10月のまとめ ② | アタローの読書

アタローの読書

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毒草師 QED Another Story (講談社ノベルス)毒草師 QED Another Story (講談社ノベルス)感想
鬼田山家の先々代当主の俊春が撲殺した一つ目の子山羊。以来この家では一つ目鬼を見たと言い残し内側から鍵をかけて離れに閉じ籠る人間が相次ぐ。そして誰もがそこから忽然と姿を消してしまう。密室からの失踪事件として警察が動き始めたある夜鬼田山家の長男が自室で何者かに毒殺される。その場にはダイイングメッセージが残されていた。捜査が暗礁に乗り上げた時、御名形史紋という毒草師を名乗る男が現れ、彼は一連の事件を伊勢物語になぞらえ事件はほぼ100%解決したと言い放つが。伊勢物語の解釈には度肝を抜かれたが面白かった。

最低で最高の本屋 (集英社文庫)最低で最高の本屋 (集英社文庫)感想
文筆家で書籍商の松浦弥太郎さんが自ら経てきた事を語った本。自分がどういう少年だったか、どうやって今の職業に辿り着いたかなどが書かれている。弥太郎さんが言っている就職しないで生きるには例えばとりあえず就職していつかはきっと諦めずにいることだってひとつの方法だと仕事っていうのはどんな職種であれ人の役に立つことだと。本書を読み弥太郎さんの文章が清々しく丁寧で私たちに気づかせてくれる1冊です

カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
風早の町、洋館が立ち並ぶ裏通りの辺りにある喫茶店かもめ亭。時が止まっているみたいな落ち着いた雰囲気の店を父から引き継いで数年の若きマスターが少し不思議な心温まる話をお客から聞きという八つの物語。マスターにお客が語る話は前世の記憶や子供の頃にしか出会えなかった人たちの話など少し不思議で夢なのか魔法にかけられたのかのような感じのする人の温かさが伝わってくる内容。

セイジャの式日 (メディアワークス文庫)セイジャの式日 (メディアワークス文庫)感想
由良彼方が教育実習生として母校に帰ってくる。美大での少し棘を持った雰囲気がなくなり榎戸川が相対したような感じに近くなっている。吉野の過ごした学校で由良は何を思い、何を決めるのか。由良が青い絵ばかり描くのは吉野が完成させられなかったあの絵の完成を探し続けているから。由良にとって吉野は一生片付けられることのない人間なんだろうと思う。読んでいて由良はもう大丈夫だと思った。

いつから、中年? (講談社文庫)いつから、中年? (講談社文庫)感想
酒井さんがもうすぐ40歳を迎えるあたりで書かれた本書。ひと昔でいえば立派な中年なのだが最近の40代は元気一杯で美しい。だが酒井さんは、いつまで現役を保たなきゃいけないのだろうなぁと思うのだ。男性に「おまえさぁ」と言われても全然嫌じゃない、いや嬉しいくらいとか、友達付き合いって収入の差とか関係しちゃうよねとか、落語って笑えるのだろうか?と心配する所とか、寿司屋のカウンターは緊張するとかなど、酒井さんは都心の女子高へ通い結構遊んでいたのだと思うが酒井さんのお母さんは60代でそれ以上に遊んでいるとは凄いです。

幻想郵便局 (講談社文庫)幻想郵便局 (講談社文庫)感想
山の上の不思議な郵便局でのアルバイト生活。ひと夏の幻想のようにアルバイトに明け暮れるアズサ。特技が探し物のアズサがどうやって探し物を見つけていくのか。不思議な仲間たちに囲まれてアズサが経験する奇妙な体験とは?優しくて温かく明るい、それでいて怖くないホラーほっこりする話でした。

チェインドッグ (ハヤカワ・ミステリワールド)チェインドッグ (ハヤカワ・ミステリワールド)感想
心優しき紳士の仮面を被った残忍な連続殺人犯の榛村。普通の大学生だった雅也が彼から届いた一通の手紙をきっかけに関わっていく。そして彼に影響を受けながら巻き込まれていく。幼い頃に愛されず虐待を受け歪んでしまった心。榛村や登場する実在の連続殺人犯の幼少時が劣悪な環境で育ちその痛みや悲しみで形成されていってしまう。そして榛村に段々とマインドコントロールされ性格や言動までも変化していく雅也。拘置所の中にいるのに人を支配してしまう存在感と影響が榛村の底知れない不気味さ何とも言えない余韻を残す一冊。

