教頭
「校長先生のお話です。
 校長先生、お願いします。」


校長
「(朝礼台に上がり、生徒たちに手をふる)
 ありがとう。ありがとう。
 今日はオレのライブに
 こんなにたくさんの人に集まってもらってありがとう。
 それじゃ、短い時間だけど楽しんでくれ。」


生徒たち
(黙って話を聞いている。)


校長
「まずは最初の曲だ。
 この曲はこの学校ができて最初に作った曲・・・
 オレたちにとっては非常に思い出深い、大切な曲だ。
 みんなの中にも歌える人がいたら歌ってほしい。
 それじゃ聞いてくれ。
 『野木山第3中学校校歌』。」


吹奏楽部
(校歌を演奏する)


生徒たち
「♪そうさ~オレたちは~ツバサの折れた堕天使さ~」



(中略)



生徒たち
「♪あぁ~野木山~第3~中~学~校~in the hell~」


校長
「『野木山第3中学校校歌』、聞いてもらった。
 みんなの歌声もすげー伝わってきた。
 この曲を聞いたことがない人がいたら、
 1stアルバムに収録されているので、ぜひ聞いてほしい。
 校長室で物販もやっているから、帰りに立ち寄ってくれ。」


生徒たち
(黙って話を聞いている。)


校長
「それじゃ、ここでメンバー紹介。
 まずは全校朝会MC!教頭先生!!」


教頭
(『なんだ、コイツ』という顔で校長を見ている。)


校長
「国旗掲揚!生徒会!!」


生徒会
(『大丈夫か、この人』という顔で校長を見ている。)


校長
「校歌演奏!吹奏楽部!!」


吹奏楽部
(『なに言ってんだ、コレ』という顔で校長を見ている。)


校長
「このメンバーは誰ひとり欠けても成立しない、大切な仲間だと思ってる。
 メンバーもオレのことを大切に思ってくれているハズだ。」


教頭生徒会吹奏楽部
(『思ってねぇよ』という顔で校長を見ている。)


校長
「ではここで、うれしいお知らせだ。
 先日の剣道の県大会で剣道部の山崎が3位入賞した。
 この場で表彰したいと思う。
 山崎、みんなの前にその姿をさらしてくれ。」


山崎
(朝礼台に上がる)


校長
「(表彰状を読み上げる)表彰状。野木山第3中学校 山崎ハヤト殿。
 あなたはこの大会で、右のような優秀な・・・
 うーん・・・」


山崎
(『どうした?』という顔で校長を見ている。)


校長
「なんか『おめでとう』って感じが伝わってこねぇな。
 オレなりの解釈で読み上げるから聞いてほしい。」


山崎
(『オレなりの解釈?』という顔で校長を見ている。)


校長
「表彰状。野木山第3中学校 in the hell ナイトメア山崎殿。」


山崎
(『ナイトメア山崎?』という顔で校長を見ている。)


校長
「学校という名の牢獄に入れられたオレたち・・・
 毎日抜け殻のように暮らしていたオレたちに
 生きる目的を与えてくれた存在、それが剣道だった・・・」


山崎
(『そうでもねぇよ』という顔で校長を見ている。)


校長
「オレはメシも食わず、勉強もせず、家族や友人も捨て、
 死んだ人間のように剣道に打ち込んだ。
 そう。オレは悪魔に魂を売ったんだ。」


山崎
(『売ってねぇし』という顔で校長を見ている。)


校長
「そしてついに結果を残した。
 オレはすべてを犠牲にし、県大会3位という名の天使の翼を手にした。
 それを誇りに思う。」


山崎
(『県大会3位という名の天使の翼ってなんだよ』という顔で校長を見ている。)


校長
「ところがどうだ。
 それと引き換えに得たものは何ひとつない。
 親も友人も亡くし、自分自身悪魔となってしまったオレ。
 そんなオレに手を差し伸べてくれる人間などいるワケがない。
 そう。オレは県大会3位という栄誉と引き換えに
 ひとりぼっちで生きていく覚悟を決めたんだ。」


山崎
(『勝手に決めんな』という顔で校長を見ている。)


校長
「平成26年3月22日 全国中学校剣道連盟。
 おめでとう。(表彰状を渡す)」


山崎
(『おめでとう、じゃねぇ!』という顔で表彰状を受け取り、朝礼台を降りる)


校長
「さて、ここでみんなに大事なお知らせをしなくてはならない。
 心して聞いてくれ。」


生徒たち
(『なんだよ、今度は』という顔で校長を見ている。)


校長
「実はオレは今日をもって校長を辞めることにした・・・」


生徒たち
(『やっぱり』という顔で校長を見ている。)


校長
「みんな泣かないでくれ!!」


生徒たち
(誰も泣いていない)


校長
「残念だが、これはもう・・・決まったことだ。
 ・・・教育委員会の場で決まったことなんだ。」


生徒たち
(『教育委員会に呼び出されたんだな』という顔で校長を見ている。)


校長
「それじゃ、お別れの曲だ。
 聞いてくれ!
 『野木山第3中学校校歌』!!」


吹奏楽部
(校歌を演奏する)


生徒たち
「♪そうさ~オレたちは~ツバサの折れた堕天使さ~」



(中略)



生徒たち
「♪あぁ~野木山~第3~中~学~校~in the hell~」


校長
「『野木山第3中学校校歌』、聞いてもらった。」


生徒たち
(『なんでまた歌った?』という顔で校長先生を見ている。)


校長
「それじゃ、お別れだ!!
 オレのこと、忘れんなよ!!
 (マイクスタンドからマイクを外し、
  朝礼台にゆっくりを置いて、朝礼台を降りる)」


生徒会
(『なんでマイク置いたんだよ』という顔で
 朝礼台に置かれたマイクをマイクスタンドに戻す)


教頭
「それでは、新任の校長先生を紹介します。」


新しい校長
(朝礼台に上がる)


教頭
「一同、礼!」


新しい校長
(礼をする)


生徒たち
(礼をする)


新しい校長
「えー・・・ゴホン。」


生徒たち
(気を引き締める)


新しい校長
「ブハハハハハハ!!
 新任早々、お前たちをろう人形にしてやろうか!!」


教頭生徒会吹奏楽部生徒たち
(『お前もそのキャラかよ!』という顔で校長を見る。)











【コント・セルフ・ライナーノーツ】

読み物コントだからできる言葉に出さないツッコミというのをやってみました。


校長先生の話、長くても、これなら聞いていれるのではないでしょうか。



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