作品選考会総評。 | tokyo park water 2009

tokyo park water 2009

「昔は公園の水、フツーに飲んでたよねぇ。」

先日、行われた作品選考の総評を

小池アミイゴさんより頂きました。




小池アミイゴ  / イラストレーター


「虚ろな手触り」

まず始めに、審査は楽しかったです。
みなさんから送られてきたデザインデーターが出力され、

タンブラーに巻かれて並んでいる姿、ワクワクするものでしたよ。

審査委員の多くが実際にこのタンブラーを使う立場である

飲食店関係の方が多かったので、
ボクは職業にしているイラストレーターとしての視点と共に、

実際にこのタンブラーを街で使う1人の視点とでチョイスしました。

このタンブラーが使われるシチュエーションは東京に限られています。
ボクはちょくちょく地方に行くのですが、

その時の歩く早さと東京で歩く早さを比べると、
東京で歩くスピードがズイブン早いことに気がつきます。
そんな経験から、まずはズラッと並べられたタンブラーの脇を

ススーっと歩いてみます。

そんな中で1本と目が合いました。

結局審査が終るまでボクの一目惚れは変わらず、

個人賞を決めるとしたらコレでした。

その次にコレを持って歩くこと、
コレを持って実際に給水機から水を補充すること、

その時のボクのポーズとかね、
お店の中でコレについて女の子とどんな会話になるかとか、
ともかく「コレ持っていてオレかっこいいか?」なんて

しょうも無い視点で1点1点とご対面。

う~ん、なかなか恋に落ちないんだよね。

今ひとつ顔が見えて来ない。
何を考えているのか分からないタイプ。
「虚ろなアイツ」
そんな感じ。

「こんなんがカッコいいんじゃない」とか、
逆に、
「ボクがカッコいいと思うのはこれですから」「プチ、」
そんな感じ。

おいおい、もう1歩こっちに来てくれよ!
そんな淋しい気分。

全体的にみんなソツなくキレイに仕上がっている、
しかし、あともうちっとのLOVEなり恋心が足りないかな?
そんな印象。

“印刷され製品化される”というコンペの行方に、
ついマスの方ばかりを見てしまわなかったかな?
東京で生活している目の前の人ヒトリに対する

イマジネーションは重ねられたかな?
そんな印象。

ボトルの印刷がシルクスクリーンによるもの、

というレギュレーションの中で、
その意味を分かってなくて「エイ、ヤー!」と描いた感じで

グッとくるものはあったけどね、、

とは言ってもですね、
審査員のみなさんと「まずは12本選んでみよう!」なんて

かけ声のもと、
最初に意見の合った4~5本を並べてみたら、
なるほど!サア~ッと東京の心地よい風が吹き抜けたように

思いましたよ。

ヒトリヒトリが虚ろな存在でも、
こうやって集まると東京。

とても面白い経験でした!

どんな展示方法になるのかわかりませんが、
ボクの感じた面白さが反映されたものであれば展覧会楽しみです!

最後に、ボクの“個人賞”としての1本とは巡り会いましたが、
もし“大賞”が設置されていたら“該当者無し”です。
逆に、まったくダメなものは1本もなく、
それぞれ可能性が詰まった作品でありました。

応募されたみなさんも、展覧会に興味ある方も、
是非展覧会場まで足を運んで、
ご自身の東京の街を歩くスピードで恋を見つけてみてくださいね。

小池アミイゴ





小池アミイゴ賞 / アトリエブラヴォ



※作品データではなく、写真画像に致しました。

実物は是非、年明けのタンブラー展でご覧下さい。