私の住んでいる町には
パチンコ屋さんが一軒だけありました…。
登校路にあるので
毎日、パチンコ屋さんの前を通って
小学校に通っていました…。
ある夏の日
小学校の帰りに
お腹が急に痛くなりました…。
目の前にはパチンコ屋さん…。
私は藁にすがるように
パチンコ屋さんに入りました…。
私は小さな声で
「お手洗い貸して貰っても良いですか?」
と尋ねました…。
すると大柄なおじさんが
私を見て頷きます…。
用を足すと
「ありがとうございました…。」と
頭を下げて感謝しました…。
するとパチンコ屋のおじさん
私に飴玉を一つ手渡してくれました…。
何かとても怖かったけど
私の急を助けて貰って感謝です…。
帰りに貰った飴玉を
舐めながら思わず
笑顔になれるんだ…。
明後日は仲良しの
小夏ちゃんの誕生日…。
私の誕生日には
私の大好きなキティちゃんの
ハンカチを貰ったのに…。
なのに父ちゃんに友達の
誕生日だからお金とは言えない…。
今、父ちゃんの仕事が減ってるから…。
私はどうしようかと頭を抱える…。
すると頭の中に
パチンコ屋さんの
おじさんの顔が浮かびます…。
私は手にチリトリとホウキを持って
パチンコ屋さんに入ります…。
店の端から端まで
タバコやゴミを片付けます…。
すると頭の上から
「なに、やってんだ!」って
大きな声がする…。
顔を上げると
この前のおじさんが私を見ています…。
あの…。
事情を話すとおじさんは
黙って私にチェルシーを
手渡してくれました…。
私は何度も頭を下げて
おじさんにパチンコ屋さんに感謝します…。
私は急いで家に帰って
大事にしまっていた
綺麗な包装紙で
チェルシーを巻きました…。
小夏ちゃん、いつも仲良くして
貰ってありがとうねの
気持ちを込めて…。
夏休みが始まりました…。
私は毎朝ラジオ体操に出かけます…。
スタンプが全部揃うと
日用品の欲しい物が一つ貰えます…。
私はラジオ体操の最後の日
スタンプを渡して
手ぬぐいを貰いました…。
私は直ぐにパチンコ屋さんの
おじさんに渡したくて
パチンコ屋さんの前で
お店が開くのを待っています…。
日差しが暑いけど
汗が止まらないけど
おじさんには何度も
助けて貰ったから頑張れる…。
お店がオープンしました…。
私は走っておじさんがいる
カウンターに向かいます…。
息を切らして行くと
そこにはおばさんが座っています…。
「おじさんはいますか?」
そう聞くと
「田舎に帰ったよ!」と言われた…。
私は落ち込んで
手ぬぐいをぎゅっと握りしめながら
家に帰りました…。
途中、悔しくて悔しくて
涙が止まりません…。
「おじさんに、なにもして上げられなかったよ…。」
汗と涙が地べたに何度も落ちていく…。
貰った手ぬぐいで何度も拭います…。
それから何度か
困ったことがあると
パチンコ屋さんの前に立ってた…。
父ちゃんと喧嘩した時…。
友達と言い合いになった時…。
気持ちがとっても寂しかった時…。
もうおじさんは居ないと思っても
また来ちゃうんだよ…。
月日が経ちそのパチンコ屋さんが閉店します…。
私は最後の日、端から端まで
タバコやゴミを拾います…。
それを袋に入れて家に帰ります…。
おじさん、私ね今
結婚をして
子供も居るんだよ…。
あの時、何度も私を
助けてくれて
本当に本当にありがとうね…。
今、おじさんは何処に居ますか?
おじさん、幸せなら良いな…。
今でも元気で居たら良いな…。
あの時の夏の暑さと
温かい人の温もりは
一生、消えません…。
とっても暑い夏でした…。
とっても、とっても
忘れられない夏でした…。
ありがとう、おじさん…。
ありがとうパチンコ屋さん…。