あるところに
仲良しの姉妹がいます…。
ある日、小さな妹が
男の子に泣かされて
家に帰って来ました…。
洋服はドロだらけ…。
「誰にやられたの!」
詰め寄る姉に妹は
「タケちゃん…。」と言った…。
「ちくしょう!」姉はそう言って
玄関の前にあった杖を持って出て行った…。
妹は慌てて姉の背中を追います…。
公園に居たタケちゃん目掛けて
杖を思い切り振った…。
「二度と妹をいじめるな!」
そう言ってタケちゃんに詰め寄る…。
「お姉ちゃん、もうやめて!」
その時のお姉ちゃんの怖い顔
ずっと忘れない…。
姉は妹を守る為に剣道を始めた…。
毎日、家の前で竹刀を振ってる…。
そんな姿を見たら
お姉ちゃんと一緒に
剣道をしたくなりました…。
それから毎日、家の前で
二人で竹刀を振り続けました…。
姉は妹を守る為に…。
妹は大好きな姉と同じ事をしたくって…。
姉は負けん気と運動神経の良さで
頭角を出して行きます…。
男子にも負けないくらいになっていました…。
それでも姉はいつも
妹に優しく剣道を教えます!
「すごいね!うまくなったね!」
姉はいつも妹を褒めています…。
そのせいか妹も同じ遺伝子が
動き出しました…。
中学三年の姉…。
中学二年の妹…。
その頃には互いが
ライバルだと意識し始めた…。
妹は一つ年上の姉に
勝ちたいとさえ思った…。
でも姉は、あのか弱かった妹が
自分と同じ目線まで
腕を上げた事が素直に嬉しかった…。
剣道の心得は
「礼と節…。」
相手を敬い、挨拶や服装、正しい作法を身につけること…。
妹がそれを身に着けてくれた事が
姉として誇らしかった…。
姉は中学最後の大会を迎える…。
この二年間は負け知らず…。
圧倒的な勝ち方をしてきました…。
妹は姉が寝ても家の周りを
何周も回って足腰を鍛えてた…。
「お姉ちゃんに勝ちたい…。」
それが妹の唯一の恩返しだったから…。
二人とも順調に勝ち進み
決勝戦であいまみれた…。
「始め!」
決勝戦がはじまりました…。
妹が積極的に攻めて来る…。
竹刀を交わせれば
妹がどれだけ努力してきたがわかります…。
あの時から始まったんだよね…。
妹が虐められた時から…。
姉は一瞬だけ
家に泣いて帰ってきた
妹の姿が思い出された…。
あんなに弱かったのに…。
あんなに泣き虫だったのに…。
そんな一瞬だった…。
「一本!」
妹に思い切り面を食らった…。
挨拶が終わって引き上げる…。
姉は面を取ると不意に
涙がこぼれてきた…。
面下でそっと涙を拭きました…。
そこに妹がやって来た…。
「お姉ちゃん、何やってんの!」
そう言うと妹は姉を
体育館の外に追い出した…。
「ちゃんとやってよ!こんなの嬉しくも何ともないよ!」
妹が泣きながら姉に食らいつく…。
「お姉ちゃん、やるよ!面して!」
誰も居ない校庭で二人だけの
決勝戦が始まります!
「もう二人に涙はありません!」
力の限りを尽くして
姉が見事に面で一本を取りました…。
表彰式よりも大切な事が
姉妹にはありました…。
それは二人だけの「心得…。」
剣道であっても
そうでなくても
姉は妹を
妹は姉を
いつも思ってる…。
いつしか姉妹の間の
心得が溶けていく…。
剣道が無くても二人は
強い絆で結ばれています!
「強くなったね!頑張ったね!」
姉は小学校の頃に戻って
妹を一つ褒めた…。
「だって、お姉ちゃんの妹だもの!」
どんな道を選んでも
姉と妹の進む道は繋がってる…。
姉妹の未来はきっと明るい…。
今、二人の希望が輝いて
二人の笑顔と笑い声が
広い校庭を埋め尽くして居ます…。
