山おとこのてぶくろ | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

山おとこのてぶくろ


3回意表をつかれます。

あるところに、父さんと母さんと、お月、お星、お花の三人の娘が一緒に暮らしていました。

父さんが、疲れて「あーあ」とあくびをすると、山男が現れます。
最初に連れて行かれたのは、長女のお月でした。

山男はお月に言います。
「オレは出かけるから留守番をしろ。その間に、この手袋を飲んでおけ。飲まねば殺す。それから、言っておく。鍵のかかった2つの部屋があるが、決して開けるなよ。覗けば殺す」

山男が出かけてしまうと、お月は、手袋の前で途方に暮れます。
だって、すっごく大きな手袋なんです。
飲めるわけがありません。
そこでお月は、手袋を床の下へ投げてしまいます。
そして、鍵のかかった2つの部屋のうち、1つを開けると宝物、1つを開けると人の骨。

帰ってきた山男が、「てぶくろぁ のんだか?」と尋ねると、お月は「のんだ」と答えます。
しかし山男が「てぶくろぁ でてこ でてこ」と呼ぶと、床の下から「はーい」と返事。
「うそついたな。ころす」
お月は鍋でぐたぐだ煮られてしまいました。

えー煮られちゃうの?!(意表その1)

また父さんが「あーあ」とあくびをすると、山男がやってきます。
どうやらあくびをすると山男が現れるみたいです。
今度は次女のお星を連れて行きました。

同じように、お星にも留守番をさせます。
お星は手袋を屋根に放り投げ、2つの部屋を開けて覗きます。
そして同じように、「てぶくろぁ のんだか?」と訊かれ「のんだ」と答えて、殺されます。

またもや殺されちゃうの!?(意表その2)」
絵本にしては残忍な。

二度あることは三度あるんですね、父さんが「あーあ」とあくびをし、山男がやってきます。
父さんも、あくびをしなければいいのに。
でも生理現象ですもんね、しかたないです。
今度は三女のお花が連れて行かれました。

三女の留守番を命じられます。
手袋はさておき、まず、部屋を開けてみました。
1つ目には宝。
2つ目には人の骨。
おや、人の骨の奥に、若者が倒れています。

若者は怪我をしていたので、お花は介護してやりました。
そうして、どうやったら手袋が飲めるか、相談すると、粉にして飲めばいいと教えてくれました。
お花はそうして、手袋を飲むことに成功します。

山男が帰ってきて「てぶくろぁ のんだか?」と尋ねます。
「のんだ」と答えるので「てぶくろぁ でてこ でてこ」と呼ぶと、娘の腹の中で返事をするではありませんか。
「部屋は開けてみたか」と訊くと「開けてみた」と答えます。
山男はごぼごぼとお湯のような涙をこぼします。
「おら、うそつかね よめこ ほしかった。おまえこそ、そのよめだ」
感激する山男を、さっき娘に助けられた若者が、ずんと刺し殺しました。

えー。殺しちゃうの!?(意表その3)
山男は魔法が溶けて立派な青年になって、お花と結婚するんじゃないの?!

お花は若者と夫婦になります。
お花はときどき、山男を思い出すんだそうです。
「うそつかね よめこほしかった」
そう言う山男は、けっこう純情だったのかもしれませんね。