2019年4/19〜21
そして、今回一番絡んだ
池袋のcafe&bar木星劇場で上演しました
風凛華斬第18回公演
「Live together!〜同棲はじめました〜」
無事に全6ステージを終演致しました。
御来場くださった方、
今回初実装の「スペシャル応援チケット」で応援してくださった方、
応援の言葉をくださった方、
本当にありがとうございました!
恒例の、役メイキング・演者としての感想とかを綴っていきます。
あれです、あの幽霊さんはとてもクセが強くて、ちゃんとお焚き上げしないと帰ってくれそうにないんです(笑)
今回は少し念入りに考えていきたいと思います。
ちなみに今回は、アトリエラビラントでもお世話になっているkazさんにゲネプロで舞台写真を撮っていただきました。
明かりや光の表現が素敵なkazさんと、いつもうちの照明を担当してくださる細井さんのコラボレーションで、
大変エモーショナル、そして躍動感あるお写真をいただきました。
kazさんの舞台写真、その他キャスト同士で撮影した写真と共に綴ります。
○実は名前がある幽霊さんについて
本編で名前を呼ばれないのでパンフレットにしか載ってないんですけど、
幽霊さんには「サチ」という名前があります。
「死人を気持ち悪くやれるのは、この座組でお前が随一」というありがたい(?)評価を主宰・SIN(局長)から貰い、座組がスタートする前から配役がほぼ確定していました。
ある日脚本執筆中の局長の様子を見に行ったら、役の名前を考えていたんですけど、私の役にはサチという名前がついてました。
座組発足時点では脚本はオチまで書かれていなくて、「男に捨てられ自殺した」という設定しか無かったため、
幸が薄いのにサチさん、という半ばギャグな理由で名付けられました。
それが最後まで書かれたら、まさかの幸せ幽霊さんになってるなんて、この時には想像もしませんでした(笑)
ちなみに、風凛華斬の作品世界が全て同一の世界なのはたまに局長がお話してると思うんですが、
サチは全作品に現時点で登場している中では最強クラスの幽霊です。
精神干渉(人の意識の方向を変える)、物理干渉(ふすまをあける、コーヒーを飲む、ナイフを取り上げる)の両方の能力を持っているのは、
神の使いである英霊を除けば、サチだけのようです。
やったぜ、最強(暫定)の称号を得たぜ!
でもその分、死んだ時の恨みが強かったってことかもしれませんね。
○生きてる体で死んでるという初体験
私は役を演じる上で役を大きく二つに分けています。
その役が物語を語るか、役割を語るか、ということです。
前者は、その役の人生が物語の主題(の一部)であること。後者はその役が物語の中で持つ役割が重要であること、と考えています。
たぶんほんとうはもっと細かく色々あると思いますが、それはまだ研究の途中です。
で、サチはどっちなのかというと、役割の方です。
というか、この「りぶとぅぎゃ」というお芝居自体が物語を伝えるというより、勘違いしてるヤツらと焦るヤツらを見て笑っていただくことを目的にしていたので、
多分ほとんどのキャラクターが、今回は「役割型」だったのではないかと思います。
もちろん、役作りの上ではバックボーンを考えたりして役者自身がその人物に肉付けをしていきます。
あくまで物語の「構成」のお話です。
サチには怖さ、不気味さ、邪悪さで登場人物(主に空き巣の男。実は後藤という名前があります。彼も作中で1度も名前を呼ばれてません)を翻弄するという役割があったので、
ヒトらしくなく、いかに「それ以外の存在」であるかに一番こだわって演じました。
死んでるのに意思を持って干渉してくる存在に私は出会ったことはありませんが、それらのフィクションは存在するので、それらを参考に。
次の項目で詳しくメイキングと参考にしたものをお話しますが、
ヒトじゃないものを演じるというのは、普段生きている私自身と違う生理(体の働き、動き)でいるということでした。
その体験は、自分の体で演じるというより、
自分の体という人形を、どうしたらヒトじゃない、気持ち悪い生物に見せることが出来るかと、
自分の体に対して一歩引いたところから自分の体を操作する、人形劇の「操演」のような感覚でした。
結果、最前列のお客様に、「近くに来た時怖くて目を逸らしてしまった」というご感想をいただきました。
頑張った成果だと思います。非常にありがたいことです。でも、怖がらせてしまってごめんなさい。
感情面では、多くの幽霊などの超自然的存在が「理不尽」なので、とにかく振り幅を極端にしました。
ちょっとの事でめっちゃ怒る、笑いだしたら止まらない。あと、めっちゃ怒ったら人間より獣に近くなる。
いつも生きている時と違うことをしていたので、とてもお腹がすきました。
私の解釈なのですが、
死んで、幾人かの人を手にかけている(注:ただしみんな成仏してしまって仲間にはなってくれなかったby局長)らしいので、性格の変容が凄まじく、特に性格の悪さが振り切れています。
