先輩
「あぁ、忙しい。
 課長、このあと打ち合わせあるんですけど、時間空いてますか?」


課長
「ダメ。今日はこのあと横浜に外出だから。」


先輩
「なんだよ、もう。
 課長がいくらいても足りないよ。
 あ、そうだ。
 おーい、新人くん!」


新人
「はい。」


先輩
「悪いけど、課長を人数分コピーしといて。」


新人
「は・・・はい?」


先輩
「だから、課長を人数分コピーしておいて。」


新人
「課長を・・・ですか?
 人数分・・・?」


先輩
「うん。この部屋の入口のところにコピー機があるから、
 そこに課長をセットして『スタート』ボタンを押せばコピーできるから。」


新人
「は、はぁ・・・?(席を立つ)」


先輩
「19人分ね。」


新人
「・・・わかりました。
 (課長にむかって)課長、ちょっとこっちにいいですか?」


課長
「え、なになに?
 どこに連れて行くの?どこに連れて行くの?」


新人
「(コピー機のフタを開けて)ちょっと、ここに座ってもらっていいですか?」


課長
「あ、ここにね。(コピー機にセットされる)」


新人
「で、19人分にして・・・、
 スタートボタン・・・これか。(ボタンを押す)」


コピー機
「ウィーン。」



(コピー機から大量の巨大な課長が出てくる)



新人
「うわ!デカい!!
 え?なに、これ!!
 ちょっと先輩!先輩!!」


先輩
「(巨大な課長を見て)うわ、デカッ!!
 なに、どうしたの、これ!?」


新人
「いや、わからないです!
 スタートボタン押したらコピー機から大量の巨人が・・・」


先輩
「とりあえず、中止ボタンでコピーを止めて!」


新人
(中止ボタンを押す)



(コピー機から巨大な課長が出てこなくなる。)



先輩
「ちょっと設定見せて。(コピー機のパネルを見る)
 あ、ダメだよ、これ。
 サイズがA3になってる。A4でコピーしないと。」


新人
「あ、サイズ違いだったんですね。」


先輩
「(設定をいじる)これでよし。
 この状態でスタートボタンを押せば普通サイズの課長がコピーできるから。」


新人
「わかりました。ありがとうございます。
 スタートボタン・・・と。」



(コピー機から普通サイズの課長が続々と出てくる)



新人
「(コピー機から出てくる課長に向かって)あ、おはようございます。
 (次の課長にも)おはようございます。
 (その次の課長にも)お疲れ様です。」



(コピー機から課長が出てこなくなる。)



新人
「あ、コピー終わった。
 ・・・この巨大な課長はどうしたらいいんだろう。
 (先輩の席に行き)先輩。」


先輩
「何?」


新人
「この巨大な課長たちはどうしたらいいですか?」


先輩
「シュレッダーかけといて。」


新人
「・・・はい?」


先輩
「シュレッダー。
 この部屋の奥にあるから。(奥を指さす)」



(部屋の奥にシュレッダーがある。
 シュレッダーに女子社員が別の課の課長を連れて行き、
 シュレッダーの周りをカーテンで囲む。)



別の課の課長
「(カーテンの向こう側から)あ"~~~~~~~・・・」



(女子社員、カーテンを開けると課長いなくなっている。
 何事もないように席に戻る女子社員。)



新人
「えーと・・・。
 他に課長の処理方法ないですか?」


先輩
「他に・・・?
 あぁ、給湯室にダンボールがあるから、
 そこに不要な課長を入れておけば、
 翌朝、掃除のおばちゃんが持って行ってくれるよ。」


新人
「わかりました。ありがとうございます。
 (巨大な課長に向かって)それじゃ、給湯室行きますよ。」



(給湯室。電気がついておらず、真っ暗。)



新人
「えーと、電気のスイッチは・・・これか。」



(給湯室。明かりがつく。
 ダンボールには様々なコピーに失敗した課長が入っている。
 白黒の課長。
 色が全体的に薄い課長。
 まゆ毛が濃い課長など。
 全員、一斉に新人を見る。)



