愛は死よりも… | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

愛は死よりも

原作がラフカディオ・ハーンなので、怪談かと思ったら、やはりある意味では怪談なのでした。

だって幽体離脱の話ですから。


乳兄妹のリエンとチュンファンは、深く愛し合っています。

裕福で美貌を誇るチュンファンの父親と祖母は、しかし貧しいリエンとの婚姻は望んでいません。

土地の領主から求婚されると、リエンをなんとか村から追いだそうと目論みます。


チュンファンが、領主と結婚すると聞かされたリエンは、失意の中、村を出ていきます。

あてもなく、ぼんやりと旅をしていると、なんとチュンファンが追いかけてくるではないですか。


ふたりは、豊かな美しい村に着きました。

首尾よく、渡し守の職を得て、子宝にも恵まれ、しあわせに暮らします。


そのうちだんだん、出てきた村がどうなったか、おいてきた父親と祖母はどうなかった、気になってきました。

あるとき、懐かしいその村を訪ねることにします。


チュンファンの家は、出てきたときのままでした。

が、どうしたことでしょう。

チュンファンは、あの日、気を失ったきり、寝たきりになっているというのです。

いったいどういうことなんだ。

リエンが寝室へ行くと、死んだような青白い顔で眠っているのは、たしかにチュンファンです。

しかし、リエンと一緒に3年間暮らした、輝くばかりの気力に満ちた彼女も、たしかにチュンファンなのです。


そのとき、うしろをついてきたチュンファンの姿が光になり、寝ているチュンファンの中に入りました。


そう、チュンファンは、リエン恋しさのあまり、幽体離脱して、魂だけがリエンと暮らしていたのですね。