いやらしい笑い方もします。人を困らせることに快感を見いだし、惨劇を何よりも好みます。
善悪<自分の楽しさ。
歪み果ててます。ねじ曲がってます。
桃子の話で浄化されてからは本来の性格に戻ってます。実は割と世話焼き、そして可愛い女性です。申し訳なさとかも普通に感じますし、困ってる人をそのままにしておけない。
動きもそれとなく、生きてる人間に寄せましたし、瞬きもしてます。
でも、浄化前後で共通の癖がありました。気づいて貰えてたら嬉しいです。
○参考文献 of サチ
お察しの通り、サチの動きの参考は
貞子さん伽椰子さんの、現代ジャパニーズホラー二大巨頭です。
私は結構髪の隙間から見えていたのでそんな自覚なかったんですが、割と目はしっかり隠れてたみたいですね。
最終日の2公演はカーテンコール中に邪魔になって前髪をかきあげたんですが、
ちょっとどよめいたので面白かったです。
ヒトは見えないもの・分からないものに恐怖を覚えると言いますが、「目は口ほどに物を言う」という言葉の通り、その意図が全く理解出来ない出で立ちのものはそれはもう怖いですね。
写真を見て、自分自身でビビり倒しています。
今回参考にしたものですが、
私はホラーが死ぬほど苦手なので、本編を見ることが出来ませんでした。
参考にさせて頂いたのにしっかり観ていなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
貞子、呪怨の予告編、その他、大きいものから小さいものまで、とにかく予告編を見まくりました。
また、ホラーな漫画も少し読みました。
それだけでも十分怖かったです。
映像はどれもYouTubeで繰り返し見ることが出来、本当にいい時代になったなーとオバチャンみたいなことを思いました。
Amazonプライム会員なので、本当はいつでも本編が観られるのですが、怖くて無理です。
なんだよ、布団に入ったら掛け布団と自分の間から俊雄くん出てくるなんて。卑怯だろ。布団はサンクチュアリなのに。
普通の生きてる女性ならはしたない仕草も、幽霊は死んでて生者の常識からは外れていいので、道歩いてて遭遇したら「ちょっと近寄らんとこ…」みたいな気持ちになる動きをふんだんに取り入れてみました。
目が外から見えないので首の動きで関心の対象を追うんですが、
その時の首の動きも、ヒトっぽさをできる限り排除できるよう、あえて違うことをしました。
なお、キレた時に爪を立てるような手つきをしてたのですが、これはたまたま通り掛かったパチンコ屋の看板の貞子さんを参考にしました。
爪を立てる仕草はヒトではめったにしませんもんね。
人生、何が役に立つかわかりません。
そして、もうひとつ。
多大な影響を受けたのが、2.5次元の舞台で活動なさっている鈴木拡樹さんのお話でした。
本当に、何が役に立つかわからない。
「スーッと滑るように歩いて欲しい」と演出から指示がありましたが、
実は、鈴木拡樹さんが演じてらっしゃる刀剣乱舞の三日月宗近という役がそんな動きをするのです。
稽古期間中はちょうど映画刀剣乱舞の公開中だったので、私も2回だけ観たのですが、刀剣乱舞クラスタの方々の「鈴木拡樹版三日月宗近のここが凄い!」みたいな感想で
ティン💡
となって、三日月宗近をガン見してました。
結果、鈴木拡樹さんの話題に敏感になってしまいました。思わぬ副産物。
また、時を同じくして上演された舞台「どろろ」で、体を奪われた主人公・百鬼丸の役を鈴木拡樹さんが演じられているのですが、
生身の体ではないので息が上がらない(殺陣をやっても舞台袖で整える)・まばたきしない(舞台袖で目薬をさす)というエピソードを耳にして、
これだ💡
となりました。
舞台なのでそういったことは難しいのではないか、と思いましたが、小さなことでも体の限界に挑戦していくのはとても楽しかったです。
これが、さっき書いた「操演」の感覚の由来でもあります。
本当に、いつどこで見た何が役に立つか、分からないものです。
映画刀剣乱舞はいいぞ。4DXが楽しみです。
(2019.06.01 追記)
Twitterに書いたのでこちらでも…
ちょいちょい書き忘れた参考文献がありました。思い出せたので忘れないうちに書きます。
・サチの怨霊モードマックスの発声→ウォーキング・デッドのウォーカーの喉の奥から出るあの声(シャー、シュワー、アラビア語のkha〜みたいなアレ)
・髪型、顔の隠し方→松(A・TYPEcorp.)様の「キラーズ・ホリデー」のヨシエさん
・お化粧→鳥居みゆきさん
でした。キラーズ、書籍化本当におめでとうございます。本で読めるのすごく嬉しいです。
キラーズはいいぞ(布教)→https://www.pixiv.net/user/18923/series/27743
あと、映画刀剣乱舞のMX4D本当に良かったです。桜ひらひらいい匂いでした。
追記終わり!
