アタローの読書 -3ページ目

アタローの読書

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11月の読書メーター

道徳という名の少年道徳という名の少年感想
一族の年代記のような5つの連作短編集。「1.2.3悠久!」敬虔なクリスチャンばかり住む町で町一番の美女が父親の分からない子を午前零時に次々と産む。上の子から1.2.3と名付けられ4番目の女の子は悠久と名付けられた。母親である全く不道徳な美女は今度は旅の商人と駆け落ちし身寄りのない4人は生きる為に4姉妹とも娼婦となる。そこに母が男児、4姉妹の弟を連れて戻って来た。母は日に日にその美貌を失い醜く太っていく。この母親はどこまで不道徳なのか悠久と弟はいつの日か愛し合うようになり悠久は身ごもる。⬇︎
読了日:11月18日 著者:桜庭 一樹
横濱エトランゼ横濱エトランゼ感想
横浜の関内にあるタウン誌「ヨコハマ・ペーパー・コミュニティ」略してハマペコに勤めている善正。善正に幼い頃から想いを寄せる高校生の千紗。横浜の歴史や暮らしている人々の想いなどを中心に日常の謎に迫る連作短編集。千紗が関わるのは取材先の昔話をする祖母の世代や同級生たち。横浜に関わる謎をハマペコの編集長代理の善正が解き明かしていく。とてもゆったりとした気分になれる幸せな物語。
読了日:11月19日 著者:大崎 梢
ディレクターズ・カットディレクターズ・カット感想
冒頭から口が悪く乱暴でサイコパスじみた若者たちの無軌道な遊びからコインランドリーで水着姿になり動画配信、洗濯物を取りに来た無関係の学生をボコる。打ち上げのファミレスでは店員を脅しつけ挙句に店長を呼び出し土下座しろとはやし立てる。実は虎太朗たちの動画配信は全てやらせだった。打ち上げ後にグループのリーダー虎太朗が駐車場で刺される。かろうじて命は助かるが犯人を取り逃してしまう。すぐに警察、救急車を呼ばなくてはいけない事態だが虎太朗は先輩に連絡する。その先輩とは制作会社のディレクター長谷見。⬇︎
読了日:11月21日 著者:歌野 晶午
悪医 (朝日文庫)悪医 (朝日文庫)感想
【再読】末期ガン患者にもう治療法はないと宣告する医師とそう宣告されても生への執着から治療を求める患者。医師は患者の為を思い無理な治療で命はを縮めることをしないで最後の時間を有意義に過ごしてもらいたいと願うが、それを聞いた患者は死ねと言われたも同然と医師への怒りを露わにする。患者の治療への希望を逆手に取り営利を目論む医師やホスピスで死を前にした患者に寄り添う医師などいろいろと考えさせられた。最後に医師の思いを患者が理解し、患者の残した言葉で患者自身の気持ちを知ることが出来たのは良かった。
読了日:11月21日 著者:久坂部羊
シャーロック・ホームズ対伊藤博文 (講談社文庫)シャーロック・ホームズ対伊藤博文 (講談社文庫)感想
最後の事件でライヘンバッハの滝に姿をけしてから3年後。空き家の冒険で再びロンドンに姿を現すまで何処でどうしていたのかという所を大胆に描かれている。そしてホームズと伊藤博文はモリアーティ教授と対峙した最後の事件以前に既に2度ロンドンで出会っていて所在不明だった3年間の内のいくらかの期間伊藤博文を頼って日本に居たという大胆な設定で史実と虚構が交じり合って物語は展開する。大津事件後の日本にどのようにホームズがやって来て何をしたのか。伊藤博文側の史実から豊かに膨らませながらホームズ、伊藤博文双方の経験した⬇︎
読了日:11月22日 著者:松岡 圭祐
五辧の椿 (新潮文庫)五辧の椿 (新潮文庫)感想
ある大店の娘・おしのは自分の身を削ってでも家族の為に店を守る父を敬愛していた。だが母はそんな父を顧みることなく別宅に男を連れ込み父が蓄えた金で放蕩三昧。おしのはそれでも母はいつか父の元へ帰ってくると信じていた。やがて父の胸の病が酷くなり、おしのは母に一目父に会ってほしいと懇願するが母はおしのとの約束を違え若い役者と旅に出てしまう。そして父は母にどうしても言いたい事があると言いつつ息を引き取ってしまう。おしのは父の遺体を母の住む別宅へと運ぶ。そこでも母は若い役者と酒を飲んでいた。母に対する激しい憎しみと⬇︎
読了日:11月23日 著者:山本 周五郎
幕末武士の京都グルメ日記 「伊庭八郎征西日記」を読む (幻冬舎新書)幕末武士の京都グルメ日記 「伊庭八郎征西日記」を読む (幻冬舎新書)感想
