Noch-Nicht-Sein
先月末の定例会には、体験入村を希望される大学生の方が出席されました。それに合わせて、先日の便りでお知らせした「体験入村規定」の試案を提出したのですが、その趣旨は殆ど理解されませんでした。尤も、大学生の希望自体は諒承され、1ヶ月の体験入村が決定したので、結果的には良かったと言うべきかもしれません。
しかし、私は今、非常な失望を感じています。殆ど絶望と言っても良いでしょう。私としては「体験入村」の門を広げることで、新しき村を「売れるユートピア」にする第一歩を踏み出したかったのですが、私の言葉は結局「唐人の寝言」にすぎませんでした。勿論、「売れるユートピア」などという刺激的な言葉は口にしませんでしたが、私の問題意識が相変わらず今の村に響かないのは明らかです。
尤も、「村の現実」と「私の理想」の間に質的な断絶があることはすでに了解していたことであり、今更愚痴を言っても仕方がないでしょう。私は全てを承知の上で、敢えて理想を語り、「村の変革」を試みてきました。それは、或る意味で、新しき村に対する未練だと見做されるかもしれません。しかし私は新しき村に固執するつもりのないことを繰り返し明言してきました。その気持に今も変わりはありません。ただ、その一方で、たとい創立時の理念が変質しているとは言え、ここまで存続してきた村の可能性を何とかして活かしたいという思いがあるのも事実です。
確かに新しき村など見限って、一から自分達のユートピアを実現することに集中すべきなのかもしれません。実際、事ここに至って、そうせざるを得ないとも思っています。そもそもユートピアは、アルカディアとは異なり、「未だ-ない-もの」に他なりません。しかし、もし「村の変革」に成功すれば、その実現への道は大きく切り開かれるでしょう。少なくとも、「一から始める」よりも大きな仕事ができるように思われます。果して、これはやはり未練なのでしょうか。
何れにせよ、「村の変革」もさること乍ら、私は自分自身の状況も早急に変革しなければなりません。身動きの取れない今の状態をいつまでも続けているわけにはいかないのです。率直に言って、今の私の精神状態は不安定で、今後については揺れ続けています。しかし、この夏までには結論を出したいと思っています。