下町ロケット2 ガウディ計画の感想佃製作所は量産を約束していた取引の打ち切り、ライバル会社とのコンペ、阻まれるガウディ計画(人工弁のパーツの開発依頼)とピンチに陥る。佃製作所はバルブシステムの特許技術を生かし医療分野へと参入していく。人口心臓の開発依頼で日本クラインとの理不尽なやり取りと展開していく。ガウディ計画で北陸医科大学の一村教授と株式会社サクラダより人工弁のパーツ開発依頼を受ける。佃製作所の社員達は最後まで諦めずに頑張る姿、夢を持って前に進んでいくから叶う自分を見失っている時に初心に戻るという事など大切な事を教えてくれる一冊。
読了日:11月17日 著者:池井戸潤
虹の岬の喫茶店 (幻冬舎文庫)の感想虹の先端にある小さな喫茶店。全部で6章ありそれぞれ主人公が変わる。喫茶店に訪れた人々が主人公となりそれぞれにちょっとした問題や重荷を抱えている。そしてここでの出来事により人生が少しだけ変わる。物語を通して喫茶店の主の悦子の事も明らかになる。辺鄙な喫茶店にどうして悦子はいるのか?そこにはある願いがあるのだけれどその願いは遂げられるのか?何人もの人生が交錯物語を軸に悦子の願い美しい海の景色を背景に心温まる物語。
読了日:11月18日 著者:森沢明夫
闘う君の唄をの感想新人幼稚園教諭として神室幼稚園に赴任した喜多嶋凛はモンスターペアレンツ達の理不尽な要求、遠足の行き先や遊戯会の出し物などそれに対して弱腰な対応をとる君塚園長に不満を覚える。同僚の教諭達もしぶしぶ園の方針に従っている。凛は自らの理想の教育の為果敢にモンスターペアレンツ達の要求を退けるが園長から15年前に3人の園児が殺害された事件があり職員が逮捕された事から保護者には頭が上がらないのだと聞かされる。そして渡瀬刑事が登場してからのミステリー展開が面白く結末は途中で分かってしまいちょっと残念な読了感だった。
読了日:11月19日 著者:中山七里
本日は、お日柄もよく (徳間文庫)の感想幼馴染で家族のような存在で初恋の相手の結婚式に出席した二ノ宮こと葉は彼女の師となる伝説のスピーチライター久遠久美と出会う。短いけれど心を震わせるスピーチの虜になり弟子入りしスピーチライターを目指す。臨場感があり心が込められていて相手に本当の気持ちをありのままに伝えている。体裁よく整えられた言葉ではなく、ありのままの言葉で話すことでこんなにも人の心を惹きつける事が出来るのだと感動した。私も精一杯の感謝の気持ちと祝福の言葉ありのままの心を相手に伝えスピーチが出来たらいいなと思う。
読了日:11月20日 著者:原田マハ
院内カフェの感想総合病院内のカフェには病院の職員、患者、患者の家族、見舞い客など様々な人達がやって来る。カフェでバイトをしている亮子夫婦とカフェの客の2組の夫婦の人間模様を中心に描かれている。カフェという場で客達もそれぞれがどこか不安を抱えているが病院の傍らにあることで癒され救われるような気持ちになる。カフェから醸し出される温かさを感じる作品だと思う。
読了日:11月21日 著者:中島たい子
解 (集英社文庫)の感想大学時代からの親友の2人大江は大蔵省に鷹西は新聞社へ。1989年で始まり2011年に時が進みまた時が過去へ戻るという設定。殺人事件は最初の方で起き読者にはその転末が分かる。親友同士の2人は20年の時を経て立場や夢も違うが強い絆で結びついているはずだったのだが…。殺人事件の犯人らしい大江に鷹西はどう立ち向かっていくのかラストまでハラハラさせられた。
読了日:11月21日 著者:堂場瞬一
文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯の感想江戸末期に生まれ激動の明治を生き抜き大正8年数えで71歳の生涯を終えた実業家であり教育者であり社会運動家の広岡浅子の伝記。京都の豪商油小路三井家から嫁に来て肺病を患いながら大阪の豪商加島屋を切り盛りした広岡浅子。浅子の座右の銘は九転び十起き。九州の炭鉱事業を手始めに加島銀行の設立、大病を患い命の重さに気づき大同生命の創業、日本女子大学設立に尽力する等の貢献をし癌に冒されているなか鬼気迫る波乱万丈の人生。
