七わのからす | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

七わのからす



グリム童話の1つですから、ご存知の方も多いでしょう。

息子ばかり7人もいるお父さんは、娘も欲しいと切願していました。
ようやく待望の娘を授かりますが、病弱です。
お父さんは心配し、すぐにでも洗礼を受けさせようと、七人の息子たちに、水を汲んでくるように言いました。

息子たちは家を飛び出し、我勝ちに水を汲もうとしますが、壺が泉に落ちてしまい、途方に暮れます。

お父さんは、息子たちがなかなか帰ってこないので、どうせどこかで油を売っているんだろうと業を煮やし、
「ぼうずどもめ、みんな、からすにでもなっちまえ!」
と毒づきます。
するとどうでしょう、七人の息子たちは、本当に七羽のからすになってしまったのです。

娘はすくすくと美しく成長しました。
あるとき、うわさ話から、七人のお兄さんがいたけれども、自分のせいでからすになってしまったことを知ります。
そうと知ったからには、助けに行かなくては。

娘は、親からもらった指輪を1つ、パンを一本と水を壺一杯、休憩用に小さな椅子だけ持って、旅に出ます。
そうしてこの世の果てまでやってくるのですが…。
パン一本と水一杯だけで、どうしてこの世の果てまで来られたのか不思議ですし、地の果てではなく、この世の果てというのが、ちょっとぞっとします。
おまけに、そこでは、太陽は小さい子どもたちをむしゃむしゃ食べ、月は冷たくて恐ろしい悪者で「におうぞにおうぞ、ひとのにく!」と娘を食べようとするんです。

しかし親切なお星様が、お兄さんたちの居場所を教えてくれます。
教えられた通り、歩いて行くと、ガラスの山につきました。
ここにお兄さんたちがいるはずなのですが、娘はお星様からもらったひよこのあしをなくしてしまい、戸の鍵を開けることができません。
自分の小指をナイフで切り落とし、鍵穴に差し込むと、うまく合致し、開けることに成功します。

こうして、めでたく魔法が解け、お兄さんたちは人間の姿に戻り、一緒に家へ帰ることができました、というお話なのですが。

ハッピーエンドには違いないのに、なんとなく、読後にもやもやした気分が残ります。
女の子の指はないままでしょうか。

読み聞かせをした子どもたちも、反応が薄く、「グリム童話というのは、こういうふうに、ちょっと残酷なエピソードが混ざっているのよ」と説明しました。