鵜野
「んー。」

秘書
「(部屋に入ってくる)あれ、どうしたんですか、先生。

 だるまなんかじっと見て。」

鵜野
「いや、この前、選挙に当選したときに右目を入れたけどさ・・・。
 なんだろう、目のバランス、悪くない?」

秘書
「そうですか?」

鵜野
「右目が左目に対して大きすぎない?」

秘書
「んー。まぁ、言われてみればちょっとだけ大きいですかねぇ。」

鵜野
「そうだよね。」

秘書
「別にいいじゃないですか、それくらい。」

鵜野
「いや、気になるんだよ、こういうの。」

秘書
「そうですか?」

鵜野
「それに、なんか最近、ツイてないんだよね。」

秘書
「と言いますと?」

鵜野
「だるまに右目を入れて以来、
 右足の小指をタンスの角にぶつけるわ、
 右足の小指をドアの端にぶつけるわ、
 右足の小指を机の角にぶつけるわ、
 もう散々だよ。」

秘書
「右足の小指、心配ですね。」

鵜野
「(だるまを抱えて)ちょっと出かけてくる。」

秘書
「どちらへ?」

鵜野
「ちょっと心当たりあるから。」

秘書
「心当たり?」


(1時間後)


鵜野
「ただいま。」

秘書
「おかえりなさい。どちらに行かれてたんですか?」

鵜野
「電車で隣町の眼医者に。」

秘書
「眼医者?」

鵜野
「眼医者でだるまの右目、何とかなりませんか?って相談しに。」

秘書
「で、なんて言われました?」

鵜野
「目薬、処方された。」

秘書
「目薬出たんですね。」

鵜野
「で帰りも電車で帰ってきたんだけど、私の人気ってすごいね。
 やっぱり、選挙に当選したからかな。
 電車の中の人、みんなこっちを見るんだよね。」

秘書
「そりゃ、電車の中でだるまを抱えてる人がいたら『なんだろう』って目で見ますよ。」

鵜野
「(時計を見て)あ、目薬の時間だ。」

秘書
「いや、そんなことやっても変わらないと思いますよ。」

鵜野
「(だるまに目薬をさしながら)やってみないとわからないだろ?」

秘書
「やってみなくてもわかりますよ。」

鵜野
「ちょっとトイレ。(走ってトイレに向かう)」

秘書
「慌ただしい方だ。」

物音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)あぁっ!」

秘書
「また、足の小指ぶつけたかな?」

鵜野
「(右足をさすりながら戻ってくる)ダメだ。この目薬効かないわ。」

秘書
「そりゃ効かないですよ。」

鵜野
「(だるまを抱えて)行ってくる。」

秘書
「どちらへ?」

鵜野
「眼医者!」

秘書
「やっぱり?!」


(1時間後)


鵜野
「(だるまを抱えて)ただいま。」

秘書
「おかえりなさい。眼医者、どうでした?」

鵜野
「(だるまを秘書に見せる)どう!」

秘書
「どう?ってだるまですよね?」

鵜野
「いつもとどこが違うでしょーか?」

秘書
「なんですか、そのウザい女子みたいな質問。」

鵜野
「答えは・・・カラコンにしましたー!」

秘書
「何してるんですか!だるまに何してるんですか!」

鵜野
「にしても、選挙に当選すると違うね。
 最寄駅の駅員さんに『さっきも電車使われましたよね』って言われちゃった。
 顔が知れるってすごいね。」

秘書
「違いますよ。短時間でだるまを抱えたヤツが二往復したからですよ。」

鵜野
「ちょっとトイレ。(走ってトイレに向かう)」

秘書
「トイレ近いですね。」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)なうっ!」

秘書
「全然、カラコン効果ないじゃないですか!」

鵜野
「(戻ってくるなり、だるまを抱えて)行ってくる!」

秘書
「行くんですね?」


(1時間後)


