8月に入り戦争のドキュメンタリー番組が
過去のものも含めて続々放送されてる。
***NHKプラスで視聴できます***
当時の日本はロシアや中国と何も変わらず
いや、もっと恐ろしい国だったらしい。
Nスペ選『戦慄の記録 インパール』
とNスペ『ビルマ 絶望の戦場』
では莫大な量の当時の記録から
実情を事細かく読み解いていて
“戦慄”と“絶望”しかない戦場だった。
軍上層部のあまりにも
お末粗で冷酷卑劣な様に怒り
命令に従うしかなかった十万以上の兵が
ほぼ見殺しにされ、その悲惨さに
心臓がえぐられそうになった。
第二次世界大戦で
大東亜共栄圏なるものを手中に収めようと
欲張った日本軍の惨敗ぶりは
占領していたイギリス軍の記録からも
早々に予見できていたのに
「絶対に引くな」の強硬な姿勢を貫き
戦地の兵たちは目的すらわからずに
何百キロもの行軍の中で 病死・餓死し
遺体からの窃盗、人肉での物々交換さえ
起こっていたという。
無残な遺体写真が恐怖でしかない。
現在も存命している元兵士は思い出すと
耐えられないと言葉を詰まらせる。
戦地から離れた地で、実情を知りながら
作戦を推し進めていた上級将校たちは
日本から出店していた芸者料亭で
毎晩酒盛りなどに興じていたという。
いよいよ危険が迫った局面では
さっさと逃げ出して
兵士や企業の一般人たちはすべて置き去り。
最悪
遺族じゃなくてもボコボコにしてやりたい
また、日本兵たちの蛮行も筆舌に尽くし難く
忘れてはならない。
“戦犯”としての処刑から逃げ切った輩も
多数いたにちがいない
数年前の再放送で見た『ゲゲゲの女房』で
しげる(向井理)が戦地ニューギニアで窮地に陥り
両親(竹下景子と風間杜夫)がそれを夢で見て
布団の上で必死に祈るシーンには
恐怖で胸が張り裂けそうになったわ~
あの戦争を体験した人々、亡くなった方々に
敬意を払わずにはいられない。
平和な日常をムダにしてはいけないと
つくづく感じる。
『エスケープ -ナチスからの逃亡-』
原題 Bird Catcher (2020)
ナチス占領下のノルウェーでの
“実話に基づく逃亡劇”らしいけど
情報が全然なくてどこが実話なのか
よくわからない。
1942年のノルウェー
女優を夢見る14歳のユダヤ人少女
エスターの日常は
ナチスの占領により一変する。
(20代後半の女優ではムリがあるなあ)
隣人である警官から危険が迫っていると
助言されても信じなかった結果
理髪店を営む父親は強制連行されてしまう。
母娘は車の荷台に乗せてもらい
ノルウェーから脱出しようとするが
見つかり、降ろされる直前に
母親がエスターを隠してそのまま行かせる。
1人になってしまったエスターは
山道を走る車の荷台から飛び降りて
来た道を引き返すが
雪の中に、母たちの遺体を見つける。
何もかも失ったエスターだったが
生きることを決意し、父親のカミソリで
髪を短く切り、男の姿で
ナチス将校ハーマンの車の前に飛び出し
「イギリス兵に両親を殺された」と
助けを求める。
**将校を演じるアウグスト・ディールは
先日レビューした『復讐者たち』主演で
収容所から生還したユダヤ人役だった**
彼らが向かった先は親ナチスの牧場で
働き手が必要な牧場主は
エスターを家に置くことにする。
そこで予想外の待遇を受けることになる。
逃亡中のエスターを見て正体を知っていた
牧場主の息子アクセルは秘密を守ってくれた。
牧場主は、足に障害のある息子を邪険にし
その存在を隠そうとさえしていた。
代わりに、
“ウーラ”と名乗る少年(エスター)を頼りにし
仕事を任せるようになる。
