桃太郎
「(たくさんのカメラのフラッシュを浴びている。)・・・。
 この度は、大変、申し訳ありませんでした。(深々と一礼。)」


司会
「それではこれより、桃太郎さんの謝罪記者会見を始めさせていただきます。
 まずは騒動の顛末について説明いたします。
 
 桃太郎さんが桃に入り川を下っていたところ、
 本来、桃を拾う予定であったおばあさんが
 急きょこの日、女子会が入ってしまい、そちらに向かったため、
 川で拾われず、そのまま流れてしまいました。
 
 結局、そのまま誰にも拾われず、海に出てしまい、
 海上自衛隊に救助を要請、
 出動した隊員たちに桃ごと拾われたといういきさつになります。」


記者1
「おばあさんが女子会に行くことは想定していなかったんですか?!」


司会
「あ、質問の方は後ほど時間を取りますので、もう少々お待ちください。

 なお、おばあさんの女子会については前日急きょ決まったもので、
 桃太郎サイドに情報は行っていませんでした。」


桃太郎
「・・・大体、昔話の冒頭というと、
 『おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に』というのが定番なので、
 『おばあさんは街に女子会に』というのは想定していませんでした。
 申し訳ありません!(深々と一礼)」


司会
「不測の事態とはいえ、海上自衛隊を出動させるほどの騒動に発展してしまった件について、
 ここでお詫びしたいと思います。
 申し訳ありませんでした。」


桃太郎関係者
(深々と一礼。たくさんのカメラのフラッシュを浴びる)


司会
「さて、それではここで質問の時間を取りたいと思います。
 質問のある記者の方、いらっしゃいますか?」


記者1
「おばあさんが女子会に行った件については、
 前日のおばあさんのTwitterで確認ができたと思うのですが・・・」


桃太郎
「おばあさんのTwitterが更新された時点で、
 すでに私、明日に備えて睡眠をとっていたため、確認できませんでした。」


記者2
「おばあさんが女子会に参加していることに気づいたのはいつですか?」


桃太郎
「桃の確保ポイントの手前です。
 洗濯をしている人影が見えなかったので、おかしいと思いTwitterを確認したところ、
 おばあさんのTwitterにパスタの写真がアップされているのを見て、
 『あれ、川で洗濯してるんじゃないのかな』と疑問に思い、もしかして!と気づきました。」


記者3
「おばあさんがいないことに気づいたとき、
 どうしてすぐに救助を求めなかったのですか?」


桃太郎
「おばあさん以外にも川で洗濯している人がいるだろうと思ったので・・・。
 その考えが甘かったです。」


記者1
「沖にまで出てしまってから海上自衛隊を呼び出したというのは遅すぎではないですか?」


桃太郎
「沖に出てしまった後で、念のため、おばあさんのTwitterをもう一度確認してみたのですが、
 おばあさんのプリクラの写真がアップされていて、『あ、ダメだ、これは』と思い、助けを呼びました。
 本来であれば、もう少し早く救助を読んでいれば、ヘリを3台も投入することはなかったと思います。
 申し訳ありません。」


記者2
「改めておじいさん、おばあさんに何かコメントはありますか?」


桃太郎
「本来、拾い上げてもらい、名前を付けてもらって、きびだんごを渡してもらうはずだったのですが、
 こういう結果になってしまったことは非常に残念です。
 正直な感想を率直に申し上げると、『なぜ女子会に?』という気持ちは未だに拭いきれません。」


記者3
「それはおばあさんに女子会に行くなということですか?!」


記者1
「おばあさんだって、立派な女子なんですよ?!」


記者2
「おばあさんに謝罪してください!」


桃太郎
「すみません。そういうつもりの発言ではありませんでした。
 事前におじいさんとおばあさんには、川を下るコースと時間をご連絡していたので、
 何故その日に限って女子会に行ってしまったのか・・・という意味で、先ほどの発言をしました。」


司会
「ちなみに、おばあさんの女子会は現在も続いており、
 30分前におばあさんがカラオケで楽しむ様子がTwitterにアップされています。」


桃太郎
「本来であれば、今大変なことになっているんだということをおばあさんに連絡したいのですが、
 せっかくの女子会で楽しんでいるところに水を差すのも悪いかと思うので、
 明日、改めておばあさんに連絡を入れたいと思っています。」


記者3
「ところで、桃太郎さんが拾われなかったということは、鬼退治は誰が行くことになるんですか?」


司会
「現在、総力を挙げて、桃太郎さんに代わる鬼退治のメンバーを探しているところです。」


記者1
「代わりになる人なんているんですか?」


記者2
「やはりここは桃太郎さんでないと!」


記者3
「今からでも鬼ヶ島に向かえばいいんじゃないですか?」


桃太郎
「すみません。おじいさん、おばあさんにきびだんごを作ってもらわないと
 イヌ、サル、キジをお供にできません・・・
 彼らを仲間にしないと、やはり鬼退治は厳しいかと・・・」


記者1
「彼らがいなくても鬼退治はできるんじゃないですか?!」


記者2
「きびだんごも途中の店で買えばいいんじゃないですか?!」


桃太郎
「(半泣きになりながら)・・・うぅ!!おばあさん!なんで女子会に行っちゃったんだ!!
 あ、もう女子会が終わって帰宅してるかも・・・
 おばあさんのTwitter...Twitter...!!
 あ!!!」


司会

「どうしました、桃太郎さん?!」


桃太郎
「おばあさんが女子会の帰りに鬼ヶ島で鬼退治してる・・・!(Twitterの写真を見せる)」


記者たち
「あ・・・。」







【コント・セルフ・ライナーノーツ】

設定自体はちょっと前にできていたコントです。

オチはちょっと強引すぎました・・・。すみません・・・。