今日は、弾かなくなって6年程調律していなかったピアノを
友達からもらったので調律にきてほしいとの依頼。
ピアノを弾くとおかしい…
屋根蓋をあけると異臭…
もうこの時点ですごく嫌な予感…
ピアノのケースをあけると、やはり、でてきました…。
この小豆のような、茶色いカプセルのようなもの、なんだかわかりますか?
実はこれゴキブリの卵。
ゴキブリは、まとめてこの安全な小豆のような卵(卵鞘 らんしょう)の中に産み出されます。
一個の中に20~40匹が入っているそうで、ちなみに1匹のメスが一生の間に産む卵鞘は30個ほど。
夏など気温の高い活動期にはおよそ40日で孵化し数日置きに産卵するそうです。
産卵期は5~10月ですが「鞘」に入っていることによって護られるため、越冬もするそうです。
ゴキブリには、集合性というたくさんの仲間と暮らしたい欲求が強くあり
単独で行動するよりも集合して行動することを好み、仲間といることで成長までもが早まります。
「仲間の糞」の存在はゴキブリを憩わる効果を発揮します。そしてますます他のゴキブリをも呼び込んでしまうのです。
(見えにくいですが、ピアノの内部のゴキブリの糞です)
これらのことからわかるように、
ピアノの中にこのカプセル卵を一つでもみつけたら、かなりの数の卵が見つかるし、
そこはもうピアノではなく、ゴキブリの巣!
ピアノは木やフェルトでできているので、暖かいし、
以前ブログで紹介した、ねずみ、カツオブシムシなどいろんな虫も住みやすい。
ましてや、使用しなくなると、音も鳴らないと静かだし、
蓋あける事もなければ、湿度もこもり、虫にとっては最高の環境となる。
このカプセル卵は、実はかなり頑丈にびっちり、へばりついていて、なかなかとれない。
こんなピアノの細部にまで卵かついてるし、掃除機ではなかなか吸い込めなくて、ピンセットで一個一個剥がしていく作業は本当に根気がいる。
このように、卵を包み込む様に、近くのピアノの部品のフェルトをかぶせてある卵も…
カビのはえたチャバネゴキブリやクロゴキブリの死骸
鍵盤の下だけでも、色んなゴキブリの種類の卵と死骸、昆虫採集のようにこんなにでてきました。
ゴキブリって見た目が気持ち悪いだけ?って思っていませんか?
食中毒や腸炎の原因にもなるサルモネラ菌などの細菌性病原体を媒介しますし、
ゴキブリの糞などに反応するゴキブリ・アレルギーはハウスダスト・アレルギーの持ち主に多く見られるもので、かなりの健康被害があります。
余談になりますが、私は特にハウスダスト持ってませんが、その私でさえも
実際、このクリーニング作業をすると、手袋マスクをしていても、死骸に繁殖したバクテリアや糞などの細菌が舞ってしまうのか異臭のせいか、発疹がでて、時には、気分が悪くなります。
もちろん健康被害だけでなく、ピアノ被害もかなりのもので糞などを巻き散らかされるとさらに湿度も高くなり、
低音弦なんかにつくと、音も『ボン』っと詰まった音になったりでなくなります。
湿度が高くなると他の害虫も、住みやすくなり、上の写真のフェルトクズは他の害虫がピアノのフェルトを食べたあとです。
皆様のピアノ大丈夫ですか?
まずは、ピアノを楽しむ、ピアノを所有するマナーとして。
ピアノ本体やお部屋、ゴキブリなどの害虫を寄せつけない環境作りが大切。
置き場所もとっても大切。
直射日光のあたらない日当りのよい風通しの良い場所にピアノを置くのが理想です。
住宅事情の問題で理想通りには、いかないですよね。
台所やお風呂場などに近い場所にピアノを置いてらっしゃる方は、
お部屋やピアノのお掃除こまめにしてあげましょう。
ピアノの上に埃をためないでおきましょう。
ピアノ調律師からのお願い。
ピアノは虫の巣ではなく、楽器であり生き物です。
家族の一員として、大切にしてあげましょう。
楽器は保有者を選べないのです。この状況はピアノへの虐待ですよね。
そして、ピアノ調律とは決して調律だけしているわけでは、ありません。
もちろんこのような事にならないために、ピアノ内部の掃除もします。
調律師の『師』は、弁護士や保育士の『士』ではなく、医師の師と同じ。
生きているピアノのお医者さんなのです。
毎回の調律メンテナンスは、悪いところがないか往診しているのです。
ピアノを保有するからには、
使用しなくなっても、このようなことにならないためにも、
定期的な調律メンテナンスは必ずしてあげましょう。
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