読了日:11月22日 著者:古川智映子
へたれ探偵 観察日記 (幻冬舎文庫)の感想対人恐怖症の桑井探偵と主治医のドS美人心理士不知火が活躍する。対人恐怖症ゆえの異常な観察力等が事件解決に結びつく納得の謎解きになっている。桑井や不知火の掛け合いも面白く楽しめた。
読了日:11月22日 著者:椙本孝思
アナザーフェイス (文春文庫)の感想【堂場瞬一祭】妻を亡くし息子と二人暮らしをする大友鉄は仕事と育児を両立させる為に異動を志願し今は警視庁刑事総務課に勤務。ある日銀行員の息子が誘拐される事件が発生。大友の元上司の福原は彼のある能力を活かすべく大友を特捜本部に投入する。大友は学生時代に芝居を通して身につけた才能を遺憾なく発揮し事件解決に奔走する。動機、犯人は誰なのか?巧妙な身代金受け渡しの描写は緊迫していた。そしてショックで心を閉ざした子供に向ける優しいまなざし、ゆっくり丁寧に時間を掛け相手を気遣いながら心を開かせていく過程など良かった。
読了日:11月23日 著者:堂場瞬一
棘の街 (幻冬舎文庫)の感想北嶺で起きた誘拐事件、上條らの失敗で被害者は殺害された。上條は自身のプライドをかけ再捜査を始める。ある日暴行を受けていた少年を救出するがその少年は記憶を失っていた。誘拐事件の捜査の失敗で少年を死に追いやってしまう、上條は自分の手で犯人をその執念で動く。上條の性格が破天荒なところもあるが記憶喪失の少年との関わりは良かった。
読了日:11月25日 著者:堂場瞬一
水鏡推理 (講談社文庫)の感想研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォースという部署に異動された水鏡瑞希と澤田翔馬。ここでの仕事は官僚達の補助的業務。だが水鏡は様々な不正研究や捏造を次々と暴いていく。同じ部署の南條や牧瀬も最初は水鏡を見下していたが刺激を受け自分達の使命を思い出していく。様々な知識が盛り沢山でヒラ職員が不正を暴いていくスカッとする内容面白く読めた。
読了日:11月25日 著者:松岡圭祐
明日の記憶 (光文社文庫)の感想働き盛りで若年性アルツハイマーと診断された佐伯は酒を絶ち玄米を食べ肉をやめて魚にし大事な事は何でもメモして必死に病気と戦うが負け戦さである事は自分がよくわかっている。段々と病気が進行する中、信頼していた人に裏切られ生意気な若造だと思っていた部下の真情に触れ娘の結婚式を控えて記憶が持ってくれるかと悩みながらすぐに忘れてしまう。アルツハイマーというのは人間としての尊厳が壊れていき家族を含めた人間関係までも壊れていく。恐ろしい病気ですが是非読んでほしい一冊です。
読了日:11月26日 著者:荻原浩
人魚の眠る家の感想ある日突然「死」を宣告されたら?娘の瑞穂がプール事故で脳死を宣告された家族。回復の見込みがなくこのような状態になった場合臓器提供をするかという問題。だが瑞穂の母・薫子は臓器提供を拒み延命を望み家で介護をする。脳死とは人の死とは何をもって判断するのか?いつか目覚めるという奇跡を信じ続ける薫子の狂気が痛いほど読者に伝わってくる。だがラストでの決断で人の命を救い、死とは?生きるとは?という重いテーマではあるが素晴らしい作品だった。
読了日:11月26日 著者:東野圭吾
デッドエンドの思い出 (文春文庫)の感想失恋や毒を混入されたり児童虐待に近い事件も起きる短編集。だが主人公の周囲にいる人たちはどれもおっとりしていて主人公の事を真剣に思いやっているのが伝わってくる。何てことのない会話や親しい人がそこにいるという空気のような優しさにより読んでいる私は少しずつ癒されていく感じが伝わってきた。この短編集に漂う世界観、空気の温かさは印象的で読み手にまでその温かさが伝わってくるのが好ましい。爽やかな作品が多く大変心地良い気分になれた。
