補助輪の幻(8) | 新・ユートピア数歩手前からの便り

補助輪の幻(8)

四足歩行するケダモノが直立二足歩行するヒトになる。前足二本は歩行に不要になるが、新たに両手の必要が生まれる。鳥は二本足だが翼がある。翼が不要になった前足の転化なのかは定かでないが、新たな必要であることは間違いない。何かが不要になれば、新たな必要が生まれる。それを進化と解すれば、逆に新たな必要を生み出せなければ退化、もしくは絶滅することになる。例えば、恐竜は新たな環境に適応する必要を生み出せなかったから絶滅したと考えられる。この文脈において、ヒトはかなり上手く進化して人になったと言える。様々なモノを不要にして、次々と新たな必要を生み出してきた。その極北に人工知能(AI)がある。人工知能はこれからも多くのモノを不要にしていくに違いない。皮肉なことに、その不要になっていくモノの中に人の頭脳も含まれるのではないか。実際、人の知能は人工知能に勝てなくなっている。加えて、身体機能の補助として作られた機械が今や人の身体機能を上回ろうとしている。自ら作り出した、この新たな環境に人はどう適応するのか。恐竜と同じ轍を踏むのであろうか。全ては人が人として存在する新たな必要を生み出せるかどうかに掛かっている。