男なら多少うれしくもあるだろうけど
エスターにとっては有難迷惑な話だ。
しかし器用で頑張り屋のエスターは
その期待に応えていく。
(ウーラ、SixTONES の田中樹にそっくり)
狩りで仕留めた鳥を躊躇せずさばくウーラ。
この作業は男らしさの象徴らしい。
***ドラマ『六本木クラス』で早乙女太一が
父(香川照之)に無理やり鶏を絞めさせられ
そのトラウマから、見合いの席で
ローストチキンを見て青ざめて逃げ出す
滑稽なシーンがあった***
ナチス兵が
ユダヤに協力した裏切り者を牧場に
連れてきて、エスターに「男を見せろ」と
拷問するよう促すが
その人はエスターたちを逃がそうとした
隣人の警官だった。
女優志望だったエスターに
「演技しろ」と耳元でささやいた警官を
エスターは殴りつけ、その場から逃げ出した。
問題はナチスだけではなかった。
牧場主の弟はアル中で働きもせずに
「跡を継ぐのは俺だ」とエスターに忠告する。
妻アンナはナチス将校ハーマンと
浮気していた。
ある時、妻アンナはエスターの様子を見て
女の子だと気づくが黙っていてくれる。
横暴な夫への抵抗だったのかもしれない。
***馬まで田中樹そっくり***
牧場にはナチス兵たちがたびたび訪れ
酒盛りをしていく。
牧場主は息子ではなくウーラを自慢気に紹介した。
無理やり酒を飲まされることもあった。
牧場主はナチスとうまくやっていく算段だったが
ナチスに牧場を没収すると通告され
愕然
ある晩
悪乗りした兵士たちに服を脱がされ
エスターはとうとう女だとバレる。
エスターは一気に爆発し
「私はユダヤ人だ!
牧場主はユダヤ人をかくまっている!」
と叫んで逃げ出し
兵士らのいる小屋に鍵をかけ火をつけて
アクセルと逃げようとする。
*** 衝撃のネタバレ☟はザクっと ***
その後、牧場主と将校ハーマンは
戦争そっちのけで男と男の銃撃戦!
あきらめた様子のアンナは「ここに残る」と言い
エスターはアクセルと
スウェーデンとの国境を目指すが…。
終戦後
エスターは父の理髪店で美容師をしていた。
そこに、髪を短くし帽子をかぶった女性が
訪ねてくる。アンナだった。
***終戦後、ナチスに協力した女性たちは
髪を短く刈られ、蔑まれたという***
居合わせた客からも差別的な言葉を
投げかけられるが
エスターはその客に帰ってくれと言い
アンナを受け入れるのだった。
以前レビューした実話映画☟
『ザ・ハント ナチスに狙われた男』も
ノルウェーから決死の国境越えで
ナチスから逃れようとする話だった。
過酷さは比べようがないが
どちらも人と人のつながり無くしては
成し遂げられない逃亡劇
超絶スリリングで心にささる感動作です。
牧場主を演じたヤコブ・セーダーグレン主演の
『ギルティ』 (2018)
ずっと前に観たまま未レビューだった。
警官アスガーは若者を射殺した罪で
裁判を翌日に控え
緊急通報指令室のオペレーターを務めていた。
やる気のないアスガーだったが
勤務終了間際に受けた1本の電話で
緊迫の追跡劇を繰り広げることになる。
1人の女性が誘拐されていると思われ
アスガーは元相棒に捜査をさせる。
犯人と思われる元夫が親権を巡り
女性ともめている状況や暴行の前科を知る。
家に残された子どもの異様な姿から
事件の深刻さは増す。そして…
必死に救い出そうとした女性との会話から
恐るべき真相が明らかになる。
最初から最後まで指令室で指示を出し
通報者や夫、子供との会話で事件が
進んでいくシチュエーションスリラー。
解決と同時に
アスガー自身の事件の真相も明らかになり
心境の変化で幕を閉じる。