し、服装も暮らしぶりも社会に迎合したのは、それだけ認められたい気持が強かったからでしょうし、そこさえクリアすれば認められるという自信もあったのでしょう。
そして、音楽では社会に迎合しようと思わなかったところが、今のサティさんをサティさんたらしめている理由そのもの。
「でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい」「犬のためのぶよぶよした前奏曲」「梨のかたちをした3つの小品」
音楽家や画家って、失礼ながらタイトルのセンスのない人が多いような気がするんですが。
サティさんのセンス、抜群ですね。