○お化粧 of サチ
実は、アトリエラビラントで主宰の伴蔵さん、副主宰のkazさんに教えて頂いたメイク術が応用されています。
あのイケメンレディの顔を作る技術で?!
と私自身びっくりなのですが、影とか顔色とかの技術が本当に役に立ちました。
最前列の方にしか見えなかったと思いますが、血色を悪くするために爪に透明の青マニキュアを塗ってました。マットな質感になるトップコートが存在するらしいので、それを塗ればもっと自然でよかったかなと思います。
ちなみに、アイラインを入れる前の顔はROBINちゃん曰く「5徹した人の顔」らしいです。
整髪料のCMをする幽霊(撮影:ROBIN)
髪の毛は暴れても大丈夫なように、野村恵美ちゃんにセットの仕方を教えてもらいました。ありがとー!
なお、絶妙にダサく見えてしまうワンピースはメルカリで買いました。インポートのもののようで、ROBINちゃんの見立てではヴィンテージなのではないかということです。
メルカリはすごいです。
○おまけ:みんなと自撮りしたよ
困ったことに、今回の衣装もメイクもアレなもんで、みんなとした自撮りが全部心霊写真になりました。
士郎役・吉田紳。
圧倒的発想力で次々と演技パターンを提案してくるモンスター。ダシンとは初舞台からずっと一緒に風凛華斬でお芝居をしてるので、彼の成長に感動すると共に、年上の者として多大なる焦りを感じてます(笑)
座組の精神的支柱も務めてくれました。おねえちゃんうれしいです。
殺陣パフォーマンスで斬り殺すととても気持ちいいリアクションをするので、次は舞台上で戦ってみたいです(私が勝つ前提)。
そんなダシンのリアクション力が見事に発揮された舞台でした。
美沙役・あおいはるとちゃん。
数年前にとあるお仕事で出会って、それからお友達になって、そして前回公演に出演してもらって。そんなお付き合いです。
肌がびっくりするほど白い。忙しい中出演してくれました。みるみる可愛くなる彼女ちゃんキャラにおねえさんは萌え萌えしっぱなしでありました。
彼女の趣味や好みの範囲はとてつもなく広く、同じYouTuberさんを推してることもあって、なんかそういう意味でも、一緒にいられてとても楽しかったです。
美沙の父、孝造役・石倉瑞樹くん。
本当に23歳なんですか?忙しい人その2。ぎょえー!みたいなリアクションが大変良いので、サチのことが見える美沙父を脅かすのはたいへん楽しかったです。
あの声どこから出てるんですか。
体を大事にしたまえ。
祐司役・平野真哉くん。
大変なこともいっぱいありましたが、無事に舞台に一緒に立てて良かったです。同い年メンバーのひとり。
お互いがんばろーね!
美空役・山田奈津美ちゃん。
同い年メンバーのひとり。なっちー。
約3年前の舞台で初共演したものの、その時は会話がまったくない役同士で、ほとんど交流がなかったのです。今回、お芝居の内外でたくさんコミュニケーションが取れて嬉しかったです。
出身地が同じ(ただし町が離れてて会話の種にならない)、同い年、同性、自団体での立場も似てる、ということで共通点も多くて、
近頃年下の方と芝居することが多くなってきた私にとって、いつも意識してしまう相手でした。
なっちーの美空は一番サチの嫉妬を浴びたのですが、かわいくて、気遣いができて、幸せそう(でも実は悩んでた)な美空は、サチが手加減なく盛大に憎悪を向けられる存在でした。
間接的に関わる絡んでるように見えて絡んでなくてちょっと絡むシーンはすごく楽しかったです。
でも美空にはサチが見えてなかったので、次に共演する時は会話のある役だったらいいなー。
桃子役・野村恵美ちゃん。
かわいすぎる。妹かペットにしたい女の子。本人はかわいいと言われ慣れてないそうなので、たくさんかわいいと褒めてあげてください。
どんどん良いお芝居をするようになっていって、私を密かに焦らせている人です。直近の年下がめちゃすごいと、怖くない?
