朝。
母
（台所でネギを切っている）
声
「（２階から）あ？あぁ？！あーっ！！」
母
（気にせず、ネギを切っている）
声
「（２階から）おい、ババァ！！なんで起こさねーんだよ！！」
母
「起こしましたよ。そしたら、あと５分、あと５分って、ちっとも起きなかったのは、アンタでしょ？」
声
「（階段降りてくる）今日は寝坊できないってことくらい、知ってるだろ？！」
母
「お母さんは起こしました！
アンタが起きなかったのが悪いんでしょ？」
サンタ
「（部屋に入ってくる）あんだよ、チキショ！
（時計を見て）今すぐ出ないと間に合わねぇよ！！
世界中の子供たちが待ってるんだから！！」
母
「パン焼いたから。ご飯くらい食べて行きなさい。」
サンタ
「いらねぇよ！めんどくせぇ！！（外を見る）
あれ？！トナカイがいねぇぞ？！
お袋、トナカイは？！」
母
「お友達なら待たせてるのも悪いと思って先に行ってもらったわよ。」
サンタ
「ババァ、テメェ何してくれてんだよ！！トナカイで引きずりまわすぞ！！
アイツら、お友達じゃねぇよ！大事な移動手段なんだよ！！
っていうか、ソリだけ残ってるじゃねぇかよ！！」
母
「『重いでしょう？置いてっていいわよ』ってお母さんが言ったのよ。」
サンタ
「オレが引いてくのかよ、あのソリ！！
サンタがトナカイ連れずに一人でソリ引いてたら、
明日のスポーツ新聞に写真と一緒に『トナカイ、ストライキ』とか見出し書かれるよ！！」
母
「考えすぎよ。」
サンタ
「トナカイ、いつ出発したんだよ！」
母
「５分くらい前じゃないかしら。」
サンタ
「（スマホで電話をかける）何してくれてんだよ。」
母
「（ネギを切りながら）お母さんのせいじゃありませんから。」
サンタ
「・・・あ、もしもし、トナカイ？
いまどこだよ。
ノルウェー？
了解。オスロの空港で待ち合わせしよう。」
母
（ネギを切り続けている）
サンタ
「（電話を切る）よかった。まだ、北欧圏内にいたよ。
それよりも早く着替えないと！（２階に行く）」
母
「サンタも大変ねー。」
サンタ
「（２階から）あぁ？！あぁっ？！」
母
「朝から騒がしい・・・
近所迷惑だから静かにしなさい。」
サンタ
「（階段を降りてくる）ババァ、テメェ、服どこやった？！」
母
「服？」
サンタ
「服だよ、赤い服！！
いつもクリスマスに着てんだろ？！赤い服！！」
母
「あぁ、汚れてたから、今、洗濯してるわよ。（洗濯機を指さす）」
サンタ
「ババァ、テメェ、何してくれてんだよ！！
クリスマス当日に何、サンタ服洗濯してんだよ！！」
母
「袖のところにホイップクリーム付いてたから洗濯したんじゃないの！！
いい歳の子が袖にホイップクリームつけてたら、近所の笑い者よ！！」
サンタ
「だからって、上半身Ｔシャツでプレゼント配ってたら、
世界中の笑い者だよ！！」
母
「あわてんぼうのサンタクロースって言われるわね。」
サンタ
「マジ、トナカイで引きずりまわすぞ！！」
母
「（ちょっと考えて）・・・お母さん、わからないんだけど、
トナカイって人を引きずれる程の力、あるの？」
サンタ
「うっせぇ！！」
母
「トナカイがお母さんを引っ張るんだけど、
一向に動かない絵しか想像できないんだけど・・・」
サンタ
「マジ、代わりの服ねぇのかよ！」
母
「１０月に着たハロウィンの服あったじゃない。
あれ、着て行けば？」
サンタ
「もうイベントがブレるよ！！
プレゼント配るどころか、逆にお菓子もらっちゃうよ！」
母
「じゃあ、Ｔシャツで行く？」
サンタ
「・・・。」
母
「・・・。」
サンタ
「・・・ハロウィンの服、どこだよ？」
母
「奥のタンスの上から３段目の引き出し。」
サンタ
（奥の部屋に入っていく）
母
（ネギを切りつづける）
サンタ
「（ハロウィンの格好で出てくる）サンタってわかるのかよ？」
母
「基本的に姿、見せないからいいんじゃない？」
サンタ
「とりあえず、ヴァンター空港10:13発の飛行機があるから、
それでオスロに行こう。
時間、押してるから、効率よくプレゼント配らねぇと。（出発する）」
母
「（出発するサンタに向かって）何時頃帰るのー？！」
サンタ
「（母に背を向けて）知らねぇよー！」
母
「晩御飯はー？！」
サンタ
「いらねぇー！！」
母
「せっかく、七面鳥だったのに・・・」
サンタ
「オレの分、残しとけ、ババァ！！」
母
「いってらっしゃーい！！」
【コント・セルフ・ライナーノーツ】
去年のドラクエ１０でサンタの衣装が揃うイベントがあったのですが、
何が起きたのか、サンタの服の上をなくしてしまい、
そのとき思いついたコントです。
１年間、あっためました。
メリークリスマス。
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