鵜野
「(右目に眼帯をして)ただいま。」

秘書
「おかえ・・・どうしたんですか、その目!」

鵜野
「ものもらいだって。」

秘書
「だるまの目を診てもらいに行ったんじゃないんですか?」

鵜野
「だるまはだるまでね・・・(だるまは両目にクロスで眼帯をしている)」

秘書
「いや、両目て!」

鵜野
「電車の中の人たち、
 さっきまであんなに私のことを見てたのに、
 今回は誰もこっちを見てくれないんだよ。」

秘書
「この2ショット、ただのヤバいヤツだと思われてるんですよ。」

鵜野
「トイレ行ってくる。」

秘書
「右足、気をつけてくださいね。」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)びゃお!」

秘書
「大丈夫ですか?!右半身大丈夫ですか?!」

鵜野
「(だるまを抱えて)ダメだ。新しいだるまと交換してくる。」

秘書
「交換ですか。
 ようやく、眼医者じゃないと気づいたんですね。」


(30分後)


鵜野
「(だるまを抱えて)ただいま。」

秘書
「どうしました?新しいだるま。」

鵜野
「外国のだるまを買ってきたよ。」

秘書
「外国のだるま?」

鵜野
「(だるまを秘書に見せる)これ!」

秘書
「あ、目が青い!」

鵜野
「そうなんだよ。
 やっぱり、外国の方って目が青いけど、だるまの目も青いんだなぁって。」

秘書
「それ以前に、海外にだるまの文化、あるんですね。」

鵜野
「・・・。」

秘書
「・・・。」

鵜野
「・・・。」

秘書
「・・・。」

鵜野
「・・・ダマされた!」

秘書
「気づいてなかったんですね。」

鵜野
「トイレ行った後で文句行ってくる!」

秘書
「トイレの頻度、高すぎませんか?」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)ぐゎら!」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)ぶぎゃ!」

秘書
「2発?!」

鵜野
「(戻ってくる)私、右足の小指を誰かに呪われてるかも知れない。」

秘書
「そんなピンポイントな呪い、ないです。」

鵜野
「(だるまを抱えて)交換してくる。」

秘書
「あんまり、だるまを抱えて街をうろうろしないでくださいね。」


(30分後)


鵜野
「ただいま。」

秘書
「どうなりました、だるま?」

鵜野
「だるま落とし買ってきた。」

秘書
「・・・うん。もう根本的に何かが違うと思います。」

鵜野
「ちょっとトイレ。」

秘書
「この短時間で5回目ですよ?」

鵜野
「大丈夫。」

秘書
「だるまより先に病院行った方がよくないですか?」

鵜野
「大丈夫。(トイレに向かう)」

秘書
「しかし、だるま落とし、懐かしいなぁ。
 今、できるかなぁ。
 (だるま落としを始める)よっ!よっ!よっ!あぁ、崩しちゃった。」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)ひでぶっ!」

秘書
「大丈夫ですかー?!
 (だるまを再び積んで)もう一度。
 よっ!よっ!あぁ、ダメだ・・・」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)あべしっ!」

秘書
「気をつけてくださいー。
 (だるまを再び積んで)もう一回。
 よっ!よっ!よっ!いける!よっ!いいぞ!よっ!あぁ!惜しい!」

小指を物にぶつける音
「ドンッ!」

鵜野
「(トイレの方から)ほぁらっ!」

秘書
「なんで、だるまを崩すタイミングと先生が小指をぶつけるタイミングがリンクしてるんですか!」

鵜野
「(右足をさすりながら戻ってくる)遊んでもいいけど、失敗しないで。」

秘書
「それ以前に、先生とだるまの因果関係が知りたいです!」

 

 

 

 

 


【コント・セルフ・ライナーノーツ】

選挙で勝つとだるまに目を入れる。⇒失敗して、不幸が続くようになった男。というアイディアから始まって、このような形になりました。

 

そこからは、だるまにまつわる言葉、目に関する言葉を集めて、コントを組み立てていった形です。

 

ちなみに、『鵜野』という名前は古畑任三郎に登場した代議士・鵜野から来ています。

キャラは全然違いますけどね。

 

 

【上演メモ】

人数:2人

鵜野

秘書

 

所要時間:4分~5分
難易度:★★☆☆☆
備考:基本、難しい演出はないのですが、だるまが両目眼帯をしているのをお客さんに見せるシーンの見せ方がちょっと難しいかなぁと。

最初、鵜野眼帯をしているのを見せて、次にだるま、とタイムラグがあるので、それまでだるまが眼帯しているのに気づかれてはいけないことを考えると、ここだけ工夫する必要があるとおもいます。

 

あと、だるま落としのシーンですね。

いいタイミングでだるまを崩す必要があるので、ここはパントマイムでもいいと思います。


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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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