季節ごとに集まって、動物たちが句会を開くとは、風流なお話ですね。
まずはメンバーをご紹介します。
雪野袋さん(ふくろう)
俳句歴30年のベテランにして、句会「ゆきだるま」の代表。
比叡山でケーブルカーの運転をしている。
鳩野ぽっぽさん(はと)
俳句歴10年、意見はスパッと言う。
実家は江戸時代から営む和菓子屋さん。
北風コンザブロー(きつね)
俳句歴3年で、あぶらが乗り始めたころ。
頭の回転が早く、いつも一番に句ができる。
大耳はな(ぞう)
アフリカタンザニア生まれで、詠む句はすべてアフリカが舞台。
常夏の国で春夏秋冬がないため、やや不利かも…。
河うそ雄(かわうそ)
ねぶた大学民俗学部で教鞭を取る一方、ベストセラー小説の作家。
俳句歴も25年あり、さぞかし素晴らしい句を詠むかと思いきや、食べものの句ばっかり。
ハーリー・トゲマル(はりねずみ)
俳句歴がまだ3ヶ月と浅いせいか、いつも自信なさげ。
実際、詠む句は、小学生並…。
以上6名です。
それでは、次の句は誰の句でしょう。
1)桜鱒 虹鱒 姫鱒 いただき鱒
2)土筆んぼ 春一番の 便り書く
3)どんぐりを ほっぺにいっぱい 冬じたく
4)ふるさとは 夏ばかりでも あきはなし
5)目覚めても 沈まぬ夕陽 白い夜
1)河うそ雄ですさん。鱒はかわうその好物ですからね。
2)鳩のぽっぽさんです。ふくろうさんと甲乙つけがたい名手です。
3)ハーリー・トゲマルさん。小学生のように素直な句です。
4)大耳はなさん。夏ばかりで秋はなしと、飽きはなし、をかけています。ふるさとはアフリカ。
5)雪野袋さん。さすが句会長。字も達筆です。
句を詠んで、お互いに評を言い合うだけなので、ストーリー性を重視するなら、面白さにはやや欠けるかもしれません。
すべて会話文で構成されていますが、漫才のように面白いわけではなく、淡々としています。
小学校低学年が、俳句に馴染めるように作られた知育絵本なのかな、という気がします。
子どもたちの反応は、少し物足りな気でした。
あべ弘士さんの絵がすごくいいです。
動物の表情がいいし、配色の美しさときたら。
あ、あべ弘士さんは、もと動物園の飼育係だったんです。
だから動物の絵はお手の物、きっと目をつぶっていても描けるんでしょう。
目を凝らしても描けない私には、雲上人です。