新人大工
(道具の準備をしている)


ベテラン大工
「おはよう。」


新人大工
「あ、おはようございます。」


ベテラン大工
「お前か。今日から入るっていう新人っていうのは。」


新人大工
「はい。よろしくお願いします。」


ベテラン大工
「まぁ、大工の仕事なんてのは、慣れちゃえば簡単だから。
慣れるまで、俺がおしえてやるからよ。」


新人大工
「よろしくお願いします!」


ベテラン大工
「今回の仕事の詳細、聞いてる?」


新人大工
「なんか、ここに2軒のタワーマンションを建てるって・・・」


ベテラン大工
「そうそう。2軒建てるから、1軒は俺が担当。
もう1軒はお前が担当だ。」


新人大工
「ええっ!?いきなり、1軒、任されちゃうんですか?!」


ベテラン大工
「大丈夫大丈夫。心配ないから。
それじゃ、始めるか。」


新人大工
「はいっ!」


ベテラン大工
「はい。じゃあ、さっそくだけど、これな。(種を渡す)」


新人大工
「はい・・・。種?」


ベテラン大工
「俺はこの辺りに種をまくから、お前は向こうにまいてくれ。」


新人大工
「え?この種は何の種ですか?
地鎮祭みたいな風習ですか?」


ベテラン大工
「いや、種だよ、種。
研修で習ってないか?」


新人大工
「いや、何も・・・」


ベテラン大工
「なんだよ、習ってないのかよ。
じゃあ、足場組んだり、木を切ったりみたいな作業を想像してたか?」


新人大工
「いや、まぁ。そうですけど・・・」


ベテラン大工
「今の大工仕事は違うんだよ。
今、渡した種。あれはタワーマンションの種だ。」


新人大工
「タワーマンションの種・・・」


ベテラン大工
「種をまいて、2、3か月くらいでタワーマンションになるから。
毎日、水をやったり、肥料をまいたりして、マンションを育てる。
それが俺たちの仕事だ。」


新人大工
「水をやるのを忘れると・・・?」


ベテラン大工
「そりゃ、枯れるよ。
だから、毎日、ここに来て水をやる。
わかったな。」


新人大工
「は・・・はい。」


ベテラン大工
「ここら辺がいいかな。
よし、新人。さっきの種をまけ。」


新人大工
「はい・・・。(種をまく)」


ベテラン大工
「俺はこの辺かな。(種をまく)」


新人大工
「今の大工ってこんな感じなんですね・・・」


ベテラン大工
「とりあえず、毎日水やり。忘れるなよ。」


新人大工
「わかりました!!」

 

 

(一週間後)

 

 

新人大工
「(ベテラン大工をひっぱってくる)先輩、見てください見てください!
ほら!芽が出ました!」


ベテラン大工
「おぉ、芽が出たか。
ただ進捗的にはちょっと遅いな。」


新人大工
「遅いですか?」


ベテラン大工
「俺の方は、ほら。」


新人大工
「すごい・・・。1階部分がほぼできてる・・・。」


ベテラン大工
「肥料とか水の量をうまく調整すれば、こんな感じよ。」


新人大工
「へぇ。大工って奥が深いんですね。」

 

 

(さらに一週間後)

 

 

新人大工
「とりあえず、見てほしいんですけど・・・。」


ベテラン大工
「なになに?何があったの?」


新人大工
「朝、見たら、こうなってたんですけど・・・」

 

 

(新人大工の指さす方向にポストが立っている)

 

 

ベテラン大工
「ポスト?」


新人大工
「ポスト。」


ベテラン大工
「種、育ててたらこうなったの?」

 

新人大工

「そうですね・・・。」

 

郵便局員

「おはようございまーす。」

 

新人大工

「あ、ご苦労さまでーす。」

 

郵便局員

(ポストの中のハガキを回収する。)

 

ベテラン大工

「・・・。」

 

郵便局員

「失礼しましたー。」

 

新人大工
「お疲れさまでーす。」

 

ベテラン大工

「ハガキ回収のルートに入ってるんだな・・・。」

 

新人大工
「肥料の量、間違えたんでしょうか?」


ベテラン大工
「(ポストを見ながら)・・・いや、大丈夫。まだ、挽回できる。」


新人大工
「大丈夫ですか?」


ベテラン大工
「しばらく、俺の言う通りに肥料まいてみ。」


新人大工
「わかりました。」

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には5階建てのマンション、
新人大工の場所にはアパートが建っている。)

