1月のまとめ No.1 | アタローの読書

アタローの読書

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2016年1月の読書メーター
読んだ本の数:42冊
読んだページ数:13995ページ
ナイス数:6092ナイス

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)感想
カミーユ・ヴェルーヴェン警部は美しい妻ともうすぐ子供が生まれるという幸福の絶頂にいた。ある日女性2人が殺害された事件で身体がバラバラにされ頭部も原型をとどめていない誰だかわからない死体狂気としか言いようのない現場そしてそこに残る奇妙な指紋。奇妙な指紋しか手掛かりがない状況、経験した事なのない事態難解なパズルのピースをひとつずつはめていくような地道な捜査の結果重要なヒントが見つかる。事件はこれ以前もありラストまで読まないと辿り着けない大きな仕掛けそれに気付いた時思わず唸ってしまった。
読了日:1月2日 著者:
サラバ! 上サラバ! 上感想
圷歩の誕生から37歳までが描かれている。イランのテヘラン生まれ一旦日本に帰国するが再びエジプト赴任を命じられた父に従いカイロ育ち。前半で描かれる駐在員一家のテヘラン生活、そしてカイロ生活の部分。続きは下巻で。
読了日:1月3日 著者:西加奈子
サラバ! 下サラバ! 下感想
一家を引っ掻き回して止まない姉の貴子と海外での圷一家の生活はごく平穏なものであった。歩はカイロ時代にヤコブというエジプト少年と忘れ得ぬ友情を結ぶという出来事があった。ところがその後突如として両親は離婚、姉は引きこもりと一家は瓦解する。それからの歩はあたかも大切なものを見失ってしまったかのように精神面において流浪者さながらの日々を過ごしていく。様々な人との出会いと別れ、様々な出来事が描かれていくが姉と対照的に順調な人生を歩んできたはずがいつの間にか歯止めを失い坂道を転げ落ちるかのような状況に陥っていた。
読了日:1月3日 著者:西加奈子
消失者 アナザーフェイス4 (文春文庫)消失者 アナザーフェイス4 (文春文庫)感想
刑事総務課の大友鉄は捜査三課からの要請で町田駅前で起きた老スリの現行犯逮捕を手伝うことに。簡単に終わるはずの仕事は同時に起きた自殺騒ぎで撹乱され…。消えたアタッシュケースの先に待ち受けていた驚愕の真相とは?優斗は小学5年生になり思春期に入り父親と少しずつ距離を置こうとしていたり、指導官の福原の後釜に後山参事官になったり続きが楽しみです。
読了日:1月5日 著者:堂場瞬一
チーム (実業之日本社文庫)チーム (実業之日本社文庫)感想
学連選抜チームのレース前の心の葛藤を描く第一部と実際のレースが描かれている第二部。メンバーの中に自分の大学は弱く出場を逃すが個人の能力は超一流の山城という選手。個人主義な言動が何とか寄せ集めのチームをまとめようとするのだがキャプテンの浦選手の障害となる。山城はどのようにチームの一員になっていくのか。各選手の背景が描かれその想いを走っている選手と共有しながら読んでいた。第二部で臨場感あふれる文章から選手の想いが伝わってきてラストのシーンで涙が止まらなかった。爽やかな読後感今も余韻に浸っている。
読了日:1月6日 著者:堂場瞬一
きらきら眼鏡きらきら眼鏡感想
誰かを好きになることは、とても幸せなことなのだがその幸せと同じ位悲しみや苦しみを伴う。いろんな偶然が重なって人と人は出会いその偶然の中で恋も始まる。誰かに恋する気持ちは自分でさえもどうすることも出来なくその気持ちを持て余して空回りしたりもする、だけど恋は素敵。あかねがいつもかけているきらきら眼鏡悲しい時には眼鏡が曇ったり腹が立った時には外してしまいたくなったりする。だがいろんなものをきらきら眼鏡を通して見るその気持ちさえ忘れなければ人生は今より少しだけ優しくなるはず。出てくる人達が優しくそして切なく素敵。
読了日:1月7日 著者:森沢明夫