風のベーコンサンド 高原カフェ日誌風のベーコンサンド 高原カフェ日誌感想
東京の家族と仕事から離れ百合が原高原でひとりカフェを始めた奈穗。美しく澄んだ自然に抱かれ地元の牧場の新鮮な乳製品に天然酵母のパン有機野菜美味しい食べ物がたくさん手に入る土地。試行錯誤しながらメニューを考え地元の人たちと交流を深め馴染んでゆく奈穗。東京を離れる原因になった深い傷から少しずつ立ち直り始める。シンプルなベーコンサンドは特に魅力的で出てくる料理がどれも美味しそう。そして心と生き方に丁寧に寄り添い苦しみや喜びが切実に読んでいて心に迫ってくる。

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)感想
上昇志向が極端に強い主人公が自分の前途を脅かす女性の殺害を思い立つところから始まる。姦計に足元をすくわれた男性は主人公だけではなかった。それから男達の逆襲、完全犯罪リレーの幕が切って落とされる。意表を突く殺害計画とその後の予期せぬ展開あざとい男女が繰り広げる我執にまみれた駆け引き。垣間見える人間性軽視、そして意外な結末。

無痛 (幻冬舎文庫)無痛 (幻冬舎文庫)感想
人を観察するだけでその人物の病気を当ててしまうという医師為頼。為頼と同じくもう一人の医師白神。刑法39条の心神喪失が絡んだ教師一家殺人事件。その周囲に統合失調症や自閉症の人、一切の痛みを感じない無痛症の人それを支援する側の人や診察し治療する側の人、心神喪失を装い身勝手な事件を引き起こそうとするストーカーなど。社会に混在する様々な問題が織り込まれた読み応えのある内容だった。

人体工場 (PHP文芸文庫)人体工場 (PHP文芸文庫)感想
人体を医学の進歩に利用する、人間の欲望を満たす為に人体の神秘にどこまで踏み込んでいいのか。この本では人体を新薬の製造工場にするという内容。人間の生命を維持する為に医学は限りなく進歩し続ける。それがどこまで許されるか倫理的な問題も絡んでくる。昔は治療もできなかった病も今では治療できるのもある。医学の進歩を当然のように私は受け入れている。だが医学の進歩が本当に手放しで良しとは言えないような気がする。医学という切り口で人間がどこまで踏み込む事ができるのかという問題を読者に考えさせる。

幻想古書店で珈琲を (ハルキ文庫 あ 26-1)幻想古書店で珈琲を (ハルキ文庫 あ 26-1)感想
会社が倒産し無職となった司は珈琲の香りに誘われ古書店「止まり木」に。司は止まり木でバイトをすることになる。店主の亜門は魔法で人の人生を本にするという。そこで不思議な体験を重ねていく。司は世話好きな兄のような亜門の魔法によって出来た司の人生が綴られた本は白紙で中身がなくその事実で愕然となりながらもバイトする事で少しずつ司の人生は色づいていく。亜門の正体や抱える過去それを乗り越える為の力、そして古書店に迷い込む何かの縁が切れそうな人達との出会い面白かった。

プラージュプラージュ感想
犯罪を犯した人達のが出所後の生活は厳しい。働くにも前科を言わない限り普通に過ごしていてもどこからか知られてしまい職を失うだけでなく住む場所も失う。そんな人達を受け入れているシェアハウスのプラージュ。1階はレストラン2階は住居で6部屋あるがドアは無くカーテンがドア替わり。貴生は知人に勧められ覚醒剤に手を染めた初犯だったこともあり比較的軽い刑で済んだ。プラージュで生活していくうちにシェアしている住人の事件など犯罪や事件を起こせば一生付きまといその後の人生が上手くいかない。それを温かく包んでくれるのがプラージュ

左京区七夕通東入ル (小学館文庫)左京区七夕通東入ル (小学館文庫)感想
文学部の4回生の花。試験の日の朝ヨーグルトに入れるブルーベリーをこぼし白いシャツを汚した為花柄のワンピースを選ぶ。このワンピースのおかげで花は理学部の龍彦と巡り会う。龍彦は数学科の学生で数学の話をする時以外は愛想がないというか数学の話題しかない。花は算数と呼ぶくらい苦手だが彼にどんどん魅かれていく。脇を固める龍彦と花の友達がいい味を出している。龍彦の友達は専門分野が大腸菌や爆薬や遺伝子で全く女性に興味がない。そんな彼らが愛すべきいい奴なのだ。京都の大学生モノ京都が大好きな私にはとても面白く楽しめた。

