次元の違い | 新・ユートピア数歩手前からの便り

次元の違い

私が新しき村で為すべきことはもはや何もないのではないか――つくづくそう思います。というのも、私の提案する「ユートピアの実現」が他の村人達に殆ど理解されないからです。それは私の説明不足とか彼等の理解不足ということではなく、根源的に次元がズレているような気がします。譬えて言えば、サッカーに関心のある人達ばかりの中で、一人野球について語っているような感じです。しかし、こうした次元の違いとは一体何でしょうか。


いやしくも新しき村への入村を決意した人間の集団ですから、そこには何らかの共通項がある筈です。私はそれを「理想社会への希求」だと理解しています。しかし、その希求の次元が異なっていると思うのです。非常に大雑把に言えば、村人の殆どが求めている理想社会は水平の次元に重点が置かれています。それに対して私は、あくまでも垂直の次元に重点を置いた理想社会を構想しているのです。勿論、真の理想社会は垂直的理想と水平的理想の統合に他なりませんが、現状においては重点の置き方に差異が生じてくるでしょう。水平の次元に求められる理想社会をアルカディア、垂直の次元に求められる理想社会をユートピアと単純化できるかもしれません。


何れにせよ、こうした次元の違いにおいて、あくまでも村内での活動に固執するならば、私には二つの道しかないでしょう。冒頭に述べた譬えに即して言えば、私がサッカーファンに転向するか、逆に彼等を野球ファンに転向させるか、です。言うまでもなく、何れも現実的ではありません。となれば、新たに野球ファンの村をつくるしかないと思っています。