映画「Revenantー蘇りし者」 | California Style, Part2

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Born in Japan, immigrated CA 2006 and love the States so much.
在カリフォルニア17年目、やっとこの土地に馴染んできたところです

デオナルド・ディカプリオがついに主演男優賞を取った映画、「Revenant-蘇りし者」をようやくビデオで観ました。





ディカプリオのセリフは少なく、映画の設定ではずっと顔が汚れているので表情がわかりにくく、たぶん大自然に体当たりの演技(+長年の映画界への貢献度)が評価されたのだと思う。

クマに襲われるシーン、バッファローの生肉や川魚を生で貪り食うシーン、暖を取るために死んだ馬の内臓を取り出し中に入って眠るシーンなどはとてもリアルで迫力があった。



1800年初期のアメリカでは、毛皮で商売するアメリカ人やカナダから南下したフランス人が西北部(今のモンタナ、サウスダコタ、ワイオミング、ミネソタ、南イエローストーン界隈)で動物を乱獲し、地域に住むインディアンとの紛争が絶えなかったそう。

また、この地は当時やっと探検されたばかりの未開の地で、フロンティア時代の人間にとっては命がけで暮らす危険な地域だった。

映画のごとく常時、インディアン、野生動物、過酷な大自然との闘いだったようです。

この映画は実話を基にしているそうで、アメリカのフロンティア時代を生き抜く過酷さがとても良く伝わってきます。

これぞアメリカ史と言える!


映画で助演しているトムハーディーは英国俳優なのですが、映画の中ではテキサスかどこか南部の訛りの強い、1800年初期の粗野な男の喋る英語を巧みに再現しています。


私のアメリカ人の夫はテキサス出身なのでテキサス訛りに詳しいですが、とても上手に喋っていると分析しています。

あいにく私には、それが英語として耳に入ってこないのだがあせる

トムハーディーの話す南部訛りは英語のキャプションなしには解読不能ですよ。

何度聞いても、英語に聞こえません汗

英語字幕なしに、トムハーディーの喋る南部系訛り英語が理解できる非ネイティブがいるとしたら、大したものだと思いました。




それにしても、この訛りの強い粗野な悪者を演じきったトムハーディーはすごい役者さんだと思う。

毛皮ハンターとして商売してきた映画の中のこの男は、ある日、インディアンから頭の皮を削がれるものの(そこは髪の毛が生えてこない)生き延び、貪欲にハンターを続けます。

究極サバイバルの達人というか、動物の本能と人間の欲でできたようなクレイジーな人間です。



最初にトムハーディーの出演作を観たのは、去年上映された「マッドマックス」。

「マッドマックス」はアクションが見もので、演技力は二の次の映画。

しかし、この悪者キャラクターの役は奥が深い、、、同一人物が演じていることに驚きました。

役作りはどうされているのでしょうねえ。。。

別人を演じるたび役者さんたちは相当な苦労をされるのだろうとは思いますが。

私はディカプリオ演じる主人公より、トムハーディーの演技の方に目が釘付けになってしまって、、、

英語がわからずとも、彼が放つオーラに引き付けられました。

最後まで悪者から目が離せず状態。

映画「Revenant」は、トムハーディーの演技ありきと思ったほどでした。

アカデミー賞ではノミネートされたけど、助演男優賞は取れなかった。

でも、それに匹敵する演技だったと思う。

トムハーディーの次回作が楽しみになってきた。



最後のシーンでディカプリオは敵にとどめを刺さず、神に例えられたインディアンの采配に任せています。

エンディングはセリフのないディカプリオの表情が出てきて数秒で終り、それが何を暗示しているのかはっきりわかりません。

観衆の想像にお任せというパターンです。

現実と幻覚(夢?)が交差する抽象的な映画です。

悪いことをすれば当然罰せられる。

しかし、死者のために復讐しようとしても死んだ者は戻ってこない。

虚無だけが残るけど、生かされたという運命を受け入れるしかないといったところでしょうか。