人生劇場 | 新・ユートピア数歩手前からの便り

人生劇場

振り返ってみれば、幼い頃から様々なドラマに影響されてきた。主にアニメのスポ根(スポーツ根性)ドラマの影響が大きかったが、中学生の時に観たテレビドラマ『人生劇場』も無視できない。むしろ、スポ根ドラマの影響は表層的なものであり、より深層に刻み込まれたのは『人生劇場』の方だったのかもしれない。殊にそのドラマの中で耳にした「野心なくして何の青春ぞや」という言葉。今や誰の言葉であったのか(青成瓢吉かその父か、あるいは吉良常か)さえ定かではないが、それは私の魂の方向を決定したように思う。しかし、野心とはなにか。かのクラーク先生も同じようなこと(be ambitious!)を言われたが、私にとって大きな志は単に「有名になる」とか「金持になる」といった社会的・経済的成功(出世)には見出されなかった。とは言え、表層的には、スポ根ドラマに影響されていた私は有名なプロ野球選手に憧れていた。けれど、常に違和感があった。多くの人たちから注目されたいというスケベ根性がありながら、そんな派手な生き方に人として本当に生きる偉大さはないとも思っていた。余談ながら、どういうわけか尾崎士郎と火野葦平の印象が私の中で重なっており、『人生劇場』と『花と龍』の世界も重なっている。おそらく、ほぼ同じ時期に『花と龍』の映画もテレビで観たせいだろう。周知のように、『花と龍』は何度も映画化されているが、鄙見によれば、山下耕作監督が中村錦之助と佐久間良子のコンビで撮った作品が最高だ。私は玉井金五郎に男の中の男を見た。そして自分も玉井金五郎のように生きたいと思った。しかし、比較的最近、火野葦平の原作を読んでみたが、かつての感動は甦らなかった。今でも玉井金五郎は男の中の男だとは思う。しかし、もはやそこに私の野心はない。一体、何が変わったのか。