新人
「失礼しまーす・・・
 (巨大な課長に向かって)では、狭いですが、
 こちらのダンボールに入っていただいて・・・」



(巨大な課長、ダンボールに入る。
 他の課長たちと同様に、全員、新人を見る。)



新人
「はい。ありがとうございます。
 では、失礼しまーす・・・」



(新人、席に戻る)



常務
「(入口から入ってくる)誰かいるー?」


新人
「あ、常務、お疲れ様です。」


常務
「部長いるかな?」


新人
「部長ですか?少々お待ちください。
 先輩。常務が部長に会いに来てるんですけど・・・」


先輩
「その常務はコピー?オリジナル?」


新人
「いや、見た目からはわからなかったです。」


先輩
「常務に少量の水をかけてみて。
 コピーの場合、溶けるから。」


新人
「わかりました。」



(新人、給湯室に向かう。
 コピーに失敗した課長たちが見つめる中、
 コップ一杯の水を用意する。)



新人
「(常務に)あ、お疲れ様です。
 失礼します!(常務に水をかける)」


常務
(溶けはじめる)


新人
「先輩、溶けました!」


先輩
「コピーか。
 今、部長は忙しいから後にして、って伝えておいて。」


新人
「(常務に向かって)今、部長は忙しいそうです。」


常務
「了解。(帰っていく。)」


社長
「(常務と入れ違いに入ってくる)支社長いる?」


新人
「あ、社長。お疲れ様です。
 少々お待ちください。
 先輩。今度は社長が来ました。
 支社長に用があるそうです。」


先輩
「コピー?オリジナル?」


新人
「確かめてきます。
 (社長に向かって)社長、失礼します!(水をかける)」


社長
「・・・。(変化がない。)」


新人
「あれ?溶けない。
 量が足りないかな。失礼します!(さらに水をかける)」


社長
「・・・。(変化がない。)」


新人
「失礼します!(バケツ一杯の水をかける)」


社長
(びしょ濡れ)


新人
「先輩!溶けません!」


先輩
「オリジナルか!
 (社長の元に向かい)わざわざ、支社までご足労かけてすみません。
 支社長は奥にいますので。(奥に案内する)」


社長
「(奥の部屋に向かいながら)あのコピー機を購入してから、
 支社に行く度に水をかけられるようになった・・・」


新人
「すみません。大量の水をかけて。」


先輩
「(戻ってくる)あ、そうだ、新人くん。」


新人
「はい。」


先輩
「課長がこのあと、横浜支社で会議なんだ。
 悪いけど、横浜支社に課長をFAXしてもらっていいかな。」


新人
「・・・FAXですか?」


先輩
「そう。
 FAXに課長をセットして、
 この紙に書かれた電話番号を押して、スタートを押せばいいから。」


新人
「わかりました。
 (課長にむかって)課長、ちょっとこっちにいいですか?」


課長
「え、なになに?
 今度はどこに連れて行くの?」


新人
「ちょっと、こちらに乗っていただいて。」


課長
「あ、ここね。」


新人
「電話番号を押して・・・送信。」


FAX
「ウィーン。」


新人
「先輩。課長をFAXしておきました。」


先輩
「了解です。
 (電話をかける)あ、もしもし。今、課長をFAXしましたので。
 ・・・届いてない?
 ちょっと待ってくださいね。
 新人くん、課長、ちゃんとFAXした?」


新人
「しましたよ?」


先輩
「ちょっとFAXの送信履歴見せて。
 あ、FAX番号違うよ。ここ、3じゃなくて8。」


新人
「あ、すみません、すぐに再送信します!!」



ちなみに、課長は横浜のコミュニティラジオ局に誤送信してしまったらしく、
パーソナリティによってFAXコーナーで紹介されていたそうです。









【コント・セルフ・ライナーノーツ】
1か月くらい前に会社でコピー機を見たときに思いついた設定です。


世にも奇妙な物語の1つにありそうな設定・・・



がんばれ、新社会人!

『アタフタ君のコントの部屋』はがんばる新社会人を応援しています。



あ、ちなみに5月6日で『アタフタ君のコントの部屋』2周年です。

こんなヘンテコブログにお付き合いいただきありがとうございます。


今後も2週間1本ペースを崩さないでゆっくり更新していきますので、

よろしくおねがいします。



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