(会社。カタカタと叩かれるキーボードの音)


係長
「(自席で立ち上がり)えー、みなさん。おはようございます。朝会を始めます。
 本日、15時からアタフタコーポレーションの田島さんと打ち合わせがあります。
 担当の方、よろしくお願いします。

 また、社員アンケートの期日が今週金曜日までです。提出がまだの方、よろしくお願いします。


 最後にまだ、出社していない課長ですが、まだ、連絡を受けていません。」

携帯
「ピロロロロロ。ピロロロロロ。」

係長
「失礼。(電話に出る)もしもし。
 あ、お疲れ様です。どうされました?
 はい。はい。はい。あ、わかりました。はい。失礼します。(電話を切る)
 
 今、課長から連絡があり、昨夜、課長の首に賞金がかけられたそうです。
 で、賞金稼ぎに追われているので30分ほど遅れるそうです。


 それでは、今日も1日、よろしくお願いします。(座る)」


(カタカタと叩かれるキーボードの音)


携帯
「ピロロロロロ。ピロロロロロ。」

係長
「もしもし。あ、お疲れ様です。
 どうされました?あ、そうなんですね。わかりました。確認しておきます。はい。失礼します。(電話を切る)
 
 (自席で立ち上がり)はい。みなさん、聞いてください。
 今、部長から連絡があり、部長の首にも賞金がかけられたそうです。
 
 部長から、念のため、他に自分の首に賞金がかけられましたという人がいたら連絡してほしいという指示がありました。
 賞金がかけられているという方、あとで私に個別で連絡をください。


 以上です。(座る)」


(カタカタと叩かれるキーボードの音)


携帯
「ピロロロロロ。ピロロロロロ。」

係長
「もしもし。あ、お疲れ様です。はい。はい。わかりました。はい。失礼します。(電話を切る)
 
 (自席で立ち上がり)はい、みなさん。たびたびすみません。
 課長から連絡があり、家族が賞金稼ぎに人質にとられたので、一旦帰宅するとのことです。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 今、部長から連絡があり、部長にかけられた賞金が9800ドルから19600ドルに上がったそうです。
 はい、殺しにいかない!殺しにいかない!
 いいですか?確かに部長は賞金首ですが、それ以前にみなさんの上司です。それを忘れないように。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 今、部長から指示があったので確認しますが、この中に部長の首に賞金をかけましたという人、いますか?
 いませんか?大丈夫ですか?
 まかり間違っても、自分の上司の首に賞金をかけないようによろしくお願いします。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 とうとう恐れていたことが起きました。
 社長の首に賞金がかけられたそうです。
 本当にいませんか?うちの会社の管理職や役員の首に賞金をかけ続けている人、いませんか?
 
 仮に恨みがあるなら、直接、手を下せばいいじゃないですか!
 何故、賞金をかけて、賞金稼ぎに狙わせるんですか!
 普通に命を狙うより、タチが悪いですよ。
 
 あと、社長にかけられた賞金ですが、8ドルだそうです。
 なんで部長が19600ドルで社長が8ドルなんですか!
 小学生のお小遣いレベルじゃないですか!
 社長の名誉のためにも、もっと賞金を上げてください。
 
 ・・・。
 
 違う違う!そもそも管理職や役員の首に賞金をかけるのをやめてください!
 その賞金だって、この会社で働いて稼いだ給料から捻出されてるんですよ?
 そのお金を出しているのは上司たちなんですよ?」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 うん。とうとう私の首に賞金がかけられました。

 なんですか?お説教したからですか?
 
 誰ですか?!誰なんですか?!
 私の首に1000スイスフランの賞金をかけたのは誰なんですか?
 
 あと、他の上司はドルなのに、なんで私はスイスフランなんですか!?
 本当にやめなさい。

 スナイパーとかに狙われるからやめなさい。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 うん。1000スイスフランから1000ドルに変わったけど、そういうことじゃないんです!
 スイスフランをやめろと言ったんじゃないんです!」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 うん。また、1000スイスフランに戻ったけど、スイスフラン気に入ってる訳じゃないから!」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 はい。今、課長から『迷走してるね』とメールが来ました。
 迷走してると思われなくないので、あまりコロコロ賞金を変えないように!
 
 ・・・。
 
 違う違う!そもそも賞金をかけるんじゃありません!」

携帯
「ピロロロロロ。ピロロロロロ。」

係長
「もしもし。あ、社長、お疲れ様です。
 1000スイスフランの価値ですか?
 だいたい12万円くらいですかね。
 
 ・・・『いいなぁ』じゃないです!

 確かに8ドルはないと思いますけど。
 『もっと狙われたい!』じゃないです!

 とりあえず、身の安全を確保してください。

 8ドルでも賞金首ですから。
 
 見下してなんかないですよ!なんで社長を見下すんですか!
 
 ・・・社長の中では、賞金が高い方が偉いみたいな定義があるようですが、そんなことないですよ。
 はい。とりあえず、賞金稼ぎにはお気をつけください。はい、失礼します。(電話を切る)
 
 (全員に向かって)はい。失礼しました。
 話を戻しますが、みなさんの中に管理職に賞金をかけて続けている人は本当にいませんか?」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 管理職全員、仕事どころではなくなるので、やめてください。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 あと、社長の賞金を異様に低くして、妙な下剋上させるの、やめてください。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 うん。さっきから、私の首にかけられた賞金が1000スイスフランずつ上がっていってるのは何なんですか?
 
 霧島。ちょっとバットの素振りやめてもらっていいかな。
 藤堂。会社で包丁を研ぐのはやめようか。
 石井。こっちに向けている銃下ろして。
 
 ほら、みんなも仕事どころじゃなくなるでしょう?
 管理職の首に賞金をかけるとロクなことがないんです!すぐに取り下げてください。」

メール受信音
「♪ピロリン。」

係長
「(携帯を確認して)
 私の賞金が10万スイスフランに跳ね上がったのはなんなんですか?!」


(銃声)


係長
「(身をかがめて逃げる)やめなさい!やめなさい!」

 

 

 

 

 

 


【コント・セルフ・ライナーノーツ】

以前、病院でスターウォーズを見ていて、ハン・ソロの首に賞金がかけられているというシーンを見て、

賞金首で何かコントが書けないかなぁと考えました。

 

『クビ』というタイトルと会社という設定でこの展開は予想できなかったと思いますが、いかがだったでしょうか。

 

 

【上演メモ】

人数:1人

係長

 

所要時間:4分~5分
難易度:★☆☆☆☆
備考:僕のブログではかなり珍しい一人芝居です。音響さんとの連携がカギになりますが、タイミングが難しいところはないと思います。

 


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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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