伊庭八郎は戊辰戦争で幕府側について戦い戦争途中で隻腕となりその後戦死した幕末の剣豪。伊庭八郎の征西日記とあるので戦争のことが書かれているのかと思ったらその中身はグルメ日記であり鰻が美味しかったとかお菓子のことなどが書かれている。八郎は金閣寺、延暦寺、鞍馬寺などと精力的に出かけては鰻、鮎、どじょう、天ぷら、おしることいろいろなものを食べている。当時の状況もよく分かり動乱の時代に壮絶な最期を遂げた八郎からは想像も出来ない日記を知ることが出来て頼もしかった。 
読了日:11月24日 著者:山村 竜也
広域指定 (新潮文庫)広域指定 (新潮文庫)感想
出世街道まっしぐらだった柴崎は部下の拳銃自殺の責任を問われ所轄の絢瀬署の警務課に左遷された。所轄で事件が起きるたびに捜査員の真似事をさせられ女性署長の下やりにくい面はあるが信頼は厚い。今作は女性刑事たちの活躍が目覚ましい。管轄をまたぐ県警同士の軋轢や上層部からの横槍と警察内の暗部もリアルに描かれていて警察小説としての面白さが際立っている。事件の真相はどんでん返しの様相で本格ミステリを堪能出来る一冊だった。
読了日:11月24日 著者:安東 能明
崩れる脳を抱きしめて崩れる脳を抱きしめて感想
神奈川の終末期医療の病院へ研修医としてやって来た碓氷は脳腫瘍を患うユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと過去に苛まれ父に対する憎しみに囚われる碓氷。心に深い傷を抱えた2人は次第に心を通わせてゆく。研修を終え地元に戻る碓氷にユカリは碓氷の過去に秘められた謎を解く。ユカリによって碓氷の心は自由を得てユカリに対する自分の本当の気持ちに気がつく。だが碓氷が地元に戻った後ユカリが亡くなったとの知らせが届く。ユカリの死の真相を知るため再び神奈川に戻った碓氷に突き付けられた信じ難い現実。⬇︎
読了日:11月25日 著者:知念 実希人
わざと忌み家を建てて棲むわざと忌み家を建てて棲む感想
事件や火事で人死にのあった建物をそのまま移築し強引に繋ぎ合わせて作られた烏合邸と呼ばれる建物。施工主である八真嶺という好事家はここに人を住まわせて何が起こるかの実験を試みる。黒い部屋、白い屋敷、赤い医院、青い邸宅それぞれの家に関わった人々の4つの手記が連作短編集で収められているが、この屋敷が建てられ真の目的は何なのか単なる好事家の好奇心なのか、この建物は何処にあったのか、これらの手記はいつ頃書かれたのか…。いくつかの謎は謎のまま終わる。
読了日:11月26日 著者:三津田 信三
夜空に泳ぐチョコレートグラミー夜空に泳ぐチョコレートグラミー感想
5編からなる連作短編集。冒頭の差し歯が外れたエピソードが秀逸で物語全体に深みを与えている。サチコと啓太は恋人同士だと思いながら読んでいたが実は親子。彼らは一見愛に飢えているように見受けられるが実は愛に満ち溢れている。それが理解出来たのは読み終わってからなのだが、どのように繋がっていくのか読み進めていくうちに楽しめた。どの短編の人物もまさに崖っぷち状態であり主要人物であるサチコと啓太の生き様には壮絶な人生であり人と接するのが苦手で不器用な人生を歩んでいて少しずつだが自分の人生を切り開いて行こうと感じた⬇︎
読了日:11月28日 著者:町田 そのこ
臣女 (徳間文庫)臣女 (徳間文庫)感想
浮気がバレた日を境に奈緒美の体は日を追うごとに巨大化していく。夫・文行は高校の非常勤講師。彼女の体長は三メートルを超え部分的に骨が成長するせいで体のバランスは崩れ右の頬骨だけが盛り上がり右目が圧迫されて人相まで変わりつつある。皮膚は至る所で肉割れし骨の成長には激しい痛みが伴い市販の痛み止めでは殆ど効き目がない。米は一日七号炊いても追いつかず盛んに肉を食べたがる。兎にも角にも稼がなければならない。文行は常勤だったのを人事で外れ売れない小説の僅かばかりの原稿料を頼りにやっとのこと生活を維持している。⬇︎
読了日:11月29日 著者:吉村 萬壱
ゴールデン・ブラッド GOLDEN BLOOD (幻冬舎文庫)ゴールデン・ブラッド GOLDEN BLOOD (幻冬舎文庫)感想
2018年8月東京オリンピックプレマラソンにスタッフとして参加していた消防士の圭吾は自爆テロに遭遇、自身もケガを負いながらも多くの被害者を救ったが同じ日に妹が謎の急死を遂げていた。テロ現場で新開発の人工血液ゴールデン・ブラッドが使われていたこと、その患者達が運ばれた病院で妹も死んだことを知った圭吾は何らかの関係ごあるのではないかと考え独自に調べ始める。しかしその矢先テロ事件の際にゴールデン・ブラッドを輸血され助かったはずの職場の先輩が急死。他にもこれと同様のケースが出始めていた。⬇︎
読了日:11月30日 著者:内藤 了