 

 

ベテラン大工
「ポストから、よくここまで持ち直したよ。」


新人大工
「一時はどうなるかと思いました。」

 

郵便局員

「おはようございまーす。」

 

新人大工

「あ、ご苦労さまでーす。」

 

郵便局員

「あれ?えーと・・・?(ポストを探す)」

 

新人大工

「あ、大丈夫でーす。」

 

郵便局員

「え?大丈夫?」

 

新人大工

「大丈夫でーす。(郵便局員を追い返す)」

 

郵便局員

「ん?大丈夫ってなんですか?」

 

新人大工

「全然大丈夫でーす。(郵便局員を追い返す)」

 

郵便局員

「あれ?ポスト!ちょっとぉ!!」


ベテラン大工
「この調子で続ければ、タワーマンションになるから。」


新人大工
「はい!」

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には7階建てのマンション、
新人大工の場所にはテントが建っている。)

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には10階建てのマンション、
新人大工の場所にはコンビニが建っている。)

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には15階建てのマンション、
新人大工の場所にはキリンが立っている。)

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には20階建てのマンション、
新人大工の場所には大仏が建っている。)

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には30階建てのマンション、
新人大工の場所には城が建っている。)

 

 

ベテラン大工
「迷走したなー。」


新人大工
「すみません。
ろくろと同じで、元にもどそうと思っても、すぐに『ぐにゃっ』となっちゃって・・・」


ベテラン大工
「わかった。
俺がそっちに合わせよう。」


新人大工
「こっちに合わせる?」


ベテラン大工
「肥料の撒き方を変えて、俺も城を作る。
2軒の城型マンションだ。」


新人大工
「いいんですか?」


ベテラン大工
「いいんじゃないか?
クライアントのコンセプトは
もともと外国人の方が住むマンションだったから。
城だったら、クライアントも喜ぶだろう。」


新人大工
「わかりました。」


ベテラン大工
「よーし!あと一週間!ラストスパートだ!!」

 

 

(一週間後)

 

 

(ベテラン大工の場所には城、
新人大工の場所には40階建てのマンションが建っている。)

 

 

ベテラン大工
「(マンションを見上げながら)・・・。」


新人大工
「そろえてもらったところをすみませんっ!!」


ベテラン大工
「(マンションを見上げながら)・・・。」


新人大工
「僕の方、うまい具合にマンションができてしまいました!!」


ベテラン大工
「(マンションを見上げながら)・・・。」


新人大工
「なんか、先輩が失敗したみたいになってますけど、
そんなことないです!!」


ベテラン大工
「(マンションを見上げながら)・・・。」


新人大工
「クライアントからは『バランスとれてない』って
ものすごく怒られましたけど・・・」


ベテラン大工
「(マンションを見上げながら)・・・。」


新人大工
「僕は好きですよ、こういうの。
アンバランス感が逆に。」


ベテラン大工
「うぅっ!!(泣きながら現場を走り去る)」


新人大工
「(追いかける)待ってください先輩!!
そうだ!ひまわり育てましょう!ひまわり!!
いいですよー、ひまわり!!」

 

 

 

 

 


【コント・セルフ・ライナーノーツ】

会社に行く途中に2軒のタワーマンションを建築中で、

それを毎日眺めていて思いついた設定です。

 

将来、種で出来る建物ができたら、どれだけ夢が膨らむか・・・

 

【実際にコントを演じたい方のためのメモ】

人数:3人

新人大工

ベテラン大工

郵便局員

所要時間:3分~5分

難易度:★★★☆☆

備考:建物の育っていく感じをどう表現するかが難しいコントです。

画像を映写できる環境であれば、それを投影して表現してもいいかもしれません。

郵便局員のシーンは必須ではないので、人数が揃わなければカットしても問題ありません。

 

※コメントをいただいた方のブログには、近日中に伺います。(だいたい土曜日)

 

【コメントを書きたいけど、感想がない方のためのコメントテーマ】

・このコント、演じるとしたら、誰が適任?

・こんなお題でコント書いてほしい

・このセリフ、いいね!(気に入ったセリフをコピペしていただければOK)


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