忘れ物が届きます忘れ物が届きます感想
過去にあった置き去りにされた事件が時を経て解き明かされる短編集。過去に想いを馳せる、それは懐かしさと切なさが同居すること。想い出の中に忘れ去られた謎。事件が起きた時期も自らの懐かしい学生時代のことや昔のことだったりと短編集の趣向は多彩で良かった。

第五番 無痛Ⅱ (幻冬舎文庫)第五番 無痛Ⅱ (幻冬舎文庫)感想
先天性無痛症のイバラは軽い刑期を終え社会復帰している。白神は海外に逃亡し自殺していた。イバラを取り込む新進気鋭の女流日本画家の三岸。同時期に見た事もない奇妙な腫瘍を持つ患者が訪れ新型のカポジ肉腫と名付けられ治療法がないまま死亡。その頃ウィーンにいる為頼はWHOの関連組織メディカーサの打診を薦められるが断り命を狙われる。メディカーサは日本の医療に疑問を持ちその風潮に警報を鳴らすべく彼らの持っている細菌の中の第五番という菌を日本に蔓延させた。命は尊い全ての命は平等であり医療を受ける権利がある。

泡沫日記泡沫日記感想
中年期の初体験の数々。初体験というと若い人達という感じがあるが長く生きれば生きるほど色々な形で初体験はやってくるものだと興味深く読めた。初白髪染めを買う、お葬式の弔辞を任されるとか酒井さんの鋭い目を通して語られていく。そして酒井さんの女友達の話「シモ友」酒井さんの友達選びの基準の一つ。下ネタも一緒に話せる仲で気を許している。それにしてもシモ友というネーミングをよく考えるなぁと思った。クスクス笑える内容一気読みでした。

コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)感想
駅前にある商店街のはずれに赤い鳥居が並んでいる。そこに夕暮れ時になると現れる不思議なコンビニがある。コンビニの名前はたそがれ堂大事な探し物がある人は必ず見つける事が出来ると言われている。風早という街が読めば読むほど好きになる。登場人物がみんな温かく優しいそして癒される。コンビニたそがれ堂を読み明日はきっと良い事が待っているだから頑張ろうという気持ちになる。心が励まされる内容。

奇跡の人 (新潮文庫)奇跡の人 (新潮文庫)感想
交通事故で瀕死の重傷を負った克己。完全な脳死状態と思われた状況から立ち直リハビリを終え退院までする事が出来る彼を医師や他の入院患者達は奇跡の人と呼んだ。事故で全ての記憶を失い第二の人生を歩み出そうとするが一人で新たな生活を始め気がかりがあった。事故に遭う前の自分はどんな人物だったのか。自分の過去を探ろうとする克己。中学生程度の理解力を持った31歳の男性が不利で偏見にさらされ自分なりに人々と触れ合っていく姿、無垢な障害者である克己の過去が明らかになり感動した。

顔 FACE (徳間文庫)顔 FACE (徳間文庫)感想
平野瑞穂巡査は「陰の季節」で登場していた。瑞穂は似顔絵婦警という仕事に誇りを持ちがむしゃらに描き続けていたあの頃を思い出しながらいつ似顔絵婦警に戻れる日を願いつつ広報室、なんでも相談テレホン、捜査一課と点々としている。瑞穂にとっての警察署内の唯一の居場所が似顔絵婦警。唯一男性と肩を並べて仕事が出来る男性に負けない仕事。瑞穂は似顔絵婦警として活かしてきた観察眼を遺憾なく発揮し再びその道を歩み始める。ミステリーとしても読み応えある一作。

道徳の時間道徳の時間感想
第61回江戸川乱歩賞受賞作。ビデオジャーナリストの伏見は13年前に鳴川第二小学校で起きた殺人事件のドキュメント映画を製作する仕事に携わる。講演会の最中に昔の教え子に刺殺され犯人は完全黙秘のまま。ドキュメント映画製作をしながら同時期に起きた陶芸家の死亡やいたずら事件、伏見の息子を絡めながら事件の真相に迫っていく。だが動機がえっという感じですっきりしない読了感だった。選考委員の選評で相当もめたみたい有栖川有栖さんと辻村深月さんは絶賛するがそれに対し池井戸潤さんは受賞者なしが妥当今野敏さんは別の作品を推していた

