いぬ おことわり | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。


いぬおことわり

動物園の近くに住んでいる小さいな犬は、かねてより、動物園に行ってみたいと思っていました。

夜になると、吹いてくる風に乗って、あざらしの泣き声や、ライオンの吠え声や、さる小屋のおさるのおしゃべりが聞こえてくるからです。


ある日、飼い主のおじさんが、子犬を動物園に連れて行ってくれることになりました。

子犬はどんなに喜んだでしょう。

しかし、なんということ、動物園の入り口には、

「いぬ おことわり!」

と書いてあるではないですが。


意気消沈して、ひきかえす一人と一匹に、門番のおじさんが、

「にんげんの こどもだったらねえ、いえ、にんげんのこどもみたいに みえるだけもいいんですけど

と助け舟を出してくれます。


そうか、変装すればいいんだ。


そうして子犬は床屋さんで毛をカットしてもらい、さくらんぼうのついた帽子と、水玉のワンピースと、しましまの靴下と、赤い靴と、青いサングラスと、黄色い手袋と、グラジオラスの香水を買ってもらい(なんとも目立つ変装ですね)、後ろ足だけで立つ練習もして、ふたたび、意気揚々と、動物園を目指しました。


門番のおじさんは、すぐに見抜いたようで「おじょうちゃん、ほえないでね。しばふは たちいりきんし」と笑顔で通してくれました。


あざらし、ライオン、パンサー、北極ぐま、茶色のくま、あらいぐま、しまうま、あかぎつね、カンガルー、ワライハイエナを見て、子犬はもうわくわく。

そしておさる小屋に着くと…。


おさるに衣装を全部取られて、子犬だということがすっかりばれてしまいました。


子犬と飼い主のおじさんの、ユニークでほほえましいお話ですが、門番のおじさんの洒脱さなくして、成り立たないお話です。