オブローモフとシュトルツ
人間の類型としてハムレット型とかドン・キホーテ型というものがありますが、ここではオブローモフ型とシュトルツ型について考えてみたいと思います。簡単に言えば、前者は非生産的人間、後者は生産的人間の典型に他なりません。
オブローモフは社会にとって「無用者」です が、決して単なる怠け者ではないと思います。彼はいつも夢見るように「理想的生き方」について考えています。勿論、考えているだけで、結果的に何もしていないことは事実です。その意味において、オブローモフは現代の「ニート」と呼ばれる若者達の元祖だと思われます。
それに対してシュトルツは何事もテキパキとこなす有能な人間です。彼は親友のオブローモフのことを何かと心配するなど、人間性の面においても問題はありません。おそらくオブローモフとシュトルツの何れになりたいかと問われれば、十人が十人、シュトルツのような人間になりたいと答えるでしょう。シュトルツは社会的にも個人的にも「求められている人材」に他なりません。
しかし乍ら、オブローモフには不思議な魅力があります。それは宮澤賢治のいう「デクノボオ」に通じる魅力です。確かに彼は「無用者」には違いありませんが、人々に何となく「サウイフモノニワタシハナリタイ」と言わせる力があります。そこに「真のユートピア」の原点があるのではないでしょうか。