トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。一生のお願いカスタマーセンターです。」



「もしもし。一生のお願いカスタマーセンターさんですか?」


オペレーター
「はい。みなさまの一生のお願いについて相談を承っています。」



「実はですね、
 今日、彼女に一生のお願いをしたのに、聞いてもらえなかったのですが・・・」


オペレーター
「一生のお願いが破棄されたとのご相談ですね。
 かしこまりました。
 では、お客さまのお名前と生年月日を教えていただけますか?」



「青山慎吾です。
 1985年10月3日生まれ。」


オペレーター
「青山様・・・と。
 ただいまお調べ致します。少々お待ちください。」



「はい。」


オペレーター

「あ、青山様、8年前に一度、一生のお願いを使ってしまわれてますね。」



「8年前ですか。覚えてないなぁ。」


オペレーター
「当時の恋人の方に『そのポッキー一口ちょうだい』というお願いで使っています。」



「えー・・・そんなことで一生のお願いを・・・?
 ・・・わかりました。一生のお願いを使わずにがんばります。」


オペレーター
「もうしわけございません。失礼いたします。」



「はい。どうも。」



ガチャ。ツーツーツー。




トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。一生のお願いカスタマーセンターです。」


客2
「あ。もしもし。今日、一生のお願いで宿題がなくなりますように、ってお願いしたのに
 願いが叶わなかったんですけど・・・」


オペレーター
「失礼ですが、お客様、未成年でいらっしゃいますか?」


客2
「そうです。今、小4ですけど。」


オペレーター
「申し訳ございません。未成年者の一生のお願いの使用には、親の同意が必要となります。」


客2
「あ、そうなんですね。」


オペレーター
「一生に一度しか使えないお願いを無駄遣いしないためのルールですので、ご理解ください。」


客2
「わかりました。お母さんに相談してみます。」


オペレーター
「申し訳ございません。失礼します。」


客2
「はいー。」



ガチャ。ツーツーツー。




トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。一生のお願いカスタマーセンターです。」


客3
「もしもし。今日、街を歩いてたら怪しい男の人に
 『一生のお願いを1つ3万円で買わないか?』って言われたんですけど。」


オペレーター
「それでお客様は購入されました?」


客3
「怪しいんでやめました。
 で、3万円という値段は、そもそも妥当なんでしょうか?」


オペレーター
「いえ。そもそも、一生のお願いの売買は法律で禁止されています。
 一度、一生のお願いをお金で購入されてしまうと、
 一生のお願いがあればなんでも叶うという魅力に取りつかれて、
 次々に一生のお願いを購入してしまう依存性があります。」


客3
「はい・・・」


オペレーター
「一生のお願いで、お客様の一生を棒に振ってしまう恐れがあるため、
 一生のお願いの売買は禁止されているので、
 その点、ご理解ください。」


客3
「わかりました。」


オペレーター

「『一生のお願い、ダメ、ゼッタイ。』です。」


客3
「そんなキャッチフレーズまであるんですね。
 わかりました。
 一生のお願い、買わなくてよかったです。」


オペレーター
「はい。それでは失礼します。」


客3
「はい。失礼しますー。」



ガチャ。ツーツーツー。




トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。一生のお願いカスタマーセンターです。」


客4
「すみません。
 3年前に一生のお願いを使ってしまったのですが、
 今日、どうしても一生のお願いを使いたい場面に遭遇しまして・・・
 こういう場合、どうしたらいいですか?」


オペレーター
「そのお願いというのは、一生を左右する重要な場面でしょうか?」


客4
「はい。彼女に結婚を申し込もうと思いまして。」


オペレーター
「それは重要ですね。
 どうしてもというのであれば、一生のお願いの前借りというシステムがありますが。」


客4
「前借りですか。」


オペレーター
「はい。来世の一生のお願いを前借りすることで、
 一回の人生のうちに2回一生のお願いを使うことができます。
 ただし、当然、来世では一生のお願いができなくなるので、その点はご了承願います。」


客4
「わかりました。一生のお願いの前借りをお願いします。」


オペレーター
「かしこまりました。
 一生のお願いの前借りには、書類にサインと押印が必要になるので、
 これからお客様の住所に書類を送らせていただきます。
 できるだけ早く、書類のご返送をお願いします。」


客4
「わかりました。」


オペレーター
「では失礼します。」


客4
「はいー。」



ガチャ。ツーツーツー。




キーンコーンカーンコーン。



オペレーター
「ふぅ。仕事終わったー。」


同僚
「お疲れー。」


オペレーター
「お疲れ様ー。あ、これから飲みに行かない?」


同僚
「えー、今日はいいよ。」


オペレーター
「行こうよー。今日、飲みたい気分なの。一生のお願い!」


同僚
「こんなことで使っちゃうんだ・・・。」












【コント・セルフ・ライナーノーツ】

一生のお願いという言葉を久々に聞いて、何かに使えそうだと広げたコントです。


コントというか、ちょっとだけ世にも奇妙な物語チック。


みなさんだったら、一生のお願い、何に使いますか?