最近TBSで人気のドラマがあるらしい。
何でも陸自のスパイ組織をモデルにしているらしいだが、モデルになっているスパイ組織らしいモノを少し調べてみた。
そこで出てきたのが「帝国陸軍から引き継がれた負の遺伝子」という言葉である。



講談社の現代ビジネスで、石井暁氏の著書『自衛隊の闇組織-秘密情報組部隊「別班」の正体』を扱っているサイトでの文面である。
見出しが日刊ゲンダイを彷彿させる。
このような見出しがつかないと本が売れないのか?
実はこの本、2018年10月に講談社から発売されている。
その時はあまり話題にもならなかったようだ。
TBS系でドラマ「VIVANT」のモデルになって、今話題になっているのだろう。
帝国陸軍の負の遺伝子と言われた「別班」は本当にあるのか?
共同通信の編集委員の石井暁氏は存在すると言っている。
きっとあるのだろう。
ネットで調べてみると、石井昭氏は元別班の人物から、多くの情報を得ていたのだと明かしている。
その人物から別班の名簿まで提供されているのには驚く。
これが本当だとするとすごいことだ。
なぜかというと、一定の基準に達したエリート集団の別班には厳しい掟があるからだ。
それに、別班の人たちは陸自の小平学校(現・情報学校)の心理戦防御過程という、特殊な教育や訓練を受けている。
そんな人たちが陸自を退役したとはいえ、通信社の記者に、自分たちの仲間の名簿を簡単に渡すことに驚く。
陸自の小平学校の規律と団結力は、卒業しても一生続くような感じもするからだ。
例えば、出身校の同窓会や同期会には出席するな、友人と呑むな、年賀状は出すな、近所付き合いも禁止、自宅には表札を出すな、通勤ルートを毎日変えろなどがあるという。
この様な厳しい掟がありながら、名簿を簡単に、共同通信の記者に渡してしまう元別班の班員とはどの様な人物たちだろう。
石井氏が接触した人物たちは、私達が考えているスパイ像とかなり違うようにみえる。
またこの人物に石井氏はどのようにして接触できたのか?
石井暁氏の「別班」の記事を読んで相手から接触してきたのか?
石井氏によれば、元班員だった10人前後に取材できたという。
10人?
芋ずる式に彼らと接触できたのか?
そうなると余りにも緩い組織に思えてくる。
同窓会もでるな、友人と呑むな、近所付き合いもするなと言っていたのに、これはどうしたことだろう?

石井暁氏によれば『自衛隊の闇組織ー秘密情報部隊「別班」の正体』を執筆した後、旧知の陸自の将官から「尾行や盗聴は覚悟しておけ」「ホームで電車を待つ時は、最前列で待つな」と言われたらしい。
これが脅し、恫喝なのか分からないが、わざわざ口頭で言うのだから、ただの忠告だったのだろう。
でもこれがCIAならヤクザを使ってくるから、本当に怖いことになる。
石井氏もそうだが、家族の身も危うくなる可能性もあっただろう。
それに陸自が本気なら、石井氏にもっとプレッシャーをかけていただろう。
本も出せなかった可能性もある。

金大中誘拐事件が、1973年8月8日に千代田区のホテル・グランド・パレスで起こった。
誘拐を実行していたのは韓国のKCIA、韓国中央情報部だった。
だが、そこに陸上自衛隊の影の組織ともいえるMIST、ミリタリー・インテリジェン・スペシャリスト・トレーニング、秘匿名ムサシが関わっていたという話もある。
朝鮮戦争後も、アメリカは朝鮮半島の共産化にまだまだ敏感になっていた時期である。
この事件にはむろんCIAも関わっていたが、韓国の中央情報部も、日本のムサシも関わっていただろう。
それほど70年代の韓国と北朝鮮は緊迫していた。
1980年5月18日-27日まで起こった光州事件では、CIAと北朝鮮の関与があったされる報道もある。
また光州事件は金大中氏の自作自演だといった、ニューヨークタイムズ東京支局長の発言もあった。
この人は金大中氏の支持者だったが、その後金大中氏が大統領になるために暴動を仕掛けたと考え、自作自演だという発言になったのだろう。
金大中事件、光州事件と続くと、次は日本の拉致誘拐事件になる。
拉致誘拐事件は長く北朝鮮の関与が囁かれながら、政府も野党もマスコミも無視をし続けた。
私達よりもずっと情報があったはずなのに、北朝鮮の犯罪だとは新聞社も警察も認めようとはしなかったのはなぜか?
石井氏も別班のことを書くなら、同時に北朝鮮による拉致誘拐事件のことも書かなくてはおかしい。
別班は金大中事件と北朝鮮拉致誘拐事件にも繋がっているからだ。
何故かと言えば、日本にいる北朝鮮工作員に、日本のムサシ、公安部が立ち向かっていたはずである。
共同通信が北朝鮮による拉致誘拐事件を、何時どういう形で伝えたかは私は知らないが、別班の捉え方もどこか偏っているようにも思える。
その当時、北朝鮮の工作員と、日本に在住している同調者を突き止めようと必死に活動していたはずだ。
ムサシは眼には見えないが防波堤のような役目を果たしていたといえる。
ムサシは隠密の組織だから公にできないが、そうだからといって、731部隊のような悍ましい書き方はないだろう思う。
ジャニーズのこともそうだし、従軍慰安婦報道のこともそうだ。
日本のマスコミは節操がなさすぎる。
いつも書きっぱなしで反省がない。
放送局も新聞社も、北朝鮮の拉致誘拐事件をどう伝えてきたのか、もう一度反省すべきだ。

石井氏が2018年10月『自衛隊の闇組織ー秘密情報部隊「別班」の正体』出していた頃には、もう時代は変わっていて、ムサシの存在も、役割も変わっているか、無くなっていたのかも知れない。
そうでなければ、10人もの元別班の人たちが取材を受けることはないだろう。
また元班員の方たちは、陸自の了解を得て、取材を受けているはずだ。
そうすると、陸自の将官が言い放った石井氏への恫喝、脅迫とも受け取れる忠告は、ただのお遊びだったと言えないこともない。
石井氏にすれば夜も眠れないくらい怖かったと思うが、陸自の人達からすれば、私達は毎日命がけで日本を守り活動しているのだ。
お前らのようなお遊びのような仕事ではないという気持ちもあって、脅しのような発言になったのだろう。
頭でっかちで、知ったかぶりをして、ふんぞり返っている新聞記者が前から気に食わなかっただけだ。
ただそれだけの事ような気がする。
通信社が日本の闇を暴こうと思えば暴けられるはずだ。
そうしないのは共同通信のような大きな会社が、ただただあちこちに忖度をして動かないからだ。
少しは恥ずかしいと思ってほしい。
それを命がけで日本を守っている組織を、禍の根源のように扱うのはどうかと思う。