補足その五:「無力の力」と絶対権力
「先生、世界を変えることはできますか」と女子中学生が問いかける場面が或るドラマにあった。それがいつまで経っても脳裡から消えない。我々は何と応えればいいのか。おそらく、この世界には私などの想像を絶する力が働いているだろう。政治 、経済、文化――我々の社会の一切がその力によって動かされている。我々はその力に踊らされている、と言ってもいい。勿論、無意識の裡に。しかし、たとい蟷螂の斧にすぎなくとも、私は一矢報いたいと思う。どうすればいいのか。我々の目に見える部分だけに限定して言えば、先述したように、富裕層と称される既得権者たちの力のディコンストラクションが喫緊の課題になる。革命か。それもいいだろう。確かに、革命には已むに已まれぬ必然性がある。上からの運動に対する下からの運動の必然性。世界の一新!新しき社会の実現!しかし、革命が一度でも成就したことがあるのか。これまで繰り返されてきた革命は、所詮既存の古き富裕層を打倒した奴等が新たな富裕層に成り上がっただけではないか。言わば古き力がそれを上回る新しき力に打倒されたにすぎない。そんな力の循環が革命だと言えるのか。世界を変えたと言えるのか。古き力が新しき力に打倒され、その新しき力もやがて古くなって更に新しき力によって打倒される。そんな循環にはもうウンザリだ。世界を根源的に変えるのは「無力の力」しかない。