秘密というと、我々はどのようなイメージを持つだろうか?

触れてはならないモノ、何か旧家の奥にずっと仕舞われている、秘密の小箱、そんな手文庫の中にひっそりと入っているような気がする。

初秋の西日が差す座敷の押し入れの中に、隠されたようにその手文庫はあり、久しく開けられていないその手文庫は、黴臭さと共に、禍々しい家族の秘密が隠されている。

まるで横溝正史のような世界だが、秘密といえばそのように感じてしまう。

以前、どの家庭もミイラを隠していると言った人がいた。

手文庫に比べ、ミイラは大きい。

隠すのに困る大きさだ。

でも、ミイラも手文庫と同じように他人には見られては困るモノなのだろう。

 

 

東野圭吾さんは小説「秘密」で、父親と娘の疑似的近親相姦と言う形で、家族と肉親という曖昧なモノを私達に問いかけていた。

大まかにこの小説を説明すると、妻と娘を乗せたバスが崖から転落し、妻は娘をかばい死亡するのだが、その葬儀夜、意識を取り戻した娘の身体には妻の心が宿っていたのだった。

当然父親は娘の身体に妻がはいっていることに驚くが、そのことを二人とも受け入れ、以前のように生活は続けることになる。

だが娘、妻は学校に行き、第二の青春を謳歌するように楽し気にしている。

同世代のボーイフレンドもいるようだ。

当然夫はおもしろくない。

そのような時、夫も妻も長らく控えていた性行為に入ろうとするのだが、妻の顔を見ると、娘の顔そのままなので、夫はその気にならないのだった。

ファンタジー仕立てで上手くできた物語だった。

近親相姦だというと、どうしても禍々しくなってしまうが、この小説は映画にもなり興行的にも成功した。

近親相姦は怖いような世界だけど、「秘密」のように具体的に近親相姦とは何が問題なのか分かりやすくかみ砕いて、このようにファンタジー仕立てで物語にしてくれれば、誰でもおとぎ話として楽しめる。

 

私がこのブログを書くきっかけは、ある方がブログで自身のことを書かれておられたからだ。

具体的には書けないが、そのことが近親相姦にあたるかどうかは私にはわからない。

でもその方はずっと悩んでおられた。

 

近親相姦について、1972年、女性週刊誌が電話や面接で、女性1229人から回答をえた調査結果がある。

それによると、4.7%の女性が近親相姦ギリギリの経験をしたらしい。

この結果が多いか少ないか分からないが、5%近く、20人に1人は近親相姦に近い経験をしていることになる。

相手が親なのか、それとも兄弟、姉妹なのか、どちらにしても近親者なのだ。

私の知り合いで祖母から悪戯をされた方がいた。

まさかと思うが、祖父祖母から悪戯を受けたと言う方が意外に多いということに驚く。

 

この中で一番多いのが兄妹、姉弟の関係なのだという。

私が子供の頃、友人が、この家の人たちは兄妹でありながら、夫婦同然の生活をしていると聞いた覚えがあった。

今も兄妹、姉弟でありながら関係を持っている人たちも一定量いるのだろう。

でもそのほとんどは一時期だけの関係だという報告もある。

成人すれば普通に他の男性や、女性と結婚するようだ。

結婚相手はまさか実の兄と妹、姉弟とが性行為をしているとは思わないだろう。

傍から見れば仲のいい兄妹、姉弟でしかない。

仲には兄から無理やりという女性もいるかも知れない。

しかし、法律上婚姻届けが受理されない、近親者同士による夫婦関係とみなされる世帯数は驚くほど多いという。

 

昔から小説や映画では、異母兄妹や異父兄妹の恋愛などを扱ったモノが多かった。

それだけお互いに惹かれあうモノがあり、悲劇性もあって、物語としては面白い。

血の繋がらない同士の恋愛ものよりも、血の濃い者同士の男女の方が、きっと私達に訴えるモノ、ワクワク感に近いモノがあるのかも知れない。

また、その因子は誰にでもあり、兄妹、姉弟の恋愛は遠い世界の問題ではないのだろう。

先にも書いたが、兄妹、姉弟の性行為がどれほどの程度のモノか、私には分からないが、先の統計のように、肉親との性的行為が微々たる数でないことは確かである。

 

父親と娘の関係もある。

そして母と息子の関係もある。

父と娘の関係は恋愛関係にはなりにくいだろうし、実際恋愛関係は少ない。

そうなると関係は父親から無理やりという場合である。

それが父親としての愛情の表現としても、娘には気持ち悪さしかないだろう。

ひょっとしたら、娘の家出はこの辺にあるのかもと考えてしまう。

また、父親は娘を精神的に支配することは難しいから、性的な行動に出てしまうのだろうか。

 

次は母親と息子だが、これはややこしい。

海外ではまことしやかに、日本の母親は息子の性処理までしていると報じているマスコミまである。

これは近親相姦の電話相談を朝日新聞が掲載したことにより、反響を呼んだことにもあるのだろう。

また毎日新聞社の英字報道メディア、「毎日デイリーニューズ」で、毎日新聞の外国人記者が、日本人を変態的民族のように貶める記事を長きにわたり書いていたことによる。

確かに日本の家庭では、母親と息子には強い絆のようなモノがあると思う。

私は3男だったから助かったが、長男は嫌だったと思う。

性的なモノよりも、精神的に支配しょうとしているのが傍目にも分かったからだ。

それはもう息子を頭から飲み込みたいという、歪んだ支配欲によるモノである。

可愛さもここまでいけば、怖いと思うしかない。

でも、それが普通で当たり前だと思っていた。

そのような何処にでもいる母親の、自分の中にある女の部分と、母性との葛藤を演じていたのが映画「青春の殺人者」の市原悦子さんだった。

 

 

女性の裏の顔を見てしまったような、見てはいけないようなモノを見てしまったような、本当に怖かったのを覚えている。

 

私の家だけではなく、どこの家のお母さんも息子を宝物のように扱っていた。

しかし「密室の母と子」のような、母と子による性的なことはないだろうと思っている。

つまり電話相談にあったようなことはなかったと思っている。

あの相談の多くは、官能小説をなぞって、パターン化したモノが多いとされていた。

悪戯による電話相談だった可能性があったということだろう。

また、久保摂二さんの論文「近親相姦に関する研究」では、父娘(15例)兄妹、姉弟(15例)の事例が多く、母息子の事例は3例だけである。

 

私は十数年前にTSUTAYAのアダルトビデオが置いてある所に行ったのだが、そこは以前とまったく様相が違い、代々木忠さんのビデオはもうとうになく、近親相姦、それも母と息子のビデオと、それにおばさんビデオが溢れていた。

これはどうしたことだろうと思った。

近親相姦のビデオが、ちょっとしたところにあればそれも面白いが、メインの所にびっりあると、流石におののく。

それも母子の近親相姦とおばさんビデオだ。

ビデオを見る人たちの年齢が上がっているからとも言えるが、それとは別にもしかしたら、若い人たちがおばさんビデオを好んでいたら、それをどう理解したらいいのだろう。

 

つまり性行為までは行かなくても、誰かに過去悪戯をされていた可能性はある。

もし若い男性がおばさんビデオを見ていたら、その可能性は高い。

あまり考えたくない結果になりそうだけど、家庭という密室の中だから誰にも分からない。

父親もまさかと思っていても、怖くてきっと聞けないだろう。

 

☆このブログではほとんど書けなかった近親相姦について調べたことは、またいつか報告したい。