ヒーローが立ち去った後(4)
人間のための環境保護(Shallow ecology)ではなく、あらゆるイキモノのための環境保護(Deep ecology)は明らかに人間の理想を超えている。すなわち、「人間第一!」ではなく「地球第一!」なのだ。従って、この新たなヒーローの戦う敵は「人間第一!」主義者とい うことになる。そして、その戦いはしばしばヒューマニズムそのものを侵食していく。周知のように、humanismは「人文主義」とか「人道主義」と和訳されるが、その現代における本質は「人間中心主義」にある。それ故、「人間萬歳」が理想社会のモットーだとしても、それが他のイキモノのイノチを奪う結果をもたらすならば、新しきヒーローは黙っていない。その極端な反応は毛皮を着用した女性や捕鯨船への襲撃に見られる。その意図は理解できる。さりとてそのために毛皮ファッションや捕鯨文化が消滅してしまうことにも違和感がある。動物実験に対する新しきヒーローの戦いも然り。人間中心社会で人間のために殺されるイキモノがいる限り、新しきヒーローはあらゆる殺生に対して戦いを挑み続けるが、私はそれを無条件に肯定・受容することができない。結局、私も「人間第一!」主義者にすぎないのか。ゴーガルテンは人間を神と世界の間に位置付けた。鄙見によれば、ヒトはイキモノの世界の一部にすぎないが、人間は神によって世界の経営を委託された者に他ならない。問題はその「委託」の意味だが、それは決して「人間第一!」主義に尽きるものではないと私は考えている。