浩一
「おじいちゃんが亡くなって2年かぁ。」


健二
「早いな。」


浩一
「本当だよ。あっという間。」


健二
「ようやく三回忌、終わったな。」


浩一
「バタバタしてて、疲れたよ。」


健二
「親戚一同の相手はホント疲れる。」


浩一
「あ、久しぶりにアレ見せてよ。」


健二
「アレ?」


浩一
「おじいちゃんのモノマネ。」


健二
「あぁ。」


浩一
「お前、上手だったじゃん。」


健二
「おじいちゃん本人からも『似てる』ってお墨付きもらったからね。」


浩一
「では、お願いします!」


健二
「『(かすれた声で)お前さんはー、なんだな。もうちょっと、シャキッとせんといかんぞ。シャキッと。』」


浩一
「あー、似てるなぁ。」


健二
「『(かすれた声で)そんなこったから、お前さんは結婚できんのだ。結婚。』」


浩一
「あー、言ってた言ってた。」


健二
「『(かすれた声で)お前さん、仕事は何をしとるんだ?ウェブデザイナー?全くわからん。』」


???
「(かすれた声で)そんなこったから、お前さんは結婚できんのだ。結婚。」


浩一
「ん?」

 

 

(健二の背後から老人が現れる)

 


老人
「(かすれた声で)お前さん、牛と馬ならどっちが好きだ?」


浩一
「え?おじいちゃん?!」


健二
「(老人に気づき)うわぁ!ビックリした!」


浩一
「え、何?どういうこと?!」


健二
「この登場の仕方はアレじゃない?」


浩一
「何?」


健二
「ご本人登場。」


浩一
「いや、確かにモノマネの最中にセリフがかぶりながら出てきたけど・・・」


健二
「あの・・・おじいちゃんですか?」


おじいちゃん
「そうじゃ。」


健二
「・・・何で出てきたんですか?」


おじいちゃん
「ご本人登場。」


健二
「やっぱり。」


浩一
「いや、ご本人登場で解決していい問題じゃないよ、これは?」


おじいちゃん
「サプライズ。」


健二
「サプライズだって。」


浩一
「確かにビックリはしたけどさ。

 ご本人登場のビックリとは違うタイプの驚きだよ。」


おじいちゃん
「よし。今日はもう遅いから寝るか。」


浩一
「え、え、え。何?居座るの?」


おじいちゃん
「何で?」


浩一
「ご本人登場で終わりじゃなく?」


おじいちゃん
「え、何?また死ねって言ってる?」


健二
「そうじゃないけど・・・」


浩一
「まだ、親戚のみんないるかな。」


健二
「さっき解散したばかりだから、まだ近くにはいるはず。」


浩一
「呼び戻す?」


健二
「でも、何て言うの?

 三回忌の直後に『紹介します!おじいちゃんでーす!』っていうの?」


浩一
「どんな紹介しても、親戚一同、パニックは必至だな。」


健二
「アレじゃない?
 さっきみたいに僕がおじいちゃんのモノマネをして、後ろからご本人登場で。」


浩一
「不謹慎過ぎるよ。
 三回忌の解散直後に主催者が親戚一同を呼び戻して、
 何をするんだろうと思ったら、おもむろに故人のモノマネを始めるって。」


健二
「親戚への紹介もあるけど、アレ出さないと。」


浩一
「アレ?」


健二
「役所に届け出。」


浩一
「あぁそうか。こういう場合って、何届になるのかな?」


健二
「死亡取消届?」


浩一
「再・出生届?」


健二
「第2の人生届?」


浩一
「ご本人登場届?」


おじいちゃん
「おい、お前さんたち。」


健二
「何ですか?」


おじいちゃん
「久々にアレ見せてくれ。」


健二
「アレ?」


おじいちゃん
「織田信長のモノマネ。」


浩一
「今、それどころじゃないんです!」


健二
「親戚への紹介とか、役所への届出とか、
 あと町内の回覧板も出さないといけないし・・・」


おじいちゃん
「え、何?死ねって言ってる?」


浩一
「言ってないです!」


健二
「厄介なギャグ持ち帰ってきちゃったなぁ・・・。」


浩一
「やってあげて。織田信長のモノマネ。」


健二
「やるの?!」


浩一
「またゴネられても困るから。」


健二
「わかったよ。」


おじいちゃん
「わーい。」


健二
「いきます。♪人間五十年〜」


おじいちゃん
「わー、似てる似てる。」


浩一
「似てんだ・・・」


健二
「♪下天の内をくらぶれば〜」

 

 

(健二の背後から武将がやってくる)

 