ガラが悪い役が多いらしいですし、ルックスもかっこいい・綺麗寄りですし、だけど素の性格はすごく可愛くて、私がキリキリしちゃっても、めぐちゃんに会うと心が和んじゃうような、そんなとっても素敵な人です。
また一緒にやりたい。そして今度は会話をできる役でありたいです。
そして、今回一番絡んだ
後藤役・大西青樹。
同い年メンバーのひとり。出会ったのは約3年前ですが、今回が劇団員になって初めての公演でした。
2年前の本公演「Rebirth/Reverse」もそうでしたが、一番セリフ量が多いのに真っ先に台本を見ずに稽古に臨む姿は、いつだって我々を焦らせてくれます。座組を牽引する存在。
私は割と、こうやって役について喋りますが、彼は寡黙に陰で努力を重ねてから稽古場に来ます。強い。
元はイケメンなのに、老けメイクが大変良く似合う。
心の動きのせいで身体が反応してしまい汗が止まらなかったという後藤氏。そんな恐ろしくも役者としてすごい体験をしてたようです。
芝居が変わればリアクションを変えてくれる、ミスをカバーしてくれる、一緒にやると多大なる安心感をくれる役者です。
一方、打ち解けるにつれてシュールにふざける姿も見せてくれるようになりました。顔がいいのに少し奇妙な奴の行動を、これからたくさん発信していきたいです。
今、この年齢で、同い年の彼が劇団員に加わってくれて良かったです。絶対に負けたくないやつです。
そして。
公演を支えてくださったスタッフの皆様。本当にありがとうございました。
特に制作班。チーフ兼任状態では私は舞台に立てなかったはずです。
本当に本当に、ありがとうございました。
…おまけって長さじゃなくなった!(笑)
○サチがくれた今後の目標
断髪式してきました。
そんなわけで、長く感じたこの #りぶとぅぎゃ の準備期間・公演も、終わってみれば一瞬のことでした。
ギャグシーンは演じたことあれど、コメディ主体のお芝居は初めてでした。まだまだやってみたかったことがあるので、その気持ちはこれからのステージに活かしていきたいです。
さて。
「キモさ」の演技では、今回の座組で私は誰にも負けなかったと思っています。
きっとみんな、やったら出来ると思うんですけど、やってる間に私だってもっともっと気持ち悪くなります。
「女どころか人間まで捨てやがった」
と言われ、それを誉め言葉として捉えています。楽しかったです。
思うに、世の中には綺麗どころの女優さんはたくさんいて、そういう綺麗な人を好きでいたい人もたくさんいると思います。
でも、気持ち悪くなっても一切心が傷つかない、むしろ気持ち悪いと言われることを賛辞ととれる女優はそんなにたくさんはいないと思います。
サチをやって、心底楽しんだ私は、そんな枠を狙っていきたいなぁと思うようになりました。
怪演、怪優。
その言葉って、ただ奇抜であればいいんじゃなくて、しっかり根拠を持って、繊細に感じ取って、ちゃんと努力した人じゃないと得られない称号だと思うんです。
飛び道具のように見えて、実は精密な最終兵器。
でも、だからこそ、綺麗だったりかわいい役もやれるように。
だって、たまにかっこいい役もやる私を好いてくれてる方もいますし!いつもありがとうございます。
主宰・SINによりカメレオン役者として育てられつつある私ですが、そんな新たな指標を得ました。
役者さんの追っかけ方というのはいろいろあると思うんですが、私を追っかけた時の面白みとして、
私がいろいろできるようになったがために、いろんなジャンルの物語を楽しめてしまう、
という状況を目指してます。
それは舞台だけじゃなくて、ゲーム、ボイドラ、動画、様々なエンタメジャンルです。
だから、もし今末次が好きだったり、末次に興味があったら、これからも楽しい驚きを届け続けますので、どうぞ楽しんでください。
あと、この前も少しツイキャスで話したのですが、私は堅実に社会を回すタイプの仕事にあまり適正がなかったので、そういうことをしてくださってる方の心を明るくして生きていきたいです。
私が生きるには、私と別の生き方をしてる方々が不可欠です。
私を生きさせてくださって、ありがとうございます。
そんな感じで!
風凛華斬の次回公演は冬を予定していますが、それまでの間、個人的にやりたかったことをいろいろやっていきたいと思います。
直近は5/1のSCP財団日本支部オンリーイベント「収容違反インシデント003-2019」。
ステージでも、ハンドメイド作家としても、楽しんでまいります。
スペースNo.はB33b「Lyco+39」です。
ステージ参加は13:20からの登場です。
SCP好きな方は会場でお会いしましょう!
動画、声優方面でもゴールデンウィーク以降からもりもり動きたいと思いますので、楽しみにしていてください。
それでは。
これにて、一旦ばいばい、サチ。また会うかもね!
改めまして、#りぶとぅぎゃをお楽しみいただき、本当にありがとうございました!
これからもどうぞよろしくお願い致します。
末次由布子