「ついてる、ついてる…。」
私の魔法の言葉です…。
心を上げるのは中々難しい…。
ちょっとやそっとでは上がりゃしない…。
でも、落ちる時は
あっという間だ…。
まるで崖から足を滑らせ
一気に奈落の底まで落とされる…。
もう無理…。
思わず俯いてしまう…。
顔を上げるなんて出来やしないよ…。
食欲、睡眠欲、意欲が
全部失くなっちゃう…。
そんな時
どうしようもない時
ついつい魔法を呟く…。
「ついてる、ついてる…。」
すると瞼が開けられた…。
匂いも感じられた…。
言葉は魂だ…。
言葉一つで
人は救われ
人を壊す…。
時に言葉は使いようによって
ナイフよりざっくりと切れてしまう…。
痛さはいつか消えるもの…。
でも耳から脳へと伝わる時に
その空間全てを麻痺させてしまう…。
一度刻まれた心の痛みは
急に現れては消え
体中の神経まで麻痺させる…。
脳と神経は繋がっています…。
神経の記憶は
中々消せないよ…。
だから自分の神経の隅々に
こう呟く…。
「ついてる、ついてる…。」
こんな状態でも
当てもない幸運を
この言葉で引き寄せる…。
すると上からスルスルと
何かの紐が降りてきて
手繰り寄せてみる…。
まるで昔見た
駄菓子屋の糸引き飴のよう…。
数ある中から
一本をそっと、そっと
引っ張った…。
大好きな真っ赤な苺の飴…。
それを脳と神経で舐めあった…。
私は甘くなって全てを許してしまう…。
どうしようない
駄目な私の人生も
その運命さえも
まぁ、いっか…。って
苺の匂いで
思わず顔を上げたく
なっちゃうんだよ…。