読了日:11月27日 著者:よしもとばなな
左京区恋月橋渡ル (小学館文庫)の感想京都の大学に在籍する理系男子で工学化学科の大学院生山根くんの切なくホロ苦な恋愛小説。雨降る糺の森で出逢った女性に恋した山根くんは友人の花ちゃんのアドバイスで恋した姫に不器用ながらも自分の想いをぶつけていく。山根くんの不器用なのだがその想いと必死さが微笑ましく頑張れと声援を送りながら読んでいた。それに左京区七夕通東入ルのたっくんと花ちゃんも登場し良かった。大学生活に憧れている人も恋に恋している人も是非本書を読んで大学生活や何故か数学を愛することができる一冊。
読了日:11月27日 著者:瀧羽麻子
小泉今日子書評集の感想読売新聞で掲載された書評を1冊の本にまとめた書評集。10年で97本の書評、小泉今日子という人がその本をどう感じたのかというのに興味を持ち読んだ。巻末のインタビューでは小泉今日子さんの読書委員という仕事の向き合い方ご自身の本との出会いが書かれていて大変興味深く読めた。小泉さんの書かれた文章が自然体に書かれていて今までイメージしていたのとは違い親近感が湧いた。
読了日:11月28日 著者:小泉今日子
葬式組曲 (双葉文庫)の感想無駄な出費や宗教的儀式に批判的な風潮か高まったことで葬式という儀式をせず直葬が主流になった日本。唯一葬式の風習を残すS県のある葬儀社を舞台とした連作短編集。それぞれの葬式が行われそこで起きた謎や騒動を葬儀社の従業員たちが解き明かしていく。葬式が否定される世界における葬式が描かれているので葬式に対しても色々と考えさせられた。
読了日:11月28日 著者:天祢涼
腐葉土 (集英社文庫)の感想グランメール湘南という高級老人ホームで笹本弥生が殺害された。容疑者として孫の健文と老人ホームのヘルパー会田良夫が浮かび上がる。そして葬儀の場でもうひとつの遺言状の存在が発覚、更に弁護士が謎の事故死と健文が大学の考古学研究室で発生した詐欺事件が起こり事件は複雑に絡み合っていく。関東大震災・東京大空襲の中生き延び女一人で戦後の闇市でのし上がり孤独の中で財を成し続けた女性。戦後を生き抜いた笹本という女性の壮絶な一代記でありミステリーありと生きることの意味など考えさせられ圧倒された。
読了日:11月29日 著者:望月諒子
悪果 (角川文庫)の感想大阪府警今里署の刑事堀内はマル暴担当。カラオケボックスで開かれた遠出の盆(暴力団が自分のシマ以外の場所で賭場開帳を開く)の様子が描かれる。ネタ元から情報を得た堀内は相棒の伊達と裏付けを取り上司に報告。暴力団と参加客合わせて28名を現行犯逮捕する。そして逮捕に端を発した出来事がやがて堀内の身に危機を招く事態へと発展。登場する警官が皆スネに傷を持ち気がめいるような状況が次から次へと描かれるが大阪という土地柄と大阪弁の会話で軽妙に感じられ暗い内容だが読みやすかった。
読了日:11月29日 著者:黒川博行
誤断の感想【みんなで堂場瞬一祭り】通勤途中ホームから飛び降り自殺に遭遇した長原製薬社員の槙田。この転落死から同様の事故が数件自社製品が関係している事が判明し槙田はその隠蔽を命じられる。だが自分が関わってしまった事の重大さを抱えきれなくなった槙田は会社の顧問弁護士であり大学の先輩でもある高藤に詳細を話すが、これが大問題に繋がっていく。長原製薬経営危機40年前に起きた事故の隠蔽。企業倫理とは何か守るべきものは何なのか様々な立場の人間がもがく姿を見事に描かれた社会派ミステリー。
読了日:11月30日 著者:堂場瞬一
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