総理にされた男総理にされた男感想
売れない舞台役者加納慎策はある日いきなり拉致され首相の公邸に。総理の真垣は蜂窩織炎という感染症で危険な状態。総理に瓜二つの慎策を替え玉にし危機を乗り切ろうとする。慎策は役者だけあり真垣がのり移ったかのように演じ国民の支持率も上昇。だが真垣が亡くなり慎策は本物の真垣のように変化していく。政治に関して全くの素人の慎策が政治についていろいろ学び政治の裏側についても知る事が出来る。登場人物達が実在の政治家を連想させるのも楽しく政治についていろいろと考えさせられる内容だった。
読了日:1月8日 著者:中山七里
高原のフーダニット高原のフーダニット感想
3編の中編からなる火村准教授とアリスのコンビ。題表作である高原のフーダニット、ミステリ通の方なら知っているWho dose it誰がやったのか犯人は誰かというミステリの基本。双子の兄弟の片方がもう片方を殺害してしまったという告白の電話が火村の所にあり、しかしなんとその本人もまた殺害されてしまう。犯人はその高原に住む一定の人々に限られる犯人は誰なのか?コンビの掛け合いの中から少しずつ謎が解き明かされていく。3編のいろいろなスタイルのミステリを楽しめた一冊。
読了日:1月8日 著者:有栖川有栖
ヒート (実業之日本社文庫)ヒート (実業之日本社文庫)感想
低迷する日本男子マラソン。神奈川県知事松尾は東海道マラソンを企画、日本人が世界記録で優勝すること。かつて箱根を走った横浜市役所職員音無に運営の白羽の矢が、だが若手ホープの日本記録保持者山城はベルリンマラソンで世界記録を狙うべく出場固辞。ペースメーカーを要請した現役ランナー甲本にも出場を断られ音無は壁にぶち当たる。世界最高新記録更新これがとてつもなく困難だということマラソンがいかに繊細なスポーツかペースメーカーがこれほど重要な存在だということを初めて知った。世界最高新記録は出るのか?手に汗握る緊張感だった。
読了日:1月9日 著者:堂場瞬一
ユートピアユートピア感想
3人の女性(地元民、転勤族、移住者)の違いは大きく町に対する感じ方だけでなく人に対する感じ方も異なる。表面上は上手くつきあっているように見えて裏では何を言っているか分からない。結局信頼出来るのは誰なのか?5年前の殺人事件が絡み岬タウンという場所は別荘地として売り出す予定がそこで起きた事件の為に売れなくなってしまったという経緯がある。それぞれのユートピアを探し求めているがどけにもないと気づいているのだろう。善意の裏側にはとんでもない悪意が潜んでいるかも。
読了日:1月10日 著者:湊かなえ
侠飯2 ホット&スパイシー篇 (文春文庫)侠飯2 ホット&スパイシー篇 (文春文庫)感想
株式会社グローバルエッグズにSEとして入社6年目となる真鍋純平はある日突然人財支援部勤務を命じられる。そこは体よく社員をリストラする為の部署。社内の仕出し弁当にも飽きた頃会社の裏に見慣れないランチワゴン低価格で目新しく旨い店主は頬に傷を持つヤクザ風の男・柳刃。柳刃に自分達の置かれた状況を相談する事に。置かれた環境に文句をたれ続けるのではなく自分の戦い方を意志と想像力で探っていきたい。それが出来るかどうかは自分次第。辛くて美味しい料理満載であり自分の未来を切り開く勇気づけられる内容。
読了日:1月11日 著者:福澤徹三
キング (実業之日本社文庫)キング (実業之日本社文庫)感想
今作はドーピングの話。ドーピングの誘いに揺れる主人公。元同級生であるライバルたちのそれぞれの戦い方。ドーピングへの葛藤、神経戦を含むレースまでの心理や走る意味などマラソンというのは思っているよりも奥が深いものだと思った。終盤のレース本番は自分も走っているような感覚になるくらい臨場感があった。マラソンの苦悩と達成感が素晴らしかった。
読了日:1月11日 著者:堂場瞬一
ブラフマンの埋葬ブラフマンの埋葬感想
