吃音のある人なら、一度は言友会の名前を聞いたことがあると思う。

吃音者にとって唯一の憩いの場所かも知れない。

私も何度も足を運んだことがある。

何処の言友会とは言えないが、ある言友会ではいろいろなことを学ばされてもらった。

吃音についても、吃音以外についても勉強させてもらった。

私は自分のことを頑なに吃りとは思いたくなかった。

かなりの吃りなのに、そのことについては認めたくなかった。

自分の吃りを見ぬふりをしていた。

それで吃りが治る訳でもないのに、自分が吃りと認めなければ、周りの人間も自分を吃りと認めないだろうと訳もなく考えていた。

そんなことを考えて暮らしていた時期が長かった。

ある時、新聞の記事を見て言友会の門を叩いた。

今思うと、自分でも必死で何かを探していたのだろう。

また吃りを何とかしたかったのだろう。

そんな時に言友会と出会った。

私が行った言友会は、月に一度の例会の時だった。

例会の参加者は10名前後。

男女比率は女3~4名、男が6~7名ぐらいだったと思う。

年齢割合ははっきり分からないが、大学生もいたり、年かさの人もいたり、私と年齢が近い人もいたりで助かった。

例会の初めに自己紹介をするのだが、吃音の人達ばかりだから誰もが吃りながら自己紹介するものと決めてかかっていたのだが、なかなかどうして誰も吃らずにすらすらと言葉を出すではないか。

私は困った。
舐めてかかっていたことを反省した。

そのことで私はかなり緊張して、私一人だけが吃りまくった。

しかしその場から逃げ出したい様な気持ちにはならなかった。

吃音者に囲まれている安心感からくるものかも知れないと思った。

自己紹介の後はゲームのような、一芸を披露するものだったような気がする。

例会が終わり、近くの喫茶店で吃音や私ことについていろいろ話させてもらった。

例会の担当だった男性の方は会のリーダーだった。

補佐役は女性で、この方も言友会に長く参加していると聞いた。

何処の言友会もこのような、世話好きの人たちで何とかなりたっているのだろうとつくづく思った。

言友会の例会に参加して以外だったのは、女性の吃音者がいたことである。

私は言友会に行くまで女性の吃音者に会ったことはなかったのでとても驚いた。

また吃音について会員は真面目に勉強されている。
それにも驚いた。

私は吃音者なのに何も吃りについて勉強してこなかった。

しかし言友会では吃音について、真面目に勉強していることに感動さえした。

その後、私も言友会で吃音についていろいろ教えてもらい、勉強もした。

自分のことも吃りと人前で言えるようにもなった。

このように言えるようになったのも言友会のおかげである。

以前は吃りという言葉にも怯えてくらしていた私だったが変わった。

ここまで書くと良いことばかりと思われてしまうが、良からぬ会員がいて、時折宗教の誘いや政治がらみの誘いをかけられることがある。

その他のことは何処の団体とも変わらぬものと思う。

吃音者なら一度は行ってみる価値はあると思う。