昨日は、昨年10月15日に亡くなられた詩人、入沢康夫さんを偲ぶ会が東京・市ヶ谷の「アルカディア」で開催され、夫が田野倉康一さん、思潮社、書肆山田とともに世話人をつとめさせていただいた。
早朝、夫から出席者名簿の作成・印刷、会場に飾る詩の拡大コピー、貴重な本の飾りつけ方法についていろいろ頼まれた。運悪く昨日はエルスール財団記念館のスタッフが誰も都合がつかず、私が担当することになっていたのだが、「入沢康夫さんを偲ぶ会」のお世話の方を優先するため、急きょ休館にした。
(お越しいただいたみなさま、突然の休館で申し訳ありません!)
午前中にそれらの用事は済んだので、午後からは恵比寿の「サラ・プランタ」で自主練をすることもできた。ランチはお気に入りのカフェ「アンティコ・カフェ・アル・アビス」で、パニーニのポルケッタとエスプレッソ(ダブル)。
カフェを出てスタジオに向かうと、知り合いとばったり。某舞踊団所属のバイラオーラと、バイラオールの土方憲人さん。自主練ということもあって、ディズニーキャラクターのかわいらしいTシャツをあらかじめ着ていた私は、あわてて隠そうとしたが後の祭り。二人にしっかり見られてしまった。(笑)
(油断禁物。いつもきちんとした格好をしていないと……)(汗)
自主練後は一度自宅に戻ってから、「アルカディア」へ。詩の拡大コピー、本、出席者名簿などは、夫がカルチャーセンターの講義で出かける際に持って出たが、貴重な本を入れる箱は大きすぎるため私が運ぶことになっていたのだ。
17時過ぎ会場着。すでに世話人や受付お手伝いのみなさんが忙しそうに準備をされていた。そして祭壇には入沢先生――私の恩師でもある――の素敵な写真が飾られていた。
以下、昨日の式次第。司会は詩人の川口晴美さん。
●世話人の挨拶 野村喜和夫
●スピーチ 安藤元雄さん
●スピーチ 池澤夏樹さん
●乾杯 三浦雅士さん
●食事・歓談
●スピーチ 城戸朱理さん
●朗読 広瀬大志さん
●ご家族(ご子息、入沢明夫さん)からのメッセージ紹介
●世話人の挨拶 田野倉康一さん
世話人の挨拶も、スピーチも、乾杯のご発声も、朗読も、すべてが素晴らしいもので、入沢さんという稀有な詩人の有様が浮き彫りになった。
冒頭の安藤元雄さんによるしめやかな言葉に心揺さぶられた。次に、入沢さんが『詩の構造についての覚書』を書かれていた頃におっしゃったという「詩とは、感じているものを書くものではなく、作るものなのです」という言葉を三浦雅士さんが紹介してくださったり、また古事記の現代語訳することによって入沢さんの『わが出雲・わが鎮魂』の意味がようやくわかって来たとおっしゃる池澤夏樹さんのことば、そして愛弟子で「洗濯船」の同人である城戸朱理さん、広瀬大志さん、田野倉康一さんのことばにも感じ入った。写真は広瀬さんの朗読。
この会では、30年ぶりに会った大学院時代の仲間や後輩とも話すことができた。
また、これまでさまざまなフェスティバルやダンス公演でお世話になった三浦雅士さんとも初めてのツーショット。なんだか嬉しい。
入沢先生がたくさんの方と引き合わせてくださった気がする。
入沢先生は特別な存在であったにもかかわらず、教え子であった私には、これまでその「凄み」があまり理解できていなかった気もする。いろいろな方のお話を聞くことにより、これからジェラール・ド・ネルヴァルをどう読み、入沢作品とどう向かい合っていこうかと考えさせられた日になった。
先生、本当にお世話になりました。どうぞゆっくりとお休みください。