とある森の中に存在する芸術家達の集う家、そこの管理人である僕。僕が見つけたその生物まだミルクしか飲めない小さな可愛らしいその子にブラフマンと名前を付ける。日々の雑事の合間に触れ合うブラフマンとの時間。読んでいてブラフマンに対して愛着を感じるようになる愛らしい仕草の一つ一つ守るべき弱き者そしていたずら好きなブラフマン。ブラフマンの突然の死で静かな思い出へと変わる。ブラフマンとは小さい生き物だと創造し大事に愛でながら読んでいた。静かで静謐な物語。
読了日:1月13日 著者:小川洋子
沈黙の町で沈黙の町で感想
中学2年生の名倉祐一が学校の屋上から転落死亡した。屋上には5人の生徒の足跡学校残されていて背中にはつねられた痕や携帯の履歴からいじめを受けていた事が明らかになり少年法上14歳になっていた同級生2人が逮捕され13歳の2人が補導される。閑静な地方で起きた1人の中学生の死を巡り静かな波紋が広がっていく。被害者家族や加害者とされる少年達と親、新聞記者、学校、教育委員会、警察と様々な視点から描き出される。中学生の無邪気な残酷さに恐ろしく被害者と加害者の母親達の苦しみ焦り憔悴はリアルだった。奥行きのある内容だった。
読了日:1月13日 著者:奥田英朗
チームII (実業之日本社文庫)チームII (実業之日本社文庫)感想
チームから8年後。浦は城南大の監督となり箱根駅伝の学生連合を指揮する。山城は東海道マラソンの激闘の後左ひざを故障2年近いブランクを抱えている状況。フルマラソンを走り引退する決意をしたその頃山城の所属チームが会社の業績悪化の為陸上部の解散が決まるという最悪の状態。山城の苦境を救い最後の花道を飾る為にチーム山城を立ち上げた浦。青木や朝倉や吉池や甲本らが勝たせる為に懸命に取り組む。そして所属チームの監督は懸命に移籍先を探しある条件でまとめて引き受けてくれる事に。オールスター駅伝で山城が走ること。
読了日:1月14日 著者:堂場瞬一
鎮魂 (集英社文庫)鎮魂 (集英社文庫)感想
隣人を殺害した森塚翔太の弁護を担当する鶴見京介弁護士。現行犯で逮捕された森塚の供述は二転三転と翻弄される。被害者は東日本大震災で家族を亡くし、そして阪神淡路大震災でも…。次第に明らかになる驚愕の真実。鶴見弁護士の真摯な対応、先が気になり一気読みしました。
読了日:1月15日 著者:小杉健治
ことりことり感想
ささやかな喜びを描きながら全体に流れるのは淋しさと悲しさそして温かさ。ことりの小父さんと呼ばれる主人公のひっそりとした一生が丁寧に美しく描かれている。小さい命を慈しみ共に生きてきた小父さんの静かで孤独な死が冒頭にあり彼の過ごしてきた人生がつふさに語られていく。静かでささやかでそして様々な出来事の通り過ぎてゆく人生。天に召された小父さんはきっとお兄さんと再会し自由自在にポーポー語で自分の一生を語り上達したメジロの歌を愛で穏やかに優しく暮らすのだろうなぁと思う。
読了日:1月15日 著者:小川洋子
岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)感想
柔らかそうなふわふわした毛に包まれ直立二足歩行する不思議な生き物。クーイ族の小さな男の子ヤービと学校教師であるウタドリさんとの出会い。専用のスーツを着て水の中を泳ぎまわりキジバトの背に乗って空を飛ぶ。人間の言葉を解するヤービの口から語られる彼らの日常は穏やかながらも新鮮な驚きに満ちている。児童書だが大人でも楽しめて環境問題が取り上げられている。ヤービが可愛くてたまらなく再会出来る日が楽しみ。
読了日:1月16日 著者:梨木香歩
背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)感想
被写体の背中に浮き上がる2つの眼。眼を背負った者たちは不可解な自殺を遂げる。霊はこの世に存在するのか?霊現象探求所所長・真備とホラー作家・道尾。民俗学とミステリーが融合した作品。ホラー作家の道尾が心霊現象に遭遇することから物語は始まる。
読了日:1月16日 著者:道尾秀介
背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)感想
