「小さな物語」が要請する「大きな物語」(5) | 新・ユートピア数歩手前からの便り

「小さな物語」が要請する「大きな物語」(5)

最近のアメリカ大統領選や兵庫県知事選の結果を見ていると、何が真実なのか、どこに正義があるのか、全くわからなくなる。それぞれの人にそれぞれの真実があり、それがそれぞれの正義を生み出していく。今やネットで簡単に真実がつくられる時代であり、そうした真実の洪水の中で「本当の真実」を見出すのは至難の業だ。いや、不可能だと断言すべきなのかもしれない。と言うのも、人は「本当の真実」をめぐって争い合うからだ。重要なことは、他の人たちの真実を排除して自分の真実を「本当の真実」だと認めさせることではなく、様々な人の真実を超える「人間の真理」の次元を切り拓くことに他ならない。ただし、それは多様な真実を絶対的な真理に統一することではない。それでは「本当の真実」を見出そうとすることと何も変わらないだろう。「人間の真理」は人の真実を排除しない。言うまでもなく、こうした私の「真実と真理の区別」は今のところ机上の空論でしかない。しかし、何とかして人の「小さな物語」の真実が人間の「大きな物語」の真理に受肉していく理想を実現したいと思っている。当然、これは私一人でできる仕事ではない。