夫とは幼なじみです…。
だから子供の時から
夫のお母さんには
タカシくんのお母さん…。
と、呼んでいました…。
それから十数年…。
私はタカシくんと
同じ苗字なりました…。
お盆で夫の実家に
遊びに行きました…。
結婚してからは始めて…。
お母さんの大好きな
お寿司をいっぱい買って
車に乗り込んだ…。
「お邪魔します…。」
そう言って実家に入ります…。
義父さんがにこやかに
私に声を掛けてくれます…。
タカシくんのお母さんは台所で
料理を作っています…。
「タカシくんのお母さん!」
そう言って台所に入ります…。
するとお母さんの手が止まる…。
「そこに座って…。」
そう言って向かい合います…。
「もう、タカシくんのは要らないよ!」
と言い出しました…。
「私は本当のお母さんにはなれないけど
私はせっちゃんを本当の娘として
誉めたり怒ったり笑ったりしたいの…。」
お母さんと視線が合わせられない…。
お母さんが言ってくれた言葉を
何度もなぞりながら
私は何度も俯いて
泣いてしまう…。
そんな私にお母さんは
「セツコ、お帰り…。」と
言ってくれるんだよ…。
私の母とタカシくんのお母さんは
保育園の時からママ友でした…。
年上の私の母ちゃんを
タカシくんのお母さんは
よく慕ってくれました…。
いつもお互いの家を
行ったり来たりの仲でした…。
その時、タカシくんが
「なんかさ、仲の良い姉妹みたいだね!」
って笑ったんだ…。
四人で仲良く笑ったんだよね…。
私の母ちゃんが死んじゃって
困った事があると
いつもタカシくんのお母さんが
助けてくれました…。
初めての生理の時や
縫い物があると
縫い方を教えてくれました…。
私にもし母性という物があれば
それは半分は
タカシくんのお母さんからです…。
「お母さん…。」
十数年ぶりにその言葉を発しました…。
その言葉はもう私は言えないと
ずっと思ってました…。
でも今、思いっきり
言いたかった言葉を言えました…。
「お母さん…。お母さん…。」
何度も言った…。
私も泣いてお母さんも泣いた…。
そうやって親子になれました…。
きっと世の中の全ては
諦めなければきっと叶う…。
どんなに時間が掛かっても
どんなに形が変わっても
願いは叶うんだと思います…。
今、お母さんと一緒に
料理を作っています…。
お母さんの味を受け継ぎます…。
テーブルにお母さんの作った
手料理とお寿司が並びます…。
私はお寿司を食べながら
お父さん、お母さん、夫を見ています…。
すると不意に涙が溢れます…。
「なんか、お寿司のワサビが効いちゃって…。」
そう言って鼻をすすります…。
すると三人が一斉に
私にハンカチを手渡してくれます…。
これが私の自慢の家族です!
盆と正月が今
いっぺんに来ちゃったよ…。
この家族の一員になれて
本当に本当に幸せ…。
三人から渡されたハンカチで
溢れる涙を
思い切り抱きしめるんだ…。