同級生である友人から頼みであるのと同時に探していた本物の心霊現象に出遭えるかもしれないと思う真備。美しい山間の風景と美しい川の麓で彼らが出遭った真実とは?ラストの亮平からの告白は胸が熱くなった。真備あなたの探しているものは、あなたのすぐ側にある良かったね。道尾秀介さんの真備シリーズ面白かった。まだ続きがあるので読みたいと思う。
読了日:1月16日 著者:道尾秀介
つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)感想
つむじ風が常に吹いている十字路の角にあるつむじ風食堂。主人公の雨降り先生の視点からその食堂に集まる人達や月舟町の様子、そして雨降り先生が幼少期に通った劇場の様子が描かれている。その行間が空いている優しい感じがなんとも良い。雨降り先生の父親はマジシャン。舞台を見る為に劇場に通った思い出。今は美術館になり一部が地下に喫茶店として残っている。その喫茶店に入るまでの緊張と期待中で思わぬ人との再会。こんな場所がある雨降り先生は豊かな人だと思う。ゆったりとした時間が流れる本、コーヒーと読むのに最高。
読了日:1月17日 著者:吉田篤弘
敗者の告白  弁護士睦木怜の事件簿敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿感想
別荘で母と子が転落死した。容疑者となった父の主張、死んだ2人の残したメール弁護人が集めた証言は食い違う。やがて明らかになる陰惨な事件に隠された巧妙な犯罪計画。母親は死んだ日に出版社に自分は殺されるとメール。息子は猟奇殺人者で実の妹を風呂で水死させた子供は祖母に父と母が自分を殺そうとしていると。物語はほぼ手記と証言者の独白、父の独白そこに散りばめられた数々の伏線。そこからいかにして妻子転落死事件の真実に繋げるのか?読み応えのある内容だった。
読了日:1月18日 著者:深木章子
それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)感想
月舟町を舞台に古い映画に僅かに出てくる女優を見に何度も月舟シネマを訪れる僕や大家のマダム、トロワというサンドイッチ屋を営む安藤さんと息子のリツ君そして緑のベレー帽を被った美味しいスープの秘訣を教えてくれる初老の女性。時間がゆっくり流れているようであり、美味しいスープを楽しんだり古い映画を観たり叩いて映る四角いテレビがあったりまだ過去が生きている空気がある。読んでいて無性にサンドイッチとスープの研究を始めてしまいそう。素朴で本当に美味しいものは気取った豪華な料理よりもずっと人を幸せにしてくれそう。
読了日:1月19日 著者:吉田篤弘
王とサーカス王とサーカス感想
さよなら妖精で登場した太刀洗万智当時高校生だった彼女が10年後フリージャーナリストとしてネパールに取材に訪れた。そこでナラヤンヒティ王宮事件に遭遇する。知り会った王宮警護にあたっているラジエスワル准尉が殺害のうえ曝されたその背中にはナイフで密告者の意味の言葉が刻まれていた。何故彼は殺害されたのか王宮事件との繋がりは?登場人物もそれぞれ魅力的で真相は意外だった。この作品のテーマは報道とは何かという重い内容。日本に生まれ育ち平和な私にはネパールの少年サガルの言葉が心に刺さる。
読了日:1月19日 著者:米澤穂信
撃てない警官 (新潮文庫)撃てない警官 (新潮文庫)感想
7編からなる短編集。表題作である撃てない警官は、警視庁総務部で係長を務める柴崎が警視総監へのレクチャー中に部下の拳銃自殺を知らされる。この不祥事で柴崎は綾瀬署へ左遷される。事件の顛末を知った柴崎は上司への復讐を胸に秘め慣れない事件現場で虎視眈々と本庁復帰を狙う。捜査経験のない柴崎が地道に捜査するうちにあらゆる事件の真相に近づいていく過程が面白い。どの事件も現代日本社会の歪みがリアルに描かれていて切なく感じる。
読了日:1月20日 著者:安東能明