???
「(健二の背後からやってきながら)♪夢まぼろしのごとくなり〜」


浩一
「え?え?え?」


健二
「(武将に気づき)うわぁ!誰?」


浩一
「この流れはもしかして?」


織田信長
「ご本人登場。」


健二
「ご本人来ちゃったよ!」


浩一
「モノマネをすると死者が蘇るって・・・。
 お前、何?新しいタイプのイタコ?」


健二
「違うよ。斬新すぎるでしょ?
 死者を呼ぶ前に死者のモノマネをするって。」


織田信長
「よし。今日はもう遅いから、寝るか。」


浩一
「え、織田信長も居座るの?」


織田信長
「何で?」


浩一
「おじいちゃんは元々、ここの家の住人だからわかるけど、
 織田信長はここの家の人じゃないでしょ?」


織田信長
「え、何?死ねって言ってる?」


浩一
「何でだよ!」


健二
「流行ってるんですか?向こうでそのギャグ!」


浩一
「それより、どうするよ、織田信長。」


健二
「どうするって言われても・・・」


浩一
「おじいちゃん一人でも持て余してるのに、織田信長、養いきれないよ。」


健二
「最悪、近くの公園に『拾ってください』って書いて、
 段ボール箱置いて、そのなかに織田信長を・・・」


浩一
「やめよ!そういう話やめよ!」


織田信長
「敵は本能寺にあり!」


浩一
「・・・何か言ってるよ?」


健二
「仕方ないじゃん。織田信長なんだから。」


浩一
「だって、今の言葉、織田信長のセリフじゃないし・・・」

 

織田信長
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」

 

おじいちゃん
「え、何?死ねって言ってる?」

 

浩一
「・・・コラボしてるよ?」


健二
「奇跡のコラボだね。」

 

浩一
「確かに。

 おじいちゃんと織田信長ってすごいコラボだよ。」


おじいちゃん
「お前さん、アレ渡った?三途の川。」


織田信長
「渡った渡った。川の流れ、超速くて。」


おじいちゃん
「そうそう!わかるわかる!」


浩一
「・・・何かめちゃくちゃ盛り上がってるし!」


おじいちゃん
「なんなら、婆さんも呼びたいな。」


浩一
「7年前に死んだおばあちゃん?」


おじいちゃん
「おい、お前さん。婆さんのマネ、お願い。」


健二
「はぁ?」


浩一
「もうモノマネすると、ご本人登場というパターンでいいんだね。」


健二
「おばあちゃんのマネ、やったことないからなぁ・・・」


おじいちゃん
「大丈夫。お前さんならいけるから。」


健二
「そう?じゃあやるけど・・・」


浩一
「やるんだね。」


健二
「『ほら、健二!おはぎ作ったから、持って行き!
 1個とか言わず、5個でも6個でも、好きなだけ持って行き!』」


織田信長
「・・・。」


おじいちゃん
「・・・。」


織田信長
「・・・どうですか?」


おじいちゃん
「似てないね。」


織田信長
「似てないか。」


おじいちゃん織田信長
「似てない。」


健二
「似てないって言われたよぉ。
 やったこともないモノマネやらされて、似てないって言われたよぉ。」


浩一
「まぁまぁ。」


おじいちゃん
「別のシーンの婆さん、やってみて。」


浩一
「まだ、やらせるんだね。」


健二
「じゃあ、いきます。」


浩一
「やるんだね。」


健二
「『ほら、おじいさん!ワンコロのさんぽ、連れて行き!
 ワンコロが『まだかー、まだかー』って、吠えとるで!』」


織田信長
「・・・。」


おじいちゃん
「・・・。」


織田信長
「・・・どうですか?」


おじいちゃん
「ちょっと似てるかな。」


織田信長
「もうちょっと続けてみて。」


健二
「『おじいさん!ワンコロにエサ、用意しとき!
 ワンコロが『ごはん、まだかー』って、吠えとるで!』」

 

 

(健二の背後から老婆がやってくる)

 


???
「(健二の背後からやってきながら)あと、ワンコロの水も変えとき!
 ワンコロが『喉渇いたー!喉渇いたー!』って、吠えとるで!」


浩一
「きたきたきた!」


健二
「(老婆に気づき)うわぁ!ビックリした!」


浩一
「これは・・・どうする?」


健二
「ほら、おじいちゃん!」


おじいちゃん
「そうだな・・・えーと・・・」


???
「(ニコニコ微笑んでいる)」


おじいちゃん
「うーん・・・どうしよう。」


???
「(ニコニコ微笑んでいる)」


おじいちゃん
「えーと・・・」


浩一健二おじいちゃん
「どちら様ですか?」


織田信長
「別人来ちゃったのかよ!」

 

 

 


【コント・セルフ・ライナーノーツ】

『おじいちゃんのマネをしていたら、ご本人登場』という発想から生まれたコント。

「え、何?死ねって言ってる?」を何度も使ったので、オチでこれが生かせればよかったのですが、

ちょっとうまくまとまらなかったので、この形になりました。

 

【上演メモ】

人数:5人

浩一

健二

おじいちゃん

織田信長

老婆

 

所要時間:4分~5分
難易度:★★☆☆☆
備考:ご本人登場シーンも普通に袖から出てこればいいし、

特殊な演出はないと思うので、上演難易度は低めです。

織田信長の衣装だけ、大変かも。


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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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