つくらない彫刻家 | 絵画教室アトリエ・リベルタのブログ

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絵画教室の日々の様子をお伝えします。絵を描くことが好きな方、興味がある方と交流できると嬉しいです。

「何もすることがない

 

 彫刻家は釣りにでる」

 

 

四半世紀も我が家の本棚に眠っていた、

 

戦後日本の現代彫刻界を代表するひとりとして

 

旺盛な作家活動を展開していた彫刻家、

 

福岡道雄さんの著書です。

 

 

 

ヘラ鮒をモデルにするため、

 

彫刻家は今日も作品をつくらず釣りにでる。

 

 

40cmのヘラ鮒が釣れるまで・・。

 

 

そうして出来上がった作品は、

 

黒い立方体の上面に波打つ水面や小舟、

 

釣りをする自分自身。

 

 

 

 

もともと寡作の作家がどんどん作らなくなって、

 

体と時間をもてあまし

 

釣りにでる日々・・。

 

 

そんな孤独な場所で

 

大量の不満や自信のなさを

 

吐き出し続け文章を綴る。

 

 

「全部吐き出して、

 

少し楽になりたいという気持ちが

 

僕のどこかにあったのかも知れない。」

 

 

 

福岡さんは、2005年に突然

 

「つくらない彫刻家」宣言をし、

 

制作を絶ってしまいました。

 

 

そんな福岡さんの姿勢を

 

美術家の森村泰昌さんが自身の著書で紹介した

 

絵本「たいせつなわすれもの」より〜。

 

 

『ふくおかさんは、

 

なんびゃっかい、なんぜんかいと

 

「何もすることがない。」

 

とほりつづけました。』

 

 

何も生きがいになることを見つけられない人は

 

無理に捜さず、

 

その「ない」をそのまま

 

形にする作業を続けていればいい。

 

それが作品になる。

 

芸術の神様は決してあなたを見捨てない。

 

(朝日新聞 折々のことば 参照)