『100才まで生きたいですか?』
というアンケートに「YES」と答えた
日本人は26.6%で
中国79.4%、アメリカ62.3%に比べて
かなり低い。
迷惑をかけたくないというのが
日本人の意識らしいけど
何より100才の体になるのは怖いわ~
先日、安楽死のためにスイスに渡った
女性のニュースがあったけど
日本では医師が安楽死で裁判。
日本にもそういう人の意思を尊重する
法律があればいいのになと常々思う。
そんな日本社会に果敢に挑んだ映画
『PLAN75』(2022)
日本・フランス・フィリピン・カタール合作
早川千絵・監督/脚本
高齢者が襲撃される事件が相次ぐ中
75才以上で死を選ぶ権利を認め
それを支援する制度《PLAN75》が
国会で可決された。
まさしく当事者である高齢者
78才のミチ(倍賞千恵子)は
同じ高齢者たちとホテルの
客室清掃員として働いていたが。
身寄りがないミチの友人は
その同僚たちだけだった。
中でも稲子(大方斐紗子)とは
一緒に買い物をしたり家に泊まったりする仲
健康診断の会場でも
PLAN75を推奨する映像が流れている。
その無神経さに怒ったのか、男性が
モニターのコードを荒々しく引きぬく
仕事中に稲子が転んでケガをしたのを
きっかけに全員解雇されてしまう。
稲子のケガは治ったものの
自宅で亡くなっているのを
訪ねたミチが発見する
絶望する中、やっと見つけた仕事は
工事現場の交通整理だった。
市役所職員のヒロム(磯村勇斗)は
PLAN75の窓口担当で
高齢者に親切に対応する好青年
にこやかにPLAN75の説明をするヒロム。
火葬・埋葬を他人と一緒に行う
合同プランだと無料なので
支援金の10万円を自由に使える、と。
「それだと寂しくないわねえ」と
笑顔の相談者。
役所の外でもPLAN75の受付を
行っているが
ペンキを浴びせかけられることも。
ある日、申し込みにやって来た老人が
20年間音信不通の叔父だと気づき驚く。
父親の葬式にも来なかった叔父だったが
住まいを訪ね、世話をする。
ヒロムは役所の取引業者の名が気になり
検索してみると
廃棄物リストの中に〝残骨灰〟を発見!
合同プランの真実を知る
生まれつき心臓が弱い5才の娘をもつ
マリアは、その治療費を
日本に稼ぎに来ている。
介護施設で働いていたが
給料の高いPLAN75の関連施設を
紹介される。
施設で遺品を分別するマリアに
男性がその中の時計を手渡そうとする。
マリアは断ったが…
ある時
財布の中に紙幣を見つけたマリアは
躊躇するが、見ぬふりをする男性。
***最後までネタバレします***
ついにPLAN75の利用を決意したミチ。
実施日まで電話でサポートを受ける。
担当するコールセンター職員の瑤子
あー『不適切にも…』の純子!!!
河合優美だったー
「規則違反だけどバレなければ」と
ミチの頼みで直接会った瑤子は
ミチをボーリング場に連れて行く。
若者たちとハイタッチしたり
笑顔で過ごしたミチ。
最後の電話サポートで瑤子は
当日 家を出る際の規則を述べた後
「万が一お気持ちが変わられたら
いつでも中止できます」と淡々と
(心では願うように)伝える。
ヒロムは叔父を車に乗せ
PLANの施設に向かう。
途中で食事をとり、送り届ける。
ついにその日を迎えたミチ
職員の事務的な処置の後
横たわりマスクをつける。
ふと横を見ると、隣りの台では
老人が静かに亡くなっていった。
ヒロムは、施設に引き返したが
すでに叔父は息を引き取っていた。
その遺体を盗み出すように
車に乗せたヒロム。
火葬場に問い合わせると
混み合っていて4日後になるという。
もしくは当日16時に空きがあると聞き
猛スピードで走っていると
パトカーに止められる
ヒロムが叔父を運び出すのを見つけ
手伝ったマリア。
ヒロムの感情に触れてホッとしたのか
晴れやかに自転車を走らせる。
ここまでなかった画面の明るさに
こちらもホッとする。
死ねなかったミチ
(どうも不具合でガスが出なかったらしい)
施設を抜け出し 高台で夕日を見つめる。
画面から消えるように踏み出した。
END
制度によって殺されるのでなく
自ら死を選んだのかと私は解釈したが
真相はわからない。
このPLANは個人的にはあっていいと思う。
75でなく何才でも
本当に必要な場合に利用できるなら。
不幸な事件や犯罪の防止にも
少しは役に立つかもしれない。