補足:二兎を追う者にあらず | 新・ユートピア数歩手前からの便り

補足:二兎を追う者にあらず

螺旋の理想などとカッコイイことを言っているが、所詮は円環と直線の「あれも、これも」という楽天的な空想ではないか。当然、そうした批判はあるだろう。私自身、その点は常に自戒している。確かに円環と直線は相反する理想であり、人生の現実においては円環と直線の「あれか、これか」の決断を迫られるのが現実だ。円環の充実を求めれば直線の充実を断念しなければならないし、直線の支配下では円環の信奉者は排除される。余談ながら、1992年に放送された『緒形拳のアマゾン紀行』というドキュメンタリイを観た。その中で、アマゾンの森を守ろうとするシコ・メンデスと開発業者との闘いが描かれていた。シコ・メンデスは開発業者の一味に暗殺されたが、森林保護の活動は今も続いている。アマゾンに限らず、こうした円環と直線の闘いは世界中で行われているが、経済至上主義に囚われたパラダイスの暴走に対する闘いこそ我々の喫緊の課題だという現状認識に異論はない。しかし、その闘いは果たしてアルカディアへの回帰に帰結するものだろうか。直線の充実を滅却する反成長・反開発にしか可能性はないのか。螺旋は円環と直線の「あれも、これも」ではなく、全く新しい可能性を切り拓く理想であると信じたい。