脳と身体
どうも秋の長雨のせいか、憂鬱な日々が続いています。こうした気分が長引くと、小学生の時の通知表に「桑畑に落ちると、なかなか出て来られない性格」と書かれたことが思い出されます。何故桑畑だったのか、未だに腑に落ちかねますが、先生(女性でした)のその指摘は正しいと思います。
さて、今私が落ち込んでいるのは、「私の求めているようなユートピアは多くの人の共鳴を得られるものではないのでは…」という思いによるものです。すでに述べてきたように、私はユートピアには二つの系列があると思っています。簡単に言えば、自然楽園と人工楽園です。前者を牧歌的田園のアルカディア、後者をポスト・モダンのユートピアなどと区別していますが、多くの人はアルカディアの共同生活をこそ求めているのではないでしょうか。
尤も、私はアルカディアを否定しているわけではありません。ただ、「たといアルカディアが如何に魂のやすらぎをもたらすものであっても、そこへと後向きに戻ることはできない」と思っているだけです。アルカディアは前向きに反復されねばなりません。そして、「前向きに反復されたアルカディア」こそユートピアなのです。ユートピアが重層構造であるということは、そういう意味です。
しかし乍ら――アルカディアからユートピアへ、共同生活から共働生活へ、という論理はやはり説得力を欠いています。唯脳論的に言えば、私の言うユートピアは所詮「脳が求めているもの」にすぎず、「身体が求めているもの」が蔑ろにされているような気がしてなりません。当分、憂鬱な日々が続きそうです。