♪ぼうや~よい子だなんねしな~
おそらく日本一有名なアニメ主題歌「日本昔ばなし」でお馴染みの、龍に乗っている男の子、彼こそがたつのこたろう。
石ころだらけの貧しい村に、たつのこたろうという男の子が住んでいました。
ばあさまとふたり暮らしで、ばあさまは朝から晩まで働いていましたが、たろうときたら遊んでばかり。
たろうは、龍に変えられてしまったお母さんから生まれたのです。
乳の代わりに、お母さんの目をもらい、それをしゃぶって大きくなりました。
たつの子 たつの子 魔物の子
こうはやしたてられていた、たろうは、あるとき笛を吹きながら歩いてくる、ちょっと風変わりな、あやという女の子と友だちになります。
そのあやが、鬼に連れさらわれてしまったとき、たろうは一大決心をしました。
赤鬼を退治して、あやを助け、お母さんを探しに行こう。
天狗から力をもらったたろうにとって、赤鬼をやっつけるのは、いとも簡単でした。
赤鬼だけでなく、黒鬼もたちまち倒し、村の人たちは大喜び。
お礼に、握り飯をたくさん振る舞ってくれました。
ひえやあわしか採れない村から来たたろうは、米の握り飯に大感激。
それから9つの山を越え、ようやくのこと、おかあさんの住む湖に着きました。
「おっかさあん、たつのこたろうがきたよう。おっかさあん」
たろうが叫ぶと、湖の水が真っ二つに裂け、中から龍が出てきました。
涙ながらの再開、しかしお話はそこで終わりません。
ここからが、たろうの、そしてこの物語の素晴らしいところ。
たろうは、お母さんを探す冒険の中で、土地によって農産物が違うことを知りました。
ひえやあわしか採れない村の人たちに、お米を腹いっぱい食べさせてあげたい、それには、山を広大な平野にすることです。
人間の力には無理でも、龍の力なら可能かもしれない。
たろうはおっかさんと協力して、山を倒そうと試みます。
おっかさんは太郎を背に載せ、山に体当たりをします。
何度も何度も、挑戦は続きました。
そうしてついに、湖から水がごうごうと流れ出し、広々とした平野が生まれたのです。
そしておっかさんは、龍から人の姿に戻りました。
おっかさんもたろうも天に召される、という結末を迎えるバージョンもありますが、偉業を成し遂げたのですから、しあわせになってもらわないと浮かばれません。