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)感想
美大生の高寿は叡山電車の車中で愛美に一目惚れつい声をかけたのをきっかけに交際が始まる。だが愛美に会う度にちょっとした違和感を感じる瞬間がある。違和感が積もるにつれ愛美は衝撃の告白をする。愛美の秘密と高寿の秘密も分かりその秘密が物語を切ない恋愛ほろ苦さになっていく。愛し合う2人が次第に離れてしまうと分かっていても最後の時まで2人で過ごす時間を慈しみ現実に立ち向かう姿に胸を打たれた。

王国 (河出文庫 な)王国 (河出文庫 な)感想
ユリカは街の悪党から依頼を受け要人にハニートラップを仕掛ける女。そんな彼女が「掏摸」と同じ巨悪の元締め木崎に狙われ翻弄されていく。命を奪おうと見せかけながら奪わなかったりユリカを殺し脅迫するという現場の役割を自ら行動したり少しずつユリカが木崎に追い詰められていく。そして矢田と木崎の間で上手く振る舞い出し抜こうと行動する展開は面白い。ユリカはどこか虚無的で破壊願望のようなものが伺え暗い影やトラウマを抱えている。その中で自分の命を軽んじながらも決して安易に死のうとは思わず彼女なりにあがいている姿は素敵だ。

書店男子と猫店主の長閑なる午後 (集英社オレンジ文庫)書店男子と猫店主の長閑なる午後 (集英社オレンジ文庫)感想
駆け出しの絵本作家の賢人は本業だけでは食べていけず本屋でアルバイトをしている。店主の猫のミカンと目を合わせると何故か白昼夢を見てしまい…。賢人も優しい青年で好感が持てる。「愛スル人」でエリーゼは鷗外に捨てられたという悲しいイメージがあったが逞しい女性というイメージに変わった。賢人と篠宮の仲の良い先輩後輩、美紅は賢人を気にしているのが気になる。そしてオーナーのこだわりの本しか置いていない店。本好きにはたまらない一冊。是非続編を読みたい。

星読島に星は流れた (ミステリ・フロンティア)星読島に星は流れた (ミステリ・フロンティア)感想
アメリカで家庭訪問医をしている盤は天体観測の参加者募集に募集する。天文学者のサラ博士が暮らす島でのイベントでその島には頻繁に隕石が落ちその隕石を参加者の中の誰かに譲るという。参加者は盤を含め7人メンバーはNASA職員、博物館職員、隕石探索の専門家、天才少女など。だが実際に隕石が落ちてきた事から歯車が狂い出す。翌日参加者の1人が死体で発見。警察への連絡手段がない中更に新たな事件が起こる。隕石が島に落ち続ける理由、殺人事件の真相とは?隕石の薀蓄が豊富で興味深く後味も悪くない内容楽しんで読めた。

廃用身 (幻冬舎文庫)廃用身 (幻冬舎文庫)感想
廃用身とは脳梗塞などの麻痺で動かなくなり回復の見込みのない手足の事をいう医学用語。医師の漆原は神戸で老人医療にあたっていた。本作は漆原が老人医療についての現状とAケアという新療法について綴った原稿という形式で描かれているのが前半、後半は漆原に執筆を説得した出版社の矢倉の視点から見たAケアと漆原の真の姿が書かれている。漆原が考え出したAケアは非常にショッキングで度肝を抜かれる。だが理論を読むと悪い事とは思えず自分もそうなったらやってしまうかもと思った。高齢化社会の将来今後どうなるのか?読み応えある内容だった

CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)感想
シリーズ第2弾。幽霊屋敷と呼ばれる廃屋で見つかった5人の女性の損壊された死体。八王子西署の藤堂比奈子たちは少しずつ事件の真相と犯人に迫る。羊たちの沈黙を模倣している内容グロテスクな犯行現場の描写があり早い段階で犯人が解ってしまうがスピード感ある展開に楽しめた。死神女子と呼ばれる検死官の石上妙子のキャラは面白かった。

金魚姫金魚姫感想
潤はブラック企業で働き同棲していた恋人には出て行かれ鬱状態の日々を送っていた。だが近所の夏祭りで金魚すくいをし一匹の琉金を手に入れる。深夜目覚めると金魚はいなく一人の女性の姿が。潤がリュウと名付けた金魚にはとても悲しい過去が隠されていた。そしてリュウと出会い死者が見えるようになった潤。死にたいと思っていた潤だが死者達と関わっていくうちに生きることの大切さに気づく。しかし二人を待ち受けていた運命はあまりに残酷で。すべては繋がっている巡る輪はいくたびも同じ場所へ戻る。