まるでハリウッド映画!な『青春の殺人者(1976)』市原悦子さん追悼① | 黒柴恭ちゃんと映画とアトリエ製作の日々

黒柴恭ちゃんと映画とアトリエ製作の日々

2017年11月東京から徳島に電撃移住♫
元気過ぎる黒柴♪右恭(うきょう)の甘えん坊&暴れん坊ぶりを
主に綴っています。
時々、愛する映画のレビューと
自宅アトリエでのバッグ製作にも触れています。
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長谷川和彦 初監督作品

『青春の殺人者』 (1976)

原作:中上健次 『蛇淫』 /製作:今村昌平

キネマ旬報 日本映画ベスト・ワン

水谷豊演じる斉木順は父親名義のスナックで

やとわれマスターとして働いていた。

親に取り上げられた車を取り戻しに実家に帰った時に

一緒に暮らしている幼馴染のケイ子と別れるように言われ

激高し、父親を刺し殺してしまう。

過保護な母親は驚くものの

「お父さんは海が好きだったから」死体を海に沈めて

家を売ってしまって

分譲マンションを買ってふたりで暮らそうと言う。

一度あきらめた大学に行って、時効まで我慢して

いいお嫁さんをもらって…とまくしたてる。

この長いシーンの主役は完全に市原悦子!

大竹しのぶの原点はこれか!と思うような狂った母親を大熱演!

(舞台女優ゆえにカメラ目線で見栄を切ってしまうのだとか)

遂には一緒に死のうと殺されそうになり、母親も殺してしまう。

蛇のような女と言われているケイ子を演じるのは

17才の原田美枝子。度々全裸になります。

水谷豊は24才。こちらも全裸シーンを披露。

じゅんちゃん、じゅんちゃん、ねえ、ねえー、

耳障りな原田の声があまりに繰り返されるので

聴いてるこちらがノイローゼになりそうでした。

結婚することになった友人に桃井かおり&江藤潤、

そして実年齢がかなり上の地井武男も同級生。

オープニングからなぜか英語歌詞の洋楽が流れてて

違和感がありつつも

いい曲なのできっと有名な名曲なんだろうと思ってたら

ゴダイゴ!全部ゴダイゴ!

モンキーマジック♫のイメージしかなかったけど

すごいミュージシャンだったんだーーびっくり

ビートルズの曲を使いたかったけど

総予算の何倍ものお金がかかりそうで断念したとか。

 

順の実家で死体を見てビビりまくる地井武男のシーンは

予告編にしか使われず、全カット

上の写真のシーンだけの出演になり怒ったそう。

このデラックス版DVDには

本編以上に興味深い

長谷川和彦監督のインタビュー映像がついている。

映画の世界に入るまでの話から

「理由なき反抗」みたいな映画を撮らないかと言われて

本作を撮ったこと

『ジェームズ・ディーン』になってくれと水谷豊に出演依頼したこと

原作者の中上健次に会い、

『蛇淫』が実話に基づく話であることを知り、

事件関係者に会い調査したこと

スタッフの中にいた

相米慎二(のちに『セーラー服と機関銃』など監督)のこと

などなど

長谷川監督のキャラクターもかなり魅力的。

この『青春の殺人者』、多くの人に影響を与えてきている。

今見てもハリウッド映画っぽくて

主演はブラピとウィノナ・ライダー

母親に『ミザリー』のキャシー・ベイツあたりを

思い浮かべながら鑑賞してもおもしろそう。

 

これから水谷豊の『相棒』 見まーす。