私は正しい(6) | 新・ユートピア数歩手前からの便り

私は正しい(6)

「正義とは強者の利益だ」とはトラシュマコスの言葉だが、私はそこに「強さの正しさ」の典型を見る。国安法の正しさも畢竟そこに強者の利益が込められているからにすぎない。実際、国安法に反対しても力で捩じ伏せられるだけだ。従って、国安法をつくった強者以上の力を持たない限り、その正しさを覆すことはできない。原理的にはそうなる。そこで善人が強者になることが望まれる。そもそもこの世界が腐敗しているのは悪人が強者になっているからだ。悪人を一掃して、善人が強者としてこの世界を支配すれば、たちまちパラダイスが実現するだろう。多くの人はそう夢見るに違いない。確かに、パラダイスの夢には容易に否定し難い魔力がある。しかし、私の正しさは敢えてその魔力と戦おうとする。パラダイスの夢に対してユートピアの理想を突き付ける。そうした私の正しさを一体誰が支持してくれるのか。