知好楽 | 境目研究家@ありさん。

境目研究家@ありさん。

世の中色々な境目があります。成功する人しない人、うどんの関東ダシと関西ダシ、氣になる境目研究します。

【今日の良い言葉 526 (160)】

おはようございます。

今日も中国、江門市からの発信です。

今日もお仕事で出勤です。

中国でも現場の心に火をつけて回っており、
いよいよ「奇跡」起ころうとしています。

やっと逆境を楽しむ余裕が出て参りました。


では早速今日の良い言葉。

今日は
『致知 』5月号、総リードのシェア。

人生をゲームとして楽しむ。

仕事もゲームの一場面としてとらえると
困難が来れば来るほど楽しくなってきます。

ドラクエもステージが上がれば上がるほど
困難さが増し、最後に最強のボスが出てきます。

最強のボスを倒してこそ喜びがあるもので、
いつまでもスライムが敵では面白くも何もありません。

そんな人生を楽しむ「知好楽」という言葉を
初めて教えて頂きましたが、
理想の生き方ですね。

では素敵な日曜日をお過ごしください。

皆様の今日一日が愛と光と忍耐で
喜びに満ちた日となりますよう
お祈り申し上げます。

コメント楽しみにしております。


─────────────────────────────────

知好楽

─────────────────────────────────


パナソニックの社名が松下電器だった時期、
山下俊彦という社長がいた。

昭和五十二年、先輩二十四人を飛び越えて社長になり、
話題となった人である。

弊誌にも親しくご登場いただいたが、
率直、明晰(めいせき)なお人柄だった。

この山下さんが色紙を頼まれると、
好んで書かかれたのが「知好楽(ちこうらく)」である。

何の説明もなしに渡されると、
依頼した方はその意味を取りかねたという。

この出典は『論語』である。


子曰(いわ)く、これを知る者は、これを好む者に如(し)かず、
これを好む者は、これを楽しむ者に如かず。

(これを知っているだけの者は、これを愛好する者におよばない。
これを愛好する者は、これを真に楽しむ者にはおよばない。)


極めてシンプルな人生の真理である。
仕事でも人生でも、それを楽しめる境地に至って
初めて真の妙味が出てくる、ということだろう。


稲盛和夫氏。
京セラの創業者であり、経営破綻(はたん)に陥った日本航空を
僅(わず)か二年八か月で再上場に導いた名経営者である。

この稲盛氏が新卒で入社した会社はスト続きで給料は遅配。

嫌氣がさした稲盛氏は自衛隊に転職しようとするが、
実兄の反対を受け、そのまま会社に止(とど)まった。

鬱々とした日が続いた。

会社から寮への帰り道、
「故郷(ふるさと)」を歌うと思わず涙がこぼれたという。

こぼれた涙を拭(ぬぐ)って、こんな生活をしていても仕方がない、
と稲盛氏は思った。

自分は素晴らしい会社に勤めているのだ、
素晴らしい仕事をしているのだ、
と思うことにした。

無理矢理そう思い込み、仕事に励んだ。

すると不思議なもので、あれほど嫌だった会社が好きになり、
仕事が面白くなってきたのだ。

通勤の時間が惜しくなり、
布団や鍋釜を工場に持ち込み、
寝泊まりして仕事に打ち込むようになる。

仕事が楽しくてならなくなったのだ。

そのうちに一つの部署のリーダーを任され、
赤字続きの会社で唯一黒字を出す部門にまで成長させた。

稲盛氏は言う。

「会社を好きになったこと、仕事を好きになったこと、
そのことによって今日の私がある」

知好楽の人生に及ぼす影響がいかに大きいかを示す範例である。


ここでいう「楽」は、趣味や娯楽に興じる楽しさとは趣を異にする。

その違いを明確にするために先哲の多くは
「真楽(しんらく)」という言い方をする。

何事であれ対象と一体になった時に生命の深奥(しんおう)から
沸き上がってくる楽しみが「真楽」である。

物事に無我夢中、真剣に打ち込んでいる、
まさにその時に味わう楽しさが真楽なのである。

人生の醍醐味(だいごみ)とは、この真楽を味わうことに他ならない。


松下幸之助氏の言葉がある。

「人間は自らの一念が後退する時、
前に立ちはだかる障害がもの凄(すご)く大きく見える。
それは動かすことのできない現実だと思う。
そう思うところに敗北の要因がある」

こうも言う。

「困難に直面すると却(かえ)って心が躍り、
敢然と戦いを挑んでこれを打破していく。
そんな人間でありたい」


困難に直面して一念が後退することなく、
むしろ心が躍るというのは、
その困難と一体になることである。

一体となって困難を乗り越える。

そこに言い尽くせない人生の深い楽しみがある。


そういう楽しみを味わえる人になりたいものである。


(月刊『致知』2013年05月号